伝説の通訳
「パク・ジュンギュ」のロシア情報

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 「パク・ジュンギュ」さんが、連合北海道のためにロシア情報をUPDATEでお送り下さることになりました。ぜひ「近くて遠い国ロシア」のタイムリーな情報に、ご期待下さい。

2002年 ロシアのHPから  2002.11

雑誌「SIAA」、情報エージェンシー「諸島」によるサハリン関係のニュース

 極東の政治専門の分析者は、サハリン州で大活躍している自営業が経済的に充分成長してきて、日本の諸企業がサハリンにおいて天然資源にアクセスできないように努める姿勢を取りつつあると考えている。この姿勢はロシア政府の考え方に沿っている。これに関連して、将来、今度のサハリン州の知事になり得るのは、おそらく、サハリンで活躍している巨大な企業のリーダーの一人であろう、とも。
 ロシアのプーチン大統領の代理人を務めているプリコフスキイによれば、サハリンにおける生物資源の80%と缶詰製品の60%は輸出品となっている、という。プリコフスキイはサハリンの政府に、事態を根底から変えるように力を尽くすと、約束したのである。

 最近、ハバロフスク市で開催された「21世紀を迎えた日露関係について」というシンポジウムの中で、日本側の代表者によって、「2000年までに日露平和条約を締結する」という旧のロシアのエリツィン大統領の約束について思い出させられた。その約束を守ることによって、北方領土の問題が解決できるだろう。
一方、ロシア側は、「日本もロシアも千島列島の所有権をもっていない、千島列島は元々アイヌ少数民族の故郷である」という史実を基にして訴えた。しかしながら、現在、アイヌ民族の大部分は日本に住んでいる。そうすると、ロシアの立場は有利ではなくなる。千島列島に対するロシアの方針とエリツィンの約束が脱線していることは、ロシア政府や国民を困らせてしまう。

 プーチン大統領は小泉総理大臣に、第一次大戦時、日本産の兵器と交換で、日本が借入したニコライ2世の金貨を返してもらうように義務づけるつもりである。ロシアは兵器をもらわなかったが、1927年から10年間ごとに日本はロシアから6千2百万の金品をもらっていた。今はその借金のことについて話すべき時期であるとロシアの政治家は考えている。今のところ、借金の総金額は4千億円に相当すると測定されている。

 サハリンでは新しい海藻加工場の会場式が輝かしく行われた。この工場が加工する海藻の一種から「アガル・アガル」という治療効果のある薬が作られている。海外市場では、1キログラムの「アガル・アガル」は一万ドル以上になるのである。サハリンの政府はこの貴重な産物を販売することによって、州の資産を増やす予定である。

 現在、北サハリンのオヒンスキイ地区は深刻な問題に直面している。最近の数年間にわたり、住宅が一件も建てられていない。失業・犯罪率は一番高い。当地区の住民を地震発生度の低い住宅地に移す政府の約束も忘れられているらしい。また、投資計画は一つも完成されていないことに、ユージノ・サハリンスク市と比べると、購買力が2倍低い、ということである。

 ロシア漁業委員会は、北朝鮮の漁船によるエトロフ島付近の漁獲の権利を延長することにした。現在、北朝鮮の漁船は色丹島の付近で漁獲を続けているところである。ということで、ロシア漁業委員会は、「後進国に対する千島列島付近の漁獲禁止」という自らの発言を無視したと言える。

 インターネットを利用し、サハリンの庶民を対象とした「北方領土問題」に関する世論調査によると、列島の譲渡に反対している人は59%で、列島譲渡に賛成している人は41%である。「どうでもいい」と答えた人はいなかった。

 今年の2月、「ヤマサクラ37」という日米の共同訓練(軍事訓練)が行われた。ロシアの軍事関係専門家は、その軍事訓練の諸目的は、北朝鮮と中国からの侵略予想を場面設定にしたもので、戦術を練ることである。しかも、侵略された場合、ロシア連邦は仮想敵になるという状況も検討されていた、という。

ハリン州のある役人達は、2003年に、ファルフトディノフ知事がモスクワ政府の政策に忠実なジャカエフに知事の座席を譲ることになるだろう、と予想している。なぜならば、今度の知事選挙について、モスクワの応援を失ったファルフトディノフ知事は、経済・政治的な問題に関して、アメリカの考え方を重視しているからである。

