[その7]平和と軍縮、人権、環境など、次代に展望を切り開く、国民・道民運動を推進します
 
 
一、重点課題と進め方
【平和・軍縮】
 
@ 道内の「核兵器廃絶」運動の再構築を早急に進める事は、道内においては原水禁北海道・北海道核禁会議・連合北海道の3団体そろった既定方針であり、統一行動の拡大を進めていきます。
 特に8月に行われる広島・長崎での平和行動については、中央3団体(連合・原水禁・核禁会議)の05年統一大会開催を踏まえ、連合中央に対して統一行事の継続・拡大、統一団として参加しやすい日程・行事設定を求めるとともに、北海道統一団としての参加結果をもとに、原水禁北海道・核禁会議北海道と協議し、募集の完全一本化に始まる06年以降の統一団参加方法を検討していきます。
A 北海道の矢臼別演習場を含む国内5箇所で分散実施されている在沖縄米軍の実弾移転演習、及び、世界的な米軍再編に伴う在日米軍の再編に関する在沖海兵隊の一部の本土分散移転は、沖縄の基地負担の軽減のためとされていますが、明確な在日米軍の整理・縮小を伴わず、「危険の地方分散・拡大・固定化」であり、民主党や市民団体と連携して反対する取り組みを拡大します。
 また、沖縄に代表される米軍基地負担の軽減の妨げともなっている「日米地位協定」の抜本的な改定に向けて、連合中央の改定案をもとに、具体的・積極的な取り組みを進めます。
B 12月8日(開戦記念日)、8月15日(敗戦記念日)に集会・学習会など平和行事を行うことは、これまでの組織・財政特別委員会答申により「平和憲法擁護と戦争体験の風化防止に努め、平和行事として取り組む」こととして確認されており、具体的な取り組みを進めます。
 取り組みの内容・方法等については、同日に平和行事を開催している市民団体との連携についても考慮し、企画することとします。
C 2004年6月に成立した国民保護法に基づき、各省庁と都道府県・市町村が策定する「国民の保護に関する計画」の策定について、基本的人権、思想・良心の自由や表現の自由など、憲法で保障される国民の権利が、いかなる事態にあっても、保障されるものとなるよう働きかけるなど、取り組みを進めていきます。
 
憲法・教育基本法】
 
@ 憲法改正問題については、「すべて中央段階の結論に委ねる」ことにはならないとの基本スタンスに立ち、すでに三回を数えた憲法講座を今後も継続して開催し、学習・討議を深め、オープンな議論により憲法のあり方についての意思疎通を深め、各産別方針などを踏まえて、連合北海道としての考え方を整理・発表し、中央の論議に反映させていきます。
 また、連合中央に対し、連合内の合意形成に向け、1年程度の充分な組織討議の時間と、全国数ブロックでの「国の基本政策に関する集会(憲法集会)」の開催を求めていきます。
A 教育基本法については、第17回年次大会での事務局長答弁、さらに2004年12月13日「北海道議会における教育基本法の改正を求める意見書採択に関する見解」とおり、「問題のすべてを教育基本法に原因があるとする考え方は誤りであり、今日的改正の必然性はない」ことから、連合中央の「教育基本法問題検討委員会」答申に関する学習会を開催するとともに、憲法の精神を色濃く受け継ぎ、憲法と一体性を持つことから「憲法に準ずる準憲法」と考えられる教育基本法そのものに関する学習会・集会を開催し、「改悪反対」を基本とする取り組みを進めます。
B 小泉政権は、国連「越境組織犯罪防止条約」を国内法化するためとして、「共謀罪」の新設を柱とする「犯罪の国際化及び組織化に対処するための刑法等の一部を改正する法律案」の次期国会での成立を目指しています。
 しかし、この法案は条約が適用範囲としている要件の範囲を著しく超え、市民団体・労働組合など全ての団体を対象に、国際的犯罪とは関係のない500を超える広範な行為について「話し合っただけで処罰の対象」とする「共謀罪」を新設しようとするものです。
 市民の思想や言論・表現、内心の自由を侵す「共謀罪」の新設に強く反対し、国連条約批准のためにやむをえないのであれば、同条約の目的に従い、対象を「国際的な組織犯罪」のみに限定するよう強く働きかけていきます。
 
