その6
くらしの安心と社会的公正を確立する
政策・制度の実現をはかります。
[現状と課題]
【勤労者への大増税を強要する税制改悪】
総選挙の結果、政府は、圧勝した与党体制のもとで国の財政再建に向けて、定率減税の残り半分の廃止、一番取りやすい勤労者への高負担を求める税制改革を強行しょうとしています。高所得者や法人への優遇措置の見直しに手をつけず、圧倒的多数の民間・公務員などのサラリーマン大増税の計画が政府税制調査会で協議されています。これが強行されれば、勤労者の大幅減収となり、消費購買力も低下し、地域の経済社会にも多大な悪影響が想定されます。
連合は、2006年度政府予算案に必要な控除措置をなくし、サラリーマンへの増税案が盛り込まれないように、秋期・春期闘争において、地域の中小・零細労働者、商工会、農・漁協団体にも幅広く訴え、大増税反対の道民運動を構築していきます。
【雇用創出とセーフティーネットの確立】
本年1月末の北海道労働局の発表によると、2004年の本道の年平均完全失業者は、対前年より1%改善されたものの5.7%と依然、高水準にあります。また、常用有効求人倍率も0.57倍と、連続して前年を上回っているものの、求人の雇用形態では、パート、契約社員等の有期雇用者のウエイトが高まるなど、雇用の量も質も大きな問題を抱えています。
連合北海道は、とりわけ季節労働者の冬期失業の解消と冬期雇用援護制度の存続・改善、タクシーの供給力が過剰状態に加え規制緩和により増車が進むなかで供給過剰の実態の改善、減車を行う制度の創設、北海道雇用創出基本計画が有効に実施され、厳しい北海道の雇用環境に大きく貢献するように求めます。
【社会保障制度の抜本改革】
昨年6月、政府の「保険料の引き上げ、年金支給を削減」する年金改悪法が強行可決・成立してしまいました。国の財政が莫大な借金を抱えるなかで、社会保障制度の存続が厳しくなっています。その結果、国民への負担増が進んでいます。
介護保険制度は、スタートから4年を経て、2005年度は制度の見直し時期でした。厚生労働省は社会保障審議会介護保険部会において見直し議論を進め、昨年末に介護保険制度改革の全体像をまとめました。その重点は、@総合的な介護予防システムの確立、そのため「新・予防給付の創設」と「施設給付の見直し」(在宅介護との均衡をはかるため食費・居住費負担の増額、今年10月から実施)、A痴呆ケア及び地域ケア推進の観点から新たな「地域密着型サービス」の創設、Bサービスの質の確保・向上として、ケアマネージャーの体系的見直し(資格の更新制の導入、標準担当数の引き下げ、介護報酬単位の引き上げ)、「地域包括支援センターの設置」、事業者への規制強化として情報開示の徹底と事後規制ルールの確立、専門性を重視した人材育成と資質の確保としてホームヘルパー2級から将来は介護福祉士に向上させる、C負担のあり方の見直し、低所得者の負担軽減をはかる、D運営制度の見直しとして市町村の保険者機能の強化、です。連合北海道は、見直し改革に対するセミナーを3月末から4月末にかけて道南・道央・釧根ブロックで開催し、厚生労働省からの見直しの概要説明、パネルディスカッションで「改革すべき課題」について、厚生労働省担当者、自治体担当者、ヘルパー、連合本部担当者等で詳細な議論を実施してきました。全体として、改革の方向については理解が深まりましたが、地域包括支援センターの設置や市町村の権限強化にともなう活動資金など、地方自治体への負担増ではなく国が財源の確保をしっかり行うように、という意見が強く出されています。2006年4月からの見直し改革に基づく介護事業が開始されるようにさらに求めていきます。
2006年に診療報酬と介護報酬の同時改定、2006年〜2007年度医療保険制度改革が相次いで予定されています。高齢者など医療の制度が抜本的に改革されるように取り組みを強めていきます。
【環境・エネルギー政策】
核燃料サイクル開発機構と日本原子力研究所が組織統合されて独立行政法人・日本原子力研究開発機構が今年10月1日に発足になりました。新法人が道・幌延町との3者による「幌延町における深地層の研究に関する協定書」、及び「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」(道内に核廃棄物を持ち込まないという内容)を遵守するように求めていきます。
泊原発の安全運転と地域原子力防災体制の充実を道・関係自治体に求めていきます。防災訓練にあたっては、多数の住民参加、マニュアル依存からの脱却を求めていきます。
