市民の集いアピール
 
 横須賀市における女性殺害事件や、沖縄県のタクシー強盗事件、佐世保市のひき逃げ事件と米兵による犯罪事件が続いている。米兵はいかに犯罪を犯そうとも「米兵」であるがゆえに守られ、被害者である日本人は泣き寝入りを余儀なくされてきた。「日米地位協定」のなせる業であり、我国の今日まで続く戦後史の一面である。
 政府は、沖縄米空軍「嘉手納基地」から発生する騒音軽減策として、F15戦闘機訓練の一部を国内数カ所に移転・分散させることとし、航空自衛隊千歳基地も候補地になっていることを発表した。
 この訓練の移転・分散は、「沖縄の痛みを分かち合う」ことではなく、「危険の全国分散・拡大」であり、矢臼別での米海兵隊移転演習でも狙われている「固定化」につながる恐れがある。
 しかも、当該自治体や住民には事前に何の相談もないばかりか、「日米地位協定の抜本的改正」と「在日米軍基地の整理・縮小」を願う国民の思いや訓練の安全性に対する不安に応えたものとなっていない。
 私たちは、このような一方的な移転訓練の押しつけは、とうてい容認できない。
 矢臼別移転演習では、沖縄で行われていない夜間訓練が実施されるなど、「沖縄と同質・同量」との約束は全く守られていない。嘉手納基地では、「騒音防止協定」を守らず、早朝4時から100デシベルの爆音を伴う訓練を行っている。移転・分散が行われれば、全国各地で早朝から夜中まで爆音を轟かしての離発着訓練が行われ、衝撃波の危険を考慮しない超低空飛行が市街地近隣でさえ行われる。米国本土では行わない危険で迷惑な訓練を、日本全国で自由勝手に行う事は許されない。
 沖縄には日本国内の米軍専用施設の75%が集中し、米兵による暴行・傷害・放火、大型ヘリコプターなど戦闘機の墜落・炎上・照明弾や部品の落下など、132万人の沖縄県民の生活は常に危険と隣り合わせにある「異常な状態」にあり、この異常事態の解決は喫緊の重大課題である。
 沖縄の「異常な事態」の当面する解決策は、「日米地位協定の抜本的改正」と「米軍基地の整理・縮小」であり、根本的な解決は、米軍基地は米国へ移転・撤収するという「当たり前」のことである。
 私たちは、F15戦闘機訓練の移転・分散について断固反対する。
 今後、沖縄をはじめ全国各地の平和勢力と連携し、「日米地位協定の抜本的改正」「米軍基地の整理・縮小」を求める闘いをさらに強めていく。
F15戦闘機訓練移転問題を考える市民の集い