【環境問題と循環型社会の実現を求める取り組み】
 
@ 食料・森林・水資源や環境間題等、生活に係わる諸問題について取り組む「食・みどり・水を守る道民の会」へ、全産別の参加を呼びかけるとともに、消費者団体やNPOにも参加を呼びかけ、生産者と消費者を結びつける体制・取り組みを強化します。
 また、地域における「労・農・市民組織」の現状把握と課題を整理し、未設置の地域においては、地域「労・農・市民組織」の設立を働きかけ、「道民の会」と地域の運動が連動することが出来るよう、体制を整備し取り組みを強化します。
A 健全な水循環を確立するために、水を公共財として位置付けた「水基本法」の制定に努めます。また、「より負荷の少ない『洗剤』の利用促進を積極的にすすめる」との取り組みにより統一した取り組みを目指します。
B 飢餓と貧困への支援として実施されてきた「アジア・アフリカ支援米運動」について、飢餓と貧困が最大の人権侵害・人間への脅威であるという視点に立ち、これらの脅威がもたらす地域の崩壊・不安定が引き起こす、さらなる脅威を解決する「人間の安全保障」を確立するものとしてもとらえ支援米を送るだけではなく、根本的な飢餓と貧困の解消に向け、植林や灌漑施設の整備や農業教育など「将来への支援」のためにアジア・アフリカ地域で活動するNGOとの連携をはかり、根本的な飢餓・貧困等の解消に向けた活動を支援する取り組みを実施します。
 
【人権・共生の社会づくり】
 
@ 労働組合の社会貢献活動への期待と組合員自身のボランティア・ニーズの高まりを踏まえ、「有珠山噴火除灰」(00年)、「DPI世界会議札幌大会会場設置・撤収」(02年)、さらに「新潟中越地震被災」(04年)などのボランティア派遣・活動の経験を元に、災害発生時における救援・支援活動を組織的に取り組み、リーダーの育成と組合員の日常的なボランティア活動を支援する「連合北海道ボランティアサポートセンター」を設置します。
 設置される「連合北海道ボランティアサポートセンター」は将来的には、継続した取り組みによる自主運営を目ざし、人的ネットワークの拡大により、労働福祉団体、DPI北海道ブロック会議、NPO団体などとの連携を図り、「北海道勤労者ボランティア・サポートセンター(仮称)」の設置を構想します。
 
二、継続課題と進め方
 
【平和・軍縮】
 
@ あらゆる国の核実験に反対する取り組みを強化します。臨界前核実験に対しては、領事館に対して中止を求めるとともに、実施されたときには抗議集会を実施します。
A 非核3原則の法制化を粘り強く求めるとともに、道内の各市町村における非核平和都市宣言採択について、未採択の自治体に採択を働きかけることとします。
 さらに、市町村の合併により新たな採択が必要となることから、非核自治体宣言を決議する自治体が減ることの無いよう取り組みを強めます。
B 核搭載の疑惑のある軍艦及び軍用機の民間港や空港の利用反対に取り組んでいきます。
C 連合北海道内に設置した「国民保護法制連絡協議会」による学習・情報の共有などにより、道・市町村が策定する国民保護計画、指定(地方)公共機関が策定する国民保護業務計画について、指定(地方)公共機関で働く組合員の安全確保、「指定(地方)公共機関」の自主性が尊重されるよう取り組みを進め、指定(地方)公共機関である法人を組織する該当産別においても労使協議を基本に取り組むことを求めていきます。
D 6月から8月の平和運動強化月間、8月のピースウイークは、全国統一での取り組みであり、全道各地でも平和学習会やパネル展・黙祷運動など創意工夫を凝らした運動を展開しています。今後も地域に開かれた様々な平和行動を行っていきます。
E 「平和行動 in 沖縄」に積極的に参加するとともに、独自企画による「沖縄地上戦」「米軍基地の整理・縮小と日米地位協定の見直し」などの現地学習会を開催するなど、各地協での取り組みを拡大するために地域からの参加を重視し、内容・参加人数も拡充して取り組むこととします。
F 当該の地方連合として北方領土返還運動の意義など、全体の学習を深めるとともに、「平和行動 in 根室」「連合の船」「ビザなし交流」などに積極的に参加していきます。
G イラクへの自衛隊派遣について、多くの市民団体とも連携した取り組みを継続してすすめていきます。同時に、さらなる派遣延長を絶対容認せず、イラク国民自らの手による復興を求めていきます。
H 「全道戦没者遺族大会」への知事出席について、大会に先立ち開催される遺族援護功労者への知事感謝状の贈呈が目的とされていますが、大会が護国神社例大祭と事実上セットで開催され、宗教的色彩が強いことは明白であり、憲法が定める政教分離の原則に反する疑いが極めて高いことから、知事出席に反対要請・打電行動などの取り組みを進めるとともに、「遺族会」と「遺族」を区別しつつ「北海道戦没者追悼式(例年9月 道立総合体育センターで開催)」での知事感謝状の贈呈など、政治と宗教との関係が無い場所での表彰を求めいきます。
 