【地方分権改革】
道内の市町村合併は、53市町村、法定・任意合併協議会に参加した104市町村(10市83町11村)のうち、合併協議が破談になり24協議会(96市町村)が解散しました。合併せず自立の道を選択したのは55市町村という状況です。(今年3月末)道は、新合併法に基づき総括もないまま、市町村の意思を無視して国の指示に従い、強権的に「合併構想の作成」や「合併協議会の設置勧告」を進めようとしています。
道は、「支庁制度改革プログラム」と「道から市町村への事務・権限移譲方針」を3月末に決定しました。その内容は、@現行の14支庁を6支庁とする。支庁が廃止される地域には経過措置として「地方行政センター」を設置する。支庁制度の条例改正は2007年度に行い、2008年度から施行する。A道の事務約2,500件のうち191件、権限4千条項のうち2千48条項について今年度から市町村に照会し、合意を得たものは、2006年度から順次市町村に移譲する、というものです。
この方針案は2月に示され、北海道町村会は「道の一方的なスケジュール」「拙速な進め方」であると批判し、連合北海道は道内の分権を円滑に進めるためには、市町村の理解と協力が不可欠との判断から、「事務・権限移譲方針」の凍結と「支庁制度改革プログラム」の再検討を道に求めてきました。
道は、市町村の基礎自治体が充実するため、合併だけではなく「市町村の広域連合」、「道・支庁と市町村による広域連合」など、多様な分権・自治の選択肢こそ提示すべきです。
国庫補助金・税源移譲・地方交付税の「三位一体の改革」は、この間、「地方分権の推進に逆行し、各省庁が税源移譲に反対」、「税配分も都市部が優遇され、地方交付税を削減して地方切り捨てが強められている」等、政府の進める改革の現状の問題点が指摘できます。また、小規模市町村が多い道では、所得税から住民税への税源移譲が行われても人口規模での税源移譲となり、自治体間の財政力の格差拡大や行政サービスを保障するための地方交付税制度の財源調整機能と財源保障機能が十分、公平に発揮されなければ、自治体の存続そのものが危うくなってきます。
道財政は、赤字再建団体への転落をくい止めるために総額1,800億円の収支不足対策を2006年度から2年間かけて実施する行財政改革の基本方針を策定中です。道民への公共サービスの提供については、「厳しい財政の中で何を優先し、何を我慢するのか」を明確にし、そして「道民に必要な分野の選択と集中」を基本とすべきと考えます。連合北海道としては、道民も納得する「温かい改革」運動を推進していくように提言を強めます。また、道州制による地域政府を実現していくためには、市町村という基礎自治体がより充実し、強化されることが基本であり、道庁・支庁もそのためにどういう役割をはたしていくのかが問われています。
道監査委員の確認監査報告を受けて高橋知事は、6月末の記者会見で3,770万円の追加の不正返還額を道警に求め、不正問題については山場を超えたという認識を示しました。しかし、確認監査報告において、現行法規上、強制力を伴う調査権等を規定されていないとして「監査の限界」を明らかにしました。そして、捜査用報償費を受け取った捜査協力者への聴取という関係人調査は特別監査と同様に道警に拒否されており、さらに、3億9千万円にのぼる多額な「使途不明金」の存在の指摘は、私的流用や上層部の関与などの疑惑を強めました。逆に不正の全容が解明されてない限界を示すものになったのです。「道民の会」の賛同団体として連合北海道は、道警不正問題の真相解明に向けた運動を継続・強化します。
【郵政民営化問題】
7月6日、衆議院本会議において郵政民営化関連法案の採決が行われ、僅か5票差で可決されました。そして、法案修正には反対していた小泉首相は、一転、与党の修正案に同意し、民営化の姿は大きく変質し、国民や既存の民間企業に多大な迷惑(経営を圧迫)を及ぼす恐れが増す結果となりました。しかし、8月8日の参議院本会議においては、自民党から多数の造反者が出て、17票差で法案が否決されました。こうした事態を受けて、小泉首相は「衆議院を解散し、総選挙で郵政民営化の是非を国民に問う」という暴挙にでました。
この間の法案審議において、民営化による郵政事業のビジネスモデルの持続可能性、国民に提供されるサービス水準、国の金融政策に重大な影響を与える巨額の郵政資金の行方、郵政事業に働く者の雇用・労働条件のあり方など、働く者や国民が抱えている疑問・不安に対して、小泉内閣は誠実な答えを示してきませんでした。そもそも、小泉内閣の郵政民営化法案の提出行為は、「民営化は行わない」とした中央省庁等改革基本法に違反し、さらに、誠実な法律執行を求める憲法にも抵触するものです。この点から、利用者、郵政事業に働く者から控訴が提起され、連合会長も原告となっているのです。
