その1
 組織拡大を積極的に推進するとともに、
        労働者連帯システムの強化に取り組みます
 
現状と課題】
@ 連合北海道が結成されて本年で15年を経過しました。この間、産別・地協・地区連合の献身的な取り組みにより、道内における経済、行政、社会全体に対する連合の存在感は高まったものの、組織人員は結成時より逆に約5万人減少し、2004年6月末現在、275,747人となっている。また、道内の雇用労働者に占める組織労働者の割合も180%と、前年より0.5ポイント下回り低下傾向が続いています。
A 組織率の低下は、団結権、団体交渉権などにより労働条件が労使対等で決定されない労働者数の増加と経営に対する影響力、政治・行政に対する政策制度実現力等の社会的影響力の低下に連なっており、こうした影響力の低下が労働者の権利・生活軽視の風潮を生み、さらに組織の減少をもたらすといった悪循環に陥っています。
B このため、わたし達は、組織拡大を最優先課題とし、連合本部の掲げる「組合づくり・アクションプラン21」に基づき取り組みを進めてきました。
とりわけ、昨年度からは連合北海道の組織機構、財政を見直し、(1)組織拡大運動の先頭に立つ「組織拡大センター」の設置と専任オルグの配置、(2)労働組合づくりを担う産別・地域のオルガナイザー育成のための「ユニオンスクール」の開催、(3)労金、全労済など労働者自主福祉運動=共助を通じた札幌圏労働者へのアプローチ、(4)労働相談活動を通じた地域ユニオン等への組織化、(5)立ち遅れている非正社員労働者の組織化などを重点に組織拡大活動を進めてきました。
その結果、昨年10月から今日まで3,542人の組織拡大を果たしましたが、官公部門、民間部門におけるアウトソーシング、正社員からパート契約、派遣労働者などの非正社員労働者への置き換え、新規採用の中止、定年退職者の不補充などにより、組織拡大を上回る組織人員の減少が続いています。
C 連合本部は、去る10月に開催した第9回定期大会で、組織拡大はすべての構成組織の最優先課題と位置づけ、重点ターゲットを第一に加盟組合と同じ職場で働くパート、契約、派遣労働者の組織化、第二に連合加盟組合関連企業の未組織、産別未加盟組合の組織化、第三に企業規模の小さい中小・地場企業の組織化などを中心とする「組合づくり・第3次アクションプラン」(200510月〜2007年9月)を策定するとともに組織拡大促進に向けた取り組み方針を決定しました。
D 連合北海道は、この本部の組織拡大アクションプランを踏まえ、組織拡大推進特別委員会(委員長 渡部俊弘連合北海道会長)において、向こう2年間の道段階の構成組織と地協の組織拡大目標とターゲットを設定するとともに、本道の重点産業分野の組織化に向けた共闘体制の確立推進や組織拡大オルガナイザーの養成研修、パート・派遣・契約労働者等の組織化や労働相談などの経験交流会などに取り組み、組織拡大の基盤を拡充、強化する必要があります。
 
一、重点課題
 
[組織拡大北海道版アクションプランの策定と実践について]
 
連合本部は組織拡大を最優先課題と位置づけ、「組合づくり第3次アクションプラン21」(2005年10月〜2007年9月)の組織拡大方針を決定するとともに、2005年11月末までに組織拡大目標を設定することとしています。
連合北海道は、この方針を踏まえ、各構成産別における組織化ターゲットと組織拡大目標の設定と連携した情報提供と地協・地区連合との連携、道内の産業構造、雇用構造の変化を踏まえた重点産業、業種の組織拡大計画の策定、年2回(6月、11月)の組織拡大強化月間の設定と集中行動に向けた組織化ツールの開発、オルガナイザーの育成、パート・派遣・契約労働者などの非正社員労働者の組織化指針の徹底と実践経験交流会の開催など本道における組織拡大の具体的方針を組織拡大特別委員会で協議、決定し、地域ぐるみの組織拡大に取り組みます。
 
二、継続して強化する課題
 
[組織拡大センターによる組織拡大行動について]
 
道内の雇用労働者の約4割を占め、未組織の組織化に不可欠な人材、体制、情報等が集積している札幌圏における組織拡大に取り組むため、連合北海道組織拡大推進特別委員会の下に石狩地協と合同で組織拡大センターを設置して活動してきました。
本年度も、この取り組みの成果と問題点を踏まえ「待ちの組織化」から「能動的・計画的組織化」に向けターゲットを選定し、ルート、手法を豊富化し、年間を通じた組織拡大行動を展開します。
また、各構成組織の協力を得て、組織拡大集中月間を年2回設定し、連合北海道ぐるみでの集中的なオルグ活動を実施します。
 
