ようこそおいでくださいました。
「パク・ジュンギュ」さんが、連合北海道のためにロシア情報をUPDATEでお送り下さることになりました。ぜひ「近くて遠い国ロシア」のタイムリーな情報に、ご期待下さい。
2002年 ロシアのHPから 北方領土問題を巡って 2002.11
日露平和条約を締結するために、ロシアはどのように準備しているのか
プーチン大統領の来日の日が近ければ近いほど、極東、とりわけサハリン州の住民の緊張が一刻一刻と高まってくる。サハリンの州民はまるで長い冬眠から目を覚ましたようである。「ロシアの統一性は危機にさらされそう」、「ロシアにとって重要性のある諸島が奪われる恐れがある」、「ロシアが切り離されている」、「日本はロシアの歴史を書き直そうとしている」、といった懸念が寄せられてくる。問題の深刻さをより強く感じさせるために、サハリンの子供達は州の代表者としてテレビやラジオに登場している。現在、北方領土の問題に関しては、ロシアの政治家の意見はみごとに一致しているので、千島列島の譲渡を拒否し、日露平和条約を結ばないことにする一方、いつも通り日本との友好関係を深める方針をすすめようという指令がモスクワから送られてきた。
今年の3月にロシア国会が開会し、国民の安全という観点から、千島列島の所有権の問題を巡って画期的な解決が出された。その準備として、千島列島における金(1876トン)、銀(9284トン)、そして貴金属となるレニウム(36トン)といった天然資源量が測定されてきた。1年間に45億ドルに相当する天然資源量が採鉱できると見なされている。モスクワから、北方領土問題を巡って日本側と議論する際、「我々は千島列島が必要だ」という立場を守るように命令が送られてきた。しかし、それだけではない。最近の数年間、千島列島には発電・交通・サービス関係の企業が40個所設けられたと指摘されている。また、漁業の占める比率が3倍、水産物が5倍増加し、その結果、1,800以上の雇用が作られた、という。
以上の数字を信頼すべきかどうか、というのは問題だが、この問題は説得力を持つ根拠がある。例えば、1994年から2001年にかけて、千島列島の経済や文化的な発展のために、国家の資産から17%しか投資されていなかったこととか、1994年に起こった大地震の跡はまだ片付けていないこととか、日本を対象にした海産物の密輸や、千島列島の人口の減少が続けているなどといった根拠が挙げられる。さらに、国の経済的援助プロジェットは実施されず、列島の発展は事業家に任せている状態が続いている。
さて、プーチン大統領は国会や諸地方の政府に対して、どのような政策を勧めてきたのか。
第1に、平和条約は要らないから条約を締結しないこと。今まで条約は結ばれていない、ということは日本のせいだからである。最初に千島を軍事攻略した日本は列島を所有するわけにはいかない。
第2に、米軍基地は日本に存在するという事実は、日本はロシアに対する好意を持たないことを示しており、アメリカと組んで、オホーツク海をはじめ極東で活躍範囲を広げる機会を絶対見逃さないだろう。
しかし、1956年に両国によって署名された条約(日露平和条約を結ぶことになったら、ロシアは歯舞と色丹島を日本に譲渡してくれる、という内容)と北方領土の問題の存在を確認する声明(1991年)がある、ということを考慮しないわけにはいかない。ロシア側はこのような立場を次ぎのように説明している。千島列島を譲渡しない理由は、新しく生まれた人口の問題がある。千島列島は多数のロシア島民とって故郷となっている(生まれてから、どういうわけか出身地を後まわしにしてしまう)。
また、列島の発展のために、投資額が相当多い(実際に、他の地方と比較すると、千島列島の投資額は一番少ないが)。
続いて、国土の一部を譲渡することを、旧ソ連の共和国の一つであるロシアと打ち合わせなかったため、違法な内国手続きになった(それは明らかにロシアのせいである)。
千島列島のうち、2島を渡してしまったら、日本は残りの島々が欲しくなるだろう(各国は自分なりに考えている)。
千島列島の譲渡はロシアのプライドと対外政策に対する衝撃になる(チェチェン共和国、カリニングラード州、チュコト半島の出来事は、すでにロシアのプライドと対外政策に衝撃を与えているのではないか)。
国土の一部を譲ることによる日露平和条約の締結は認められない(今までの経験によれば、時にはロシア政府を信じてはいけないそうだ)。
結局、国会に参加したロシア政府、軍政、上院の代表者は、近いうちに千島列島は日本に譲渡しない、と結論づけた。更に、列島を譲渡しないように、緊急措置が講じられたのである。
具体的にどのような措置だかというと、千島列島における「特別経済ゾーン」と「サハリン州における事業発展の特別措置ついて」といった法案が、ロシア政府により検討されている。また、新しい天然資源の偵察が行われている。また、色丹島にある魚加工場に、海産物を提出するために出入港する外国船を管理する管理所を設けるプロジェクトが、ロシア政府により検討されている。ロシア人の意識に働き掛けるような、日本領事館による宣伝活動を制限させる法案も検討されている。千島列島の歴史的な地名を具体的に説明してくれる地図の出版が促進されている。サハリンの州民の生活水準を向上させるために、ロシア語と日本語によるラジオ放送「ロシアの声」ができている。
では、今年の秋、プーチン大統領の来日する目的は?