しかし、総選挙では、官民対立をあおり「公務員はムダ」「民営こそ安上がり」という郵政民営化を推進するための一面的な主張が厳しいリストラに直面している民間や中小・零細企業で働く者、フリーターなどの若者の支持をうけ、自民党に投票する(選挙結果の分析報道)など、自民党の圧勝をもたらし、臨時国会では10月14日に参議院において関連法案は民営化の開始時期を半年延ばして2007年10月とする一部修正を行い、可決・成立しました。
今後、国会では郵民営化法に関連する政省令などが審議されていきます。特に、「事業の公共性の維持」、「三事業の一体性の保持」「全国ネットワーク堅持」は民営化という経営形態になったとしても郵政事業の健全な発展のためには不可欠な課題です。こうした観点から国会論議を監視し、誤った方向を是正させる取り組みが必要です。
【道及び国への政策要求活動】
連合北海道は、勤労道民の立場に立脚した「要求と提言」を掲げ、連合北海道国会議員団会議・道議会議員団との協力と連携を図りながら、次年度の政府・道予算への政策・制度要求の実現をめざして努力していきます。さらに、各産別が抱える課題などについて、全体化していくために「産別交流・政策討論集会」(仮称)の開催に努力します。
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一、重点課題と進め方
【勤労者への大増税を強要する税制改悪反対の取り組み】
(1)サラリーマン大増税反対の取り組み
政府税制調査会は、2006年度以降の税制改正に向けた「個人所得課税に関する論点整理」を取りまとめました。しかし、その中味は、勤労者・子育て世帯に対する増税案の羅列となっています。
仮に、主な増税案がそのまま実施されますと、定率減税の縮小・廃止(総選挙後、財務大臣は残り半分について廃止を明言)とあわせて、年収500万円の世帯で年間約20万円以上もの増税となります。賃上げ分やボーナスがまるまる消えてしまう理不尽な増税計画です。国の財政再建において、取りやすいサラリーマンなど勤労国民をターゲットしたものです。高額の所得者や法人に対する優遇措置こそまず見直されるべきと考えます。
政府税調は、今年11月中旬ごろには、来年度の税制改正に関する答申を発表する予定となっています。ここまでに、連合をはじめとする勤労者の怒りの声を政府税調に届け、安易な増税案を検討の舞台に上げないようにする取り組みが急務となります。
答申が出されますと、議論は政治の場に移ります。12月中旬には与党の税制大綱が発表され、財務省などが税制改正の具体案を作成し、法案として明年1月からの通常国会に提出されます。
連合北海道は、総選挙の結果、圧勝した与党体制のもとで勤労者へのみ高負担を求める税制度が強行されないように、圧倒的なサラリーマン増税反対の運動を各産別・地協・地区連合から道民運動としてつくりあげていきます。
当面する具体的取り組みとしては、@道民世論を喚起するために各地域から給料日街宣行動を年内については11月(20〜25日の範囲)及び12月(5〜17日の範囲)に実施する。A全国統一行動日である12月6日は、全国一斉に総決起集会等が実施される。よって、各地協においても、これに連動した取り組みを開催することとする。なお、連合北海道は石狩地協と共催でサラリーマン大増税阻止と政策制度要求を課題に総決起集会・デモ行進を実施します。
【雇用創出とセーフティーネットの確立】
(1)季節労働者の冬期雇用創出と援護制度の存続・改善の取り組み
今年7月25日に連合北海道国会議員団会議の協力も得て、2006年度政府予算への中央要請行動を実施しました。そのなかで、厚生労働省には「季節労働者の冬期失業の解消と冬期雇用援護制度の存続」を求めました。これに対して副大臣から「本制度が3年限りの暫定制度であり、その後は廃止となる」旨の回答が出されました。 これに対して、前回の制度延長時に、国は「季節労働者対策に責任を持つ」と表明しており、認識が全く違うと指摘するとともに、冬期失業の解消の条件である北海道地域における建設工事など公共事業の平準化(冬期施工量の増加)に対する国の取り組みを強く求めました。