 極東で実施されている全国人口調査は深刻な問題に直面した。というのは、人口調査員のふりをしている不審人物に強盗されるだろうと思われたため、5%あまりの住民に調査を拒否された。また、他の5%の対象者は経済・政治的な動因のため、あるいは、単に家は水がなくて、寒いため、調査員を家に入らせてくれなかった。ある意見によれば、人口調査の実施は失敗に終わる恐れがあるか、実施された人口調査は現状を充分反映しないものになるか、ということである。

プーチン大統領の訪日。日露平和条約の締結は議題の第1番目

 90年代、ロシアは一生懸命に自分の政治組織の整理に当たっていたため、ロシアにとって貴重な地方に対する興味を失ってしまったのである。その結果、サハリン州なんかは完全にロシア政府に忘れられてきた。困難に陥った庶民は隣の日本に助け船を求めるようにするしかなかった。そうしたら、日本は困っていたサハリンの人達に素早く手を伸ばしてくれた。
 両国間の相互理解がそのクライマックスに達したのは、サハリン州と日本の各道・県の知事がビザ無しの入出国の可能性について交渉を始めた頃である。その時、サハリンと千島列島に対するロシアの近視眼的な政策はそれなりの結果を生み出してしまった。北方領土の所有権の問題を主題にした世論調査が実施されたところ、サハリンに住んでいる70%の市民は北方領土の譲渡に賛成する、という意外な結果になった。その結果は極東におけるロシアの対外政策にとんでもない衝撃を与えたといえる。
 1993年に起きた政府の恐慌、1994年のテェテェン共和国との開戦、1996年の大統領選挙後の政府混乱、などといった国内問題が発生したため、ロシアはサハリンと千島列島に対する具体的な方策を練ることができなかった。
 しかし、1998年から、州の経済・政治的な状態について、ロシア政府と国会によって積極的に討論されるようになった。日本との交流を話題にした公式の会議はほとんど行われていなかったことから、日本に対する方策は厳しくなるだろうとロシアの政治家が結論づけた。
 今年の9月、ユージノ・サハリンスク市は120周年創立記念を迎えた。それを記念し、ロシア正教の鐘楼の建設が始まった。つまり、ロシア正教を通して、極東の港町であるサハリンの評判を良くさせ、故郷に対する庶民の愛国心を育てるための方策ということであろう。
 ユージノ・サハリンスク市で、もう一つの行事は行われてきた。それはロシア国旗祝賀式である。式場はサハリンの一番大きい山の麓だった。その行事の目的とは、改めて北方領土はロシアに所属することを主張することであった。
 サハリン政府による情報伝達活動がより活発になった。数日前、ユージノ・サハリンスク市にて「極東と外バイカル地方」経済調整理事会の会議が開会され、「サハリンT・Uプロジェクトを中心にした投資の見通し」について討論が行われてきた。その結果、理事会の幹部はサハリンの天然ガス採鉱の資金を増やすために、ロシア政府に1千万ドルの投資を要求することにした。また、石油・ガス採鉱管理課のポポワ課長は当プロジェクトの重要性を強調しながら、「Tohoku Electric Power」(東北電力)社、燃料課の鈴木課長と天然ガスの納期と売買条件について交渉を始めた。その取引は7県に住んでいる7百万人あまりの需要をカバーできるはずだ、という。
 以上の動きは、ロシアの対外政策におけるサハリン州と千島列島の経済・社会的地位を以前よりもっと高めようとする試みの証拠である。
 サハリンでは「第5回サハリンフォーラム2002」というロシア・日本会議が開かれている。その会議に参加するのは、「安保研」国民安全研究会である。会議の参加者は、特に経済的な面において交流計画を練っている。
 しかし現在、サハリン州では正式に登録されている116の日ロ合弁企業の内、実際に三分の一しか動いていない。企業発展の妨げになっているのは、海外投資が流れ込むことに適していない現行の法律制度である。ところが、近い将来にこの問題は解決できそうな一方、北方領土問題の解決はまだ見えてこないのである。
 日本は今年の秋にプーチン大統領を迎えるように準備している。日露平和条約の締結は議題の第1番目となっていので、今回こそ、日本政府は公式会議を行い、建設的な交渉できるよう願っている様子を見せている。

出典:1. www.sakh.com
         2. 雑誌「SIAA」
          3. 情報エージェンシー「諸島」