出典:1. www.sakh.com
2. 雑誌「SIAA」
3. 情報エージェンシー「諸島」
2002年 ロシアのHPから 極東における新たな動き2002.10
新たな密輸対策?
最近、ロシア連邦国会に承認された「ディジタル電子署名法」という法律は革新的だと考えてもよさそうである。つまり、各漁船の船長は漁場から海外の港で水産業者に売り込む前に、捕った魚の全量について報告することが義務付けられるようになった。その法律は、日本と韓国における海産物の違法な密輸に対する対策である。
サハリン州の経済特区
ロシア連邦の国会はサハリン州の特別経済ゾーンに関する法案を検討するところである。そのゾーンには関税の額が急激に減少する傾向が見られる。それは、サハリン州における魚加工場やガス・石油採鉱の会社にとって重要な意義ある動きとなる。現在、「サハリンT」プロジェクトのために、鋼鉄パイプの生産(7万トン)・入札権の国際競争がサハリン州の政府によって実施されている。
エネルギーセミナーに日本代表参加
日本訪問団は、北東アジア諸国のエネルギー安全保障を巡る問題についてのセミナーに参加した。最近の10年間、ロシア政府によって実施されるプロジェクトによると、極東にある発電所の過剰電力は30億キロワットにも達するそうである。日本を対象にした電力輸出の可能性が予測されている。現在、極東河川のエネルギー・ポテンシャル(能力)は3%しか利用されていない。それは平均的で3千5百億キロワットという。それらのプロジェクトを実現するために、発電所建設の投資として、1年に2百4十億ルーブルが必要とされている。しかし、ロシアはまだその資金は持っていない。そのために日本側は、(双方の)利害関係者により設立される投資銀行を設ける提案を申し出したのである。
サハリンで外国企業に課税特典か?