そして、現在、国の出先機関も含めたオール北海道で進めている「北海道季節労働者雇用対策協議会」の結論を尊重して、平成19年度以降の季節労働者対策を求めたことに対し、副大臣は「協議会の結論を尊重」して進めるとの回答が出されました。
連合北海道は、この協議会が「季節労働者の冬期失業の解消と冬期雇用援護制度の存続・改善」に向けたオール北海道の意思と運動を結集させ、国に対する迫力あるたたかいが構築出来るように努力していきます。
(2)ハイ・タク産業の規制緩和是正の取り組み
人口の減少、自家用自動車の普及などにより利用客が減少し、タクシーの供給力が過剰状態にあったにもかかわらず、2002年2月からの「改正道路運送法」の施行により、更に増車が進みました。供給過剰の実態の改善、合わせて需給調整を進めるための減車を行う制度の創設を求めていきます。
(3)北海道雇用創出基本計画の達成を求める取り組み
道は「北海道雇用創出基本条例」の制定を受け、平成17年度から19年度までの3年間を対象に8万人の雇用創出をめざす「北海道雇用創出基本計画」を作成しました。
この基本計画素案には連合北海道としても意見書を提出しました。特に課題としたのは、@公共投資依存から脱却した自立化対策、北海道が誇れる自然や地場の農林水産業を基軸とする雇用創出ビジョンの作成、A若年者の深刻な雇用状況のなかで、企業が若年求職者の意識改革や職業訓練など、時間と資金を投入して社会人として育てる姿勢と実践が不可欠、B非正社員、有期雇用労働者が4割に達する勢いのなかで、賃金・労働条件の切り下げ、企業の持続的発展や年金・医療等の社会保障制度の空洞化など影響は避けられず、安心して働ける就業環境の整備、C雇用創出のための4つのプログラムの推進には、雇用創出の数値目標を明示すべき。の4点です。
連合北海道としては、雇用創出推進会議や2006年度道予算の要求と提言活動の取り組みのなかで、進捗状況の把握や地域での進展状況等の調査活動も実施し、基本計画が有効に実施され、厳しい北海道の雇用環境に大きく貢献し、基本計画が達成されるように求めていきます。
<メモ欄に入れる>「北海道雇用創出基本条例」
今年3月の第1回定例道議会で自民党が条例案を提案。連合北海道はこれに意見書を 提出した。自民党は民主党からの修正要求に応ぜず附帯意見を付して成立した。
【社会保障制度の抜本改革の取り組み】
(1)介護保険制度の見直し改革
すでに介護保険見直し関連法案は通常国会で民主党や連合などの要求で法案の修正が行われ可決・成立しました。しかし、法案は通っても、厚生労働省が法案には示していない様々な「基準」等について政省令が出されてきます。その提示が遅れており 各自治体での第3期「介護保険事業」策定委員会の討議が進まないという現況にあります。明年4月からの新たな事業がスムーズに開始されるように、各地協・地区連合から道・市町村への要求と提言を強めていきます。
(2)医療サービス・医療保険制度の改革
この改革に対して、連合は、@新たな高齢者医療制度の創設、A診療報酬の「包括化」促進、B政府管掌健康保健の「公法人化」(社会保障基金)で労使代表が運営に参画する制度改革、C医療機関の機能分化と適正配置による地域医療の整備、D入院日数の短縮、医療情報の開示の徹底などを通じて高齢者医療の適正化、の実現を求めていきます。
【環境・エネルギー政策の取り組み】
(1)幌延深地層研究センターの新組織移行に伴う協定等の遵守を求める取り組み
核燃料サイクル開発機構は、幌延深地層研究センターの立地にあたって、道・幌延町との3者による「幌延町における深地層の研究に関する協定書」(核を持ち込まない、中間貯蔵・最終処分場にもしないという内容)、及び「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」(道内に核廃棄物を持ち込まないという内容)を遵守することを確認しています。
この開発機構が新法人に統合されるにあたって、「新法附則における経過措置の規定」に基づき、3者協定等が新法人に承継される法的措置について、今年10月1日に発足した新しい独立行政法人・日本原子力研究開発機構に対して、連合北海道をはじめ5団体として改めて確認行為を早急に実施します。合わせて、監督官庁である経済産業省にも求めたいと考えます。また、道、幌延町に対しては、道条例や3者協定書の遵守について日本原子力研究開発機構と確認行為を行うように求めていきます。
(2)炭鉱技術移転5カ年計画の推進と事業の継続