[組織拡大を担うオルガナイザーの養成研修について]
 
組織拡大を図るためには、労働組合づくりを担う人材の育成は不可欠です。
このため、本年6月から札幌圏の産別活動家を対象にユニオンスクールを開設し、労働法を中心とした知識や手法を学ぶ場を提供してきました。
今後も引き続き年2回開催するとともに第一に学識経験者などを中心とする講師の拡充、第二に雇用・社会保険等の講習科目の拡大、第三に札幌圏以外での開催などについて検討し、具体化を図ります。
また、ユニオンスクールの修了者には、各産別の組織拡大を中心とする組織の担い手として活動していただくとともに、地域における未組織労働者からの労働相談の相談員や労働組合づくりのアドバイザーとして任命し、地協・地区連合の労働相談活動や組織化の一翼を担っていただくよう位置づけることとします。
 
[非正社員労働者の組織化について]
 
パートタイム労働者、契約労働者、嘱託・請負労働者や派遣労働者が増加の一途をたどっており、道内においては雇用労働者の約4割を占めるに到っています。
しかし、こうした非正社員労働者は、多くが有期の雇用契約にあり、また、仕事に見合った賃金、満足ゆく生活ができる賃金からかけ離れた労働条件下で働いています。そうしたなかで、使用者側の一部は正規労働者の労働条件を非正社員労働者に合せる逆均等待遇を進めてきています。
このような状況を踏まえると、加盟組合と同じ職場で働くパート等の組織化は急務の課題ですが、ごく一部の産別組織の取り組みに止まっています。
各構成産別においては、非正社員労働者の組織化は単組の役割であることを徹底して指導し、規約の見直しなど既存の単位組合へ組織化を図ることとし、それが不可能な場合にも、パート労働者のみの組合結成や地域ユニオンへの結集を図るよう取り組むこととします。
連合北海道としては、組織化を促進するため、組織化事例経験交流や有期雇用労働者の雇用安定協定による組織化などの強化に取り組むこととします。
 
[地域労働相談を通じた組織化]
 
景気の低迷、高止まりの失業率、非正社員労働者の増大などを背景に賃金不払、不払い残業、最賃違反、不当解雇、労働保険・社会保険の未加入などの労働相談は急激に増加してきています。
これに対し、連合北海道は各地協を中心に「なんでも労働相談」を実施し、問題解決に努めてきました。こうした個別労使紛争の解決に向けた行政制度としては、北海道労働局の個別労働紛争促進法による助言・指導、北海道労働委員会による解決制度、更には2006年4月から施行される労働審判法などの解決ツールがありますが、連合北海道の労働相談は、働く者のワンストップサービス機能を提供しているところに特徴があり、また相談者の相談事項の解決に止まらず、相談者の職場全体の民主化を図るための労働組合の結成を通じた解決を促すところに任務と役割があります。
今後とも、労働相談を通じた労働組合結成による問題解決に向け、労働相談・実践経験交流会などを開催し、アドバイスとサービス機能の充実を図ることとします。
 
[地域ユニオンによる組織化]
 
連合北海道は、地区連合直加盟組合の産別結集を進めてきましたが、産別移行が困難な組合については、地協単位に地域ユニオンを結成し、活動を展開してきました。
また、連合本部も企業規模100人未満の中小零細企業労働者やパート・派遣労働者の結集軸として「地域ユニオン」を位置づけ、組織拡大を図ることとしています。
引き続き、現存する地区連合直加盟組合について産別移行もしくは地域ユニオンへの加盟化を図るとともに、組合費・加盟費の水準見直しによる財政基盤の確立や地場中小労働者の地域ユニオンへの結集を図るオルグ活動、執行委員会の定例開催、機関紙の発行など活動の強化に努めます。
 
[労働者自主福祉運動と組織化]
 
労働運動の原点は、労働者相互の助け合いであり、連帯です。昨年度は、各構成産別や労働福祉事業団体の協力を得て各福祉事業団体が提供する商品を札幌圏の未組織労働者も利用できるよう、オルグ団を編成、互助会、社員会の結成に取り組み、一定の成果をあげることができました。
いま、企業間競争が高まるなかで、特に中小・零細企業における福利・厚生事業が縮小・切り捨てられています。
こうしたなかで、労働者自主福祉運動の未組織労働者へのアプローチという連帯活動を広げ、そこで育んだ連帯と信頼のなかで労働組合の結成を図ることが重要です。引き続き、労働福祉事業団体と連携し、連合北海道の「プレ会員」の拡大に努めます。