【次代を担う教育課題の取り組み】
 
@ 「連合北海道 教育を考える対策委員会」が主催する、教育現場に働く教師の声を重視した「教育シンポジウム」などにより、「いじめ」や「ゆとり教育」「学力低下」などの直面する教育課題を、社会全体の問題としてとらえ、連合北海道全体の取り組みとして、各産別間の相互理解と最大限の一致点拡大をめざした統一行動を追求する取り組みを進めます。
A 連合および連合北海道の「要求と提言」又は方針に基づき、「私学助成の強化」「義務教育費国庫負担制度の堅持」「30人以下学級の実現」「教育基本法の改悪反対」などの要求の実現に向け、署名・集会・議会決議運動などに取り組みます。
B 「自由主義史観」と称し日本の戦争責任をも否定する「新しい歴史教科書をつくる会」による社会科教科書採択の動きなど、歴史教科書問題については、偏狭なナショナリズムの台頭を許さず、平和教育の徹底と、教育委員の選定のあり方など民主的な教科書採択をめざし、民主的・分権自治の教育をめざす教育政策を確立していきます。
 
【環境問題と循環型社会の実現を求める取り組み】
 
@ 地球温暖化や砂漠化、大気汚染と酸性雨問題、増えつづける廃棄物や環境ホルモン(内分泌かく乱物質)など、環境問題は極めて多岐にわたっています。連合エコライフ21運動による、環境にやさしい10の生活の実践と地域運動としての理解を求める取り組みを進めます。
A 森林の保全のために、持続可能な林業経営に向けて、道や各自治体に道産材の普及と林業活性化を求めていきます。また、林業活性化議員連盟との連携を強めると共に、間伐材を使ったクラフトの普及などに取り組みます。
B 食料基地としての北海道の未来に確信の持てる農業を目指し、北海道農民連盟との連携を強めていきます。
 また、北海道農業・漁業を守るためにも、道産作物の地場消費が重要であり、「地産地消」運動を積極的に取り組みます。
C 食の安全性の追及は、生産現場から食卓まで責任ある体制の整備を求めるとともに、BSE対策については、検査基準の緩和を認めず、全頭検査の堅持などの対策の徹底を求めていきます。米国産牛肉については日本と同様の検査体制を求め、安全が確保されない拙速な輸入再開には反対します。
 また、遺伝子組み換え作物は、消費者・生産者の多くが、種子汚染や環境への影響に対して強い不安感を抱いており、道の「遺伝子組み換え作物の栽培に関する条例」にもとづく厳格な管理と十分な情報公開を求めるとともに、遺伝子組み換え食品の表示について消費者が十分にわかりやすいものとなるよう改善を求めていきます。
D 「連合の森」については、04年の台風18号による倒木被害跡地である「支笏湖周辺の国有林内」において、05年より実施しており、今後も「連合の森」づくりのための植樹を通じ、環境との深まりをもてる取り組みとして進めていきます。
E 食とみどり、水を守る道民の会の事務局を積極的に担うと共に、WTOや政府要求をはじめ、大衆行動や署名及び地域街宣など多彩な取り組みを積極的に取り組みます。
 
【人権・共生の社会づくり、社会連帯の運動】
 
@ DPI北海道ブロック会議と連携し、今後も国際障がい者人権条約の制定やノーマライゼーションの社会づくり、バリア・フリーの実現、そして、障がい当事者主体の障がい者自立支援法の制定などの取り組みを進めます。
A 日朝首脳会談において北朝鮮の金正日総書記が認め謝罪を行った日本人拉致事件は、重大なる人権侵害であり、わが国の主権を侵害した国家犯罪です。政府は、毅然たる態度で問題の解決をはかるべきであり、拉致問題の解決無くして国交正常化は無いとの決意と働きかけを求めていきます。
 また、在日朝鮮人や朝鮮人学生に対するイジメなどの問題については、人権擁護の立場に立って許さないことと合わせ、取り組んでいきます。
B 様々な市民団体やNGO・NPO対する連帯活動を強めると共に、連帯のあり方については、執行委員会で確認して支援行動など提起していきます。
C 署名活動については、連合北海道としてのかかわり方を含め、執行委員会で確認して、タテ及びヨコなど取り組み方法を提起していきます。
D 連合発足当時からの労働組合の原則ともいうべき、「友愛」と「連帯」の基本でもある「連合愛のカンパ」は産別タテで取り組まれています。連合北海道としては直加盟組織に対し、積極的に取り組みます。
 また、難病による緊急・渡航手術などの人道カンパ、また台風・地震などによる災害カンパについては、産別・地域の支援要請、連合中央の動向を確認し、執行委員会で確認して、取り組むこととします。
 
【全道メーデー】
 
@ 第77回全道メーデーについては、引き続き、5月1日に開催することとし、内容については、全道メーデー実行委員会などで協議していくこととします。今後の全道メーデーのあり方、実施日・具体的内容については、道民運動推進委員会による検討を立ち上げます。
A メーデータオルの組合員からの図案募集の周知徹底をはかり、全道メーデーへの理解と参加の取り組みを強めます。
Bメーデーを国民の祝日とするよう、本部と連携して世論喚起などの活動に取り組みます。