2002年に太平洋炭鉱が閉山になり、炭鉱技術移転5カ年計画に基づく受け皿炭鉱として、釧路炭鉱(釧路コールマイン〈株〉)は、日本のエネルギー政策上で重要な役割を果たすとともに、釧路地域の経済・雇用の安定に寄与しており、釧路炭鉱の安定した石炭生産と炭鉱技術移転事業の推進が求められています。
この計画は平成18年度までの計画であり、平成19年度以降の継続実施が重要課題となっています。連合北海道も、北海道石炭対策連絡会議に結集して積極的な努力を行います。
また、産炭地域振興に対する産炭地域臨時措置法失効に伴う財政支援策を中心とする激減緩和措置についても平成18年度までであり、その後に対する地域振興策について関係団体とも意見交換をはかりながら、国・道に対して求めていきます。
【地方分権改革の取り組み】
(1)道の新合併法による強制的な市町村合併に反対する取り組み
道は、連合北海道の今年3月10日の要求に対して、「合併は市町村の行政体制を充実する取り組みとして、新法により積極的に検討していきたい」と合併を基本に市町村再編に取り組む考えを明らかにしています。また、「合併協議会の設置を勧告することを含めて、道の役割を果たす」「国の指針にある合併構想策定について審議会を設置して進める」等と回答しました。
北海道では市町村の合併協議会が多数破談となり、合併は進展しなかったにもかかわらず、道としての総括もなく、市町村の意思を無視して国の指示に従い、強権的に市町村合併を重点に推進していこうとしています。
連合北海道は、関係産別とも連携を強め、今後想定される、市町村の意向を無視した「合併構想」や「合併協議会の設置勧告」に対しては反対をしていきます。
(2)道州制の理念なき支庁制度改革プログラムと事務・権限移譲方針を正す取り組み
連合北海道は、権限移譲問題や支庁制度改革が道州制に向けて不可避な課題であるということは道と共通の認識にたちます。しかし、3月末に決定した事務・権限移譲方針や支庁制度改革プログラムについて「凍結」、「再検討」を求めたのは、道州制に反対するということではなく、中央集権体制から地域主権型社会を構築して道州制を実現するには、地方の行政主体となる市町村の充実・強化がまず優先されなければならないという立場からです。
市町村の基礎自治体が充実するためには、合併だけではなく「市町村の広域連合」、「道・支庁と市町村による広域連合」など、多様な分権・自治の選択肢があります。 道としても合併の強制ではなく、市町村と対等の立場で、連携・協力する姿勢が問われているのです。こうした道と市町村が連携・協力しあう改革過程そのものが道州制へのプロセスとして重視されるべきです。
道には引き続き、@道州制のあるべき自治のかたちを明確にする、A市町村との協議・連携・協力を強めていくために権限移譲や支庁制度や広域連合のあり方などについて支庁単位に検討協議会を設置し活動を強化する、ように求めていきます。
二、継続課題と進め方
[雇用創出とセーフティーネットの確立]
(1)国の地域提案型雇用創出促進事業の措置の継続・拡大の取り組み
延長を求めてきた国の緊急地域雇用創出特別交付金事業は2004年度で期限切れとなり、今年度は地域提案型雇用創出促進事業(パッケージ事業)が実施されました。道内では、18地域が選定され、総額9億5千万円の事業が国の委託を受けて実施されており、事業構想では2,800人の雇用創出が見込まれています。
今年度、不採択となった7地域もあり地域提案型雇用創出促進事業が継続され各自 治体の要望に応えられるように強く厚生労働省に求めていきます。
(2)2006年度道予算要求の取り組み
2006年度道予算に対して、雇用政策を最重点に「要求と提言」を行い、今年12月を山場に、知事交渉を配置して要求実現をめざします。そのために道民運動の展開や民主党北海道、連合北海道国会議員団会議・道議会議員団会議と連携し議会対策等も強化します。
【社会保障制度の抜本改革の取り組み】
(1)年金制度の抜本改革による国民皆年金制度の再確立
昨年6月、政府の「保険料の引き上げ、年金支給を削減」する年金改悪法が強行可 決・成立しました。
連合は、基礎年金の税方式化、負担と給付のあり方など年金制度改革を求めて、2004年7月に発足した政府の「社会保障の在り方に関する懇談会」に参加し、提言と議論を展開しています。また、改革の方向性を一致させるために民主党とは、2004年9月28日、基礎年金の税方式化など4項目の確認がされています。