サハリンは、州への総投資の30%しか占めていない日本からの投資について気になっている。ロシア政府は、州に経済的に様々な面で活躍(活動・貢献)している海外企業に対して特典課税の法案検討を要求した。
右ハンドル禁止の影響
2003年、日本製の右ハンドル自動車は購入禁止される可能性があるということで、サハリンでは運転手達のストライキが続いている。右ハンドルを左ハンドルに変えることは危険な運転につながるし、そういった修理技術はロシアで導入されていない。日本製の車の持ち込み管理も厳しくなってきた。5日間以内で登録することが義務付けられるようになった。
サハリンからの石油
2001年度は日本にサハリン石油の納入が開始された時期である。今までに日本に輸出されてきたのは2百万バレルである。2002年、石油の納入には問題はなければ、日本企業による輸入量が増加すると予測されている。
日本の自衛隊強化に懸念
ロシアをはじめ、サハリン州の政府は、日本側による日本国憲法9条の変更について懸念を抱えている。アジア地域の政治的な状況が変わったため、日本の自由主義政党と自由民主主義政党が、自衛隊を強化するよう勧めた。また、日本経済の長期的な不況を理由にして、日本の対外政策を見直すことも勧められた。日本はアジア地方において自主的政策を行うべきであろう。一方、ロシアは、日本による自衛隊の強化を、千島列島の譲渡拒否に対する対策として捉えることができる。
情報出典:1. www.sakh.com
2. 雑誌「SIAA」
3. 情報エージェンシー「諸島」
2002年 ロシアのHPから
ライバルの弱点を利用すると強くなれる
長い時間経っても、日露平和条約を巡った問題は解決が見えてこない。その問題を解決するために日本側は努力していないとは言えない。ただし、その努力はたまに不十分である。それは、日本政府は、目的を達成するには、まだロシア経済の弱点を利用していないということである。極東のサハリン州を例にしてそれらの弱点はいったいどこにあるか考察しよう。
サハリン州との経済交流を制限し、文化交流を深めようとしていること、そして、北方領土に対する日本側の立場は正しいと認めるべきである。そういった方策の結果として、ロシアの経済力が著しく落ちてくる一方、色々な側面でいつも援助してくれる民族というイメージの日本人の立場は急激に強力になっていく。サハリン州の市民に、日本人が第二次大戦に参加した史実について、否定的に思われていないのはその一例である。生徒と学生を対象にして世論調査したところ、第二次大戦に参加した日本はどうなったかということについて、何も知らない若者は80%以上ということである。ところが、30才以上の大人達は、日本人が教養のある平和的な民族だというイメージを抱えているそうである。とはいえ、極東の経済発展のために、協力的な意思を抑えようとしている日本のポリシーは、ロシア全国の経済に悪影響を及ぼし、ロシアの国際的な立場を弱めてしまうのである。
日本政府は、ロシアが軍事関係者5千万人(5人中1人)の軍国であるという現状を把握しているはずである。従って、経済や政治の問題が起こるとしたら、先に発言するのは軍政の人間であり、特に領土問題に関しても軍政の意見は圧倒的になると考えても間違いないであろう。そのことから、北方領土問題に関して日本側は、初めにロシア連邦国防省の幹部の方に働きかけるべきなのではないか、という結論ができる。例えば、日本における海陸軍交流、レスキュー隊交流、旧軍人訪問団の交換などが考えられる。
北方領土問題について、相互理解が一番深まってきたのは、ロシアのマスメディアに、千島列島のうち4島を日本にあげたら、困難に陥っているロシア経済に投資してくれるだろう、というような内容の話が現われた頃である。相当な金額の話だった。その話はロシアの政治家達を4島の譲渡について考えさせたが、続きはなかった。日本の政治家は恐らくそのチャンスを見逃してしまったのである。
北方領土問題を解決しようとする際、千島列島とサハリン州の島民の世論を動かすことが、注目するべきポイントになる。つまり、ロシア政府に国民の信頼度が低いのは、国の弱点である。従って、北方領土問題についての世論調査、小投票、民間マスメディアを利用した運動などを定期的に実施しなければならない。
いつも困っている市民を援助することも一つの決断であろう。最近の台風に襲われたサハリン州にある23の魚加工工場のうち、ほとんど全部が崩壊したのである。それらの工場はサハリンの漁業の将来を決めるもとになっている。自己目的を達するために極東地方会議議員達が使っている手練手管も参考にするといい。それは、近い将来市民の生活水準を向上させるという約束だ。
現在、サハリン州の立場を強めようとするロシア政府の運動に対する対策を考えなければならない。ロシア政府の運動といえば、千島列島において核廃棄物の保管場を建設することである。それは明かに政治的な作戦であろう。地震の多い土地に核廃棄物の保管場を建設することは危険すぎるし、ロシアの経済情勢からみると、不可能なことである。しかしながら、ロシア国会にて建築計画の討論が勢いよく進んでいくのは事実である。その他の行動にも覚悟するといい。例えば、千島列島付近に海軍基地の建設計画とか、諸島の名前変更などである。恐らく、多くのロシア政治家に「色丹」、「歯舞」、「クナシリ」などといった諸島名は好まれていないようであろう。
サハリン州における文化・スポーツ・教育交流による日本側の対策は、そういった計画の妨げになるかもしれないし、理にかなって順序だった理念になるかもしれない。