なお、今年4月、与野党全会派が参加の下、「年金をはじめとする社会保障制度改革に関する両院合同会議」が発足しました。しかし、与党が年金一元化を前提とすることに難色を示したため民主党が反発し、実質的な協議がされないままとなっています。総選挙で大勝した与党の存在に対して、建設的な議論が可能なのかが問われます。
いずれにしても、国民年金加入者対象の割合は5割です。皆年金制度は大きく基盤がくずれてきており、早急に立て直しと改革が急がれます。
(2)道立病院の移管に伴う万全の対応について
連合北海道は、昨年9月6日の副知事との最終交渉において、寿都病院は寿都町における有床診療所、釧路病院は釧路市立総合病院にその機能移転がはかられることについて不満ながら受け入れました。この交渉のなかで、道は「寿都町の新たな病院整備計画や南後志の地域医療が確保されるように万全を期す」という移管に伴う道の支援策の実行、「釧路病院の治療中の患者への経過措置は実施」という病院患者に対するフォロー策の検討・実施、さらには、地域医療に対する道としての責任について、万全の対応・措置がとられているのか、引き続き取り組みを強めます。
【環境・エネルギー政策の取り組み】
(1)泊原子力発電所の安全運転と地域における防災体制の充実
今年は、10月21日に2005年度泊原発防災訓練が実施されます。連合北海道として調査団を派遣し、その活動で得た防災訓練の改善課題や住民アンケートを活用して、原発の安全運転と地域原子力防災体制の充実を道・関係自治体に求めていきます。特に、多数の住民参加の訓練にすること、マニュアルに依存する訓練からの脱却について課題としていきます。
また、福井県美浜原発で発生したタービン建屋内の2次系列の「想定外事故」の発生を受けて、作業員の安全確保のために建屋内における労働安全衛生の強化について、北電や指導する道に求めていきます。
(2)省エネ・新エネ促進の取り組みと「エネルギー・環境委員会」活動の活性化
今年は、連合中央本部の方針である「エコライフ21」について連合北海道としても取り組みました。特に7〜8月について涼装運動を提起し、省エネ活動を積極的に職場・家庭から取り組むように呼びかけました。来年度に向けて、今年の取り組みを反省し、準備も含めて多数の産別や地域で取り組めるように努力します。
今年は、総選挙もありエネルギー施設の見学は出来ませんでした。新エネ施設の視察と学習会の開催、さらに、「プルサーマル」計画など核燃料サイクル問題について様々な角度からの学習会について「エネルギー・環境委員会」として実施し、活動の活性化をはかります。
【地方分権改革の取り組み】
(1)「三位一体の改革」による地方自治体の財政確立、「温かい改革」運動による道財政確立の取り組み
@ 第1期改革として3兆円規模の国庫補助負担金を廃止し税源移譲額は2兆4,000億円にとどまっています。残り6,000億円の補助金廃止についての結論は11月となっていますが、国の財政再建のための国庫補助負担金率の引き下げや税源移譲に結びつかない国庫補助負担金の廃止などは「三位一体の改革」に名を借りた地方への負担転嫁であり、政策転換が必要です。
小規模市町村が多い道では、所得税から住民税への税源移譲が行われても人口規模での税源移譲となり、自治体間の財政力の格差拡大や行政サービスを保障するための地方交付税制度の財源調整機能と財源保障機能を十分発揮されなければ、自治体の存続そのものが危うくなります。
連合北海道は、「都市部と地方の分断」をさせず、安心の出来る「三位一体改革」を推進させていくために、「地方切り捨てを許すな!地方財政確立道民会議」を基軸に中央要請行動や道内の地方6団体との連携強化など幅広い道民運動をめざします。
A 一方、道は、昨年8月に、「財政立て直しプラン」を策定したものの、その見通しの甘さから、2005年度の予算編成過程で実質的な破綻を表明しました。そして、プラン集中対策期間の前倒しを含めて1,800億円の収支不足対策を2006年度から2年間かけて実施する「道財政立て直しプランの見直し方針」と「新たな行政改革大綱の方針」を今年8月までに策定することにしました。
道は9月12日に行財政構造改革推進本部を開催し、それぞれの骨子を決定、年内に「大綱」と「改革工程表」(数値目標)を決定するとの方向性を道議会総務委員会に報告しました。
その骨子は、「聖域なし」で道民生活や市町村行政推進に必要な予算はさらに切り込む、とりわけ人件費については高橋知事は、7年間に及ぶ給与独自削減を無視し、「不退転の決意」「総額10%削減」との発言を繰り返しています。
そして、道は、10月25日に「一般職職員の給料10%、手当15%削減」という人件費削減案を関係労組(北教組・自治労全道庁)に提示しました。2005年度の賃金確定において人事委員会勧告による削減が平均約28万円となるほか、道独自で提案された削減案を含めると、総額で平均約115万円という大幅削減の内容となっています。
この人件費削減提示について、連合北海道は、ア 今後の道財政再建への明確な展望が示されていない、イ これまでと同様に、その場限りの収支合わせとなる可能性が高い、ウ 提案どおり実行されれば、道職員の生活に深刻かつ壊滅的な打撃となる、エ さらに、行政サービス、北海道経済、道民生活に大きな影響を与えるもの、と考えます。
道は、財政健全化に向けて、これまで7年間に及ぶ職員給与の独自削減などを続けてきましたが、再建計画が幾度も破綻し、財政状況が悪化の一途をたどってきており、道当局の経営責任は極めて重大です。このことをしっかり踏まえた抜本的な再建策が提起される必要があります。
連合北海道としては、
ア 道が財政危機の要因について明確にし、その打開のためには国からの公正な財源移譲を求めて、自らの取り組みを強化する。
イ 道財政の抜本的な歳入・歳出の見直しにあたっては、これまでの総括をふまえ、特に歳出においてはムダを徹底的に省くことを基本に据える。
ウ 道民への公共サービスの提供については、「厳しい財政の中で何を優先し、何を我慢するのか」を明確にし、そして「道民に必要な分野の選択と集中」を基本とし、道民も納得する「温かい改革」を推進します。道民生活の暮らしに直結する福祉や弱者を切り捨てる施策は最大限抑制し、さらに道内の厳しい失業者や雇用対策のための施策については維持・継続、北海道の優れた自然や景観、食糧を提供している観光や農林水産業の振興策は重視すべき。
エ やむなく人件費を削減する場合は、職員団体との合意を前提に、職員、管理職、特別職、道議会など全体で責任を分担すべき、と考えます。
こうした立場にたって、道への申し入れ、道民に発信していくためのシンポ「どうなっている道財政?どうするこれからの北海道」(仮称)、地域講演会の開催、団体署名等に取り組みます。
(2)道州制の地域政府を築くための改革課題を明確にする取り組み
2003年の衆議院選挙の自民党選挙公約に「北海道を道州制特区に」という突然降ってわいた話でしたが、高橋知事には、もともと道州制についての哲学や信念があったわけではなく、庁内、道民へのメッセージや国への情報発信力も欠けていました。こうした結果、道州制特区構想推進では、内閣府に「推進室」が設置されましたが、道の提案は棚ざらし状況で進んでいません。むしろ、国主導の形で進もうとしています。しかし、そこには「地域政府の自治のかたち」をどう創るのかという発想はみあたりません。
北海道における道州制の実現は、総合的な視点から考えると、国から道への分権のみならず、それによって市町村にも財源・権限が移譲され、市町村という基礎自治体がより充実し、強化されなければなりません。そのため、支庁制度をどう活用するのかということも重要です。何よりも、北海道経済が活性化し、豊かな道民生活が期待されるものでなければなりません。
そして、道州制の地域政府を築いていくためには、@国と地方の役割分担と権限・財源の地方移譲を進める。A基礎自治体の強化のために、その方策として市町村や市町村と道・支庁との広域連合など多様な自治の選択、B本庁及び支庁制度を市町村、道民とともに改革する、という北海道版の「三位一体改革」が問われています。
これは、横路・堀道政において道政改革の取り組みを通じて共有してきたものであり、今後も「三位一体」で「北海道の自治のかたち」を確立していく改革方向でもあります。2年後の知事選挙における道政改革の重要な争点となります。
連合北海道は、設置した「地域政府」研究会を再開するとともに、道州制に関する調査・研究を深め、提言活動も強めていきます。
(3)道警不正問題の真相解明の取り組み
道監査委員の4項目の確認監査によって4億円にのぼる使途不明金の存在や他の項目の監査など不正問題の真相解明の課題は山積しています。にもかかわらず高橋知事は道警不正問題の幕引きを示唆し、第2定例道議会では民主党等が提案した百条委員会の設置を求める決議が自民・公明両党の反対で6度目の否決となりました。
連合北海道は、道民の負託をうけた道議会議員の責務を放棄した自民・公明両党の議員、不正の解明に消極的であり、問題の幕引きをはかろうとする高橋知事に抗議するとともに、道警不正問題の真相解明に向けた運動を継続・強化します。
「道警不正問題を徹底解明し、信頼回復を求める道民の会」は、第4回定例道議会に対して、@道議会に百条委員会の設置、A知事に適切な予算監督権の行使を求める署名運動による署名簿の提出、道民世論を喚起する街頭宣伝行動、宮城県警の不正問題に取り組む浅野知事を招き道民集会・地域集会等を計画しています。
連合北海道も賛同団体として「組合員一人5名」の署名運動を軸に運動を展開していきます。
【郵政民営化問題の取り組み】
(1)郵政民営化法案の成立と課題
郵政民営化関連法案は、10月11日の衆議院に続き、10月14日には参議院本会議でも可決され、成立しました。
郵政公社で働く労働者、国民が抱えている疑問に答えを示すことなく、「まず民営化ありき」の小泉首相の姿勢に対して、郵政公社の関係労組や連合は、「郵便局のファンの会」等とも連携し、北海道をはじめ全国的にも国民的な反対運動を強めてきました。その結果が参議院での否決という成果を生み出したと言えます。
連合は、この間の国会論議などで指摘されてきた「分社化される4会社の経営採算性」、「金融2社の完全分離」、「官から民への資金の流れを変える道筋」、「郵便局ネ ットワーク維持の不透明さ」、「郵政事業で働く者の賃金や労働条件のあり方」等の問題について、方向性は何ら解決されていないと考えます。特に、「事業の公共性の 維持」、「三事業の一体性の保持」「全国ネットワーク堅持」は民営化という経営形態 になったとしても郵政事業の目的の達成には不可欠な課題です。
来年4月には有識者らによる郵政民営化委員会が設立されます。目的は、3年ごとの民営化状況を見直すのが目的とされていますが、機能や権限は不明確です。
今後、民営関連法が欠陥法であるため多数の政省令などが今後の国会で審議されます。郵政関係労組は、郵政事業の目的の達成のために職場・地域からの日常活動から「要求と提言」活動を強めていく必要があります。また、「郵便局ファンの会」は市民オンブスマン組織に改組し、郵政事業の監視活動を担うことになります。連合は、こうした取り組みを積極的に支援していきます。
【道及び国への政策要求活動について】
(1)2006年度道予算への政策要求活動
連合北海道は、勤労道民の立場に立脚した「要求と提言」を掲げ、連合北海道・道議会議員団との協力と連携を図りながら、政策要求の実現をめざしてきました。
2006年度の道予算編成に対しては、2005年度の取り組みの総括や構成産別・地協からのヒアリングの実施及びアンケート調査を集約して、政策委員会で検討・調整し、10月末までに「要求と提言」を取りまとめ、11月に要求書提出と交渉を開始し、来年1月末には重点課題の決着をめざして取り組みます。
今年度は、道が厳しい財政状況のなかで「道財政立て直しプランの見直し方針」と「新たな行政改革大綱の方針」について年内に「大綱」と「改革工程表」(数値目標)を決定する方針です。これをふまえて、2006年度予算は、「聖域なし」で道民生活や市町村行政推進に必要な予算はさらに切り込む、「人件費の総額10%削減」について知事も言及しています。
連合北海道は、道民生活・暮らしに直結する福祉や弱者を切り捨てる施策には反対、さらに道内の厳しい失業率や雇用対策のための施策については継続・強化すべきと考えます。また、北海道の優れた観光や農林水産業の振興策は重視すべきと考えます。こうした立場からも重点要求については絞りこみながら取り組みを強化していきます。
(2)2007年度政府予算への政策要求活動
北海道に係わる国の2007年度の予算編成に対しては、明年5月より政策委員会の議論を行い、7月に関係省庁交渉、予算確定期における大臣交渉を配置し、政策実現に取り組みます。要求の整理については、原則としてローカルセンターとしての北海道の重点課題(矢臼別米軍演習、幌延深地層研究センター、農業等)を第一とし、さらにナショナルな課題であっても、北海道に大きな影響をあたえるもの(地方財政、教育費等)についても取り上げていくこととします。
(3)政策委員会の機能強化と「産別交流・政策討論集会」について
国と道の予算編成に対応していくために、「要求と提言」作成にあたって、課題に応じて関係産別からの人材派遣も含めて協力をいただき、「プロジェクトチーム」等も編成して政策委員会の機能を強化していきます。また、関係産別・団体との政策協議も実施します。
各産別が抱える課題などについて、全体化していくための「産別交流・政策討論集会」(仮称)について、政策委員会で具体化し、開催に努力します。