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「パク・ジュンギュ」さんが、連合北海道のためにロシア情報をUPDATEでお送り下さることになりました。ぜひ「近くて遠い国ロシア」のタイムリーな情報に、ご期待下さい。
2002年5月23日 ロシアテレビRTR放送
ロシア極東地域における密漁・密輸問題とその対策
この4か月間だけでも、極東地域での密漁・密輸に対する罰金は1,200万ルーブルにおよんでいる。どの密漁船にも最新の日本製のナビシステム、コンピューター、レーダーが備わっている。しかし、一方で漁業資源の保護を担う国境警備隊の船舶の持つ機器はお粗末なものである。公式な統計だけでも、密漁による漁獲量は毎年15%から20%との情報がある。連邦国境警備長イワンチェンコ報道官は「今年に入っての4か月間の、太平洋での罰金だけでも1,200万ルーブル以上になっている。数10隻が逮捕されている。しかし、取締りの範囲も氷山の一角である。密漁によるビジネスは数10億ルーブルにおよぶだろうとされている。経済犯罪対策局の統計だけでも、この地域での密漁の規模が推測される。日本、ロシア双方のデータを使っての比較では、日本がロシアから実際に受け取っている水産物の量は、公式の輸出量の10倍におよんでいる。しかし何処の地域で密漁が多いのかの質問には、取り締まり機関も答えることができない。魚のいるところには密漁者もいるのである。」と語った。
経済犯罪対策局は、密漁ビジネスが取締り機関をも抱き込んでいる場合もあるとしている。最近、国家漁業委員会のレメンチェンコフ前副議長が5年の自由剥奪の刑を受けている。レメンチェンコフ前副議長は科学調査目的の漁獲量を減らし、それにより生じたカニ610トン分のクォータをある企業に譲渡した。これも密漁行為に考えられる。
現在ロシアの生物資源を管理している国家機関は12とも、14ともいわれている。次回の安全保障会議に向け取締り機関は.提案を作成中であるが、密漁は罰則を重くするに限るとの考えである。密漁はただの横領ではなく、ロシアの国としての安全保障を脅かすものだからである。
ロシア上院に新たな協議機関として議員評議会設置
上院は新たな協議機関として、議員評議会を設立した。現在上院で活動するのは、地方の行政長官本人ではなく、その代表者たちであるが、新たな評議機関の設立により地方議会のトップが上院にくることになった。地方議会の代表が国家レベルでの立法化に関与していくのである。その意味では中央と地方の連携といえる。
プラトノフ モスクワ市議会議長は、「21日の本会議にはプーチン大統領も出席した。議論の焦点は、新たな協議機関が国の立法機構にどのように組み入れられるのかと言う問題である」と述べ、ムルマンスク州のポポフ代表は、「縦の流れがスムーズにいくようにという目的はある」といった。
プーチン大統領は、議員評議会の設立は地方議会に対する圧力ではないが、立法化作業における地方の離反はあってはならないと述べて、タタールスタンの例をあげた。タタールスタンがしているのだから、こちらも独自路線をとりたいという共和国が多いのは事実である。
プーチン大統領は、また、地方の選挙制度改革についてもふれ、地方も中央にならって、直接選挙と政党を中心とした間接選挙との混合システムをとるべきだと堤案した。でなければロシアには本当の複数政党制が根付かない。地方にも中央と同じ選挙システムを導入しなければならない。プ−チン大統領のこの提案は、新たに設置される議員評議会で取り上げられることになった。ミロノフ上院議長は、議員評議会は秋の会期で正式に大統領直属議員評議会としてスタートすると宣言した。
北朝鮮の ペク外務大臣のモスクワ訪問
ロシア外交は悪の枢軸国といった概念とは無縁である。北朝鮮、朝鮮民主主義人民共和国のペク外相が、北朝鮮外相としては15年ぶりにモスクワを訪れた。ブッシュ大統領との首脳会談が2日後に迫った中、北朝鮮の外相としては1988年以来のロシア訪問である。
外交日程は伝統に従ったもので、先ずは無名戦死の墓に花輪を捧げるのである。そしてその後、イワノフ外務大臣と会談する。イワノフ外相は2000年にピョンヤンを訪問しているか、このときロシアが北朝鮮との関係を重視しているとの考えを伝えた。両外相は良識を発揮して様々な問題に取り組むべきだとの考え方で一致した。
「国防委員長であるキム・ヂョンイル総書記のロシアに対する個人的な配慮を評価している。プーチン大統領も朝鮮民主主義人民共和国との関係に特別な関心をよせているという。」イワノフ外相はこう述べて、悪の枢軸国のリストを作るというような行為は非建設的であるとの考えを伝えた。今度の外相会議で取り上げられた問題の中には、ロシアと朝鮮半島とを結ぶ鉄道建設がある。この建設には参加を希望している企業が数多くあるということである。
また両外相は,朝鮮半島における安全保障、核拡散防止問題、北朝鮮と国際社会との対話継続問題等を話し合った。
ロシアテレビRTR 5月22日
ロシアにおける軍人の待遇改善と志願制への移行について
軍人の待遇の改善や軍の志願制への移行について、プーチン大統領と関係閣僚による協
議がクレムリンでおこなわれた。
軍人の給与の引き上げについてはクレムリンでこれまでに度々協議がおこなわれてきた。給与の引き上げを定めた法律の施行まで1か月余りとなった今、この日の協議では、予定通りの引き上げが実施できるのか、どうかが焦点となった。給料の引き上げは2段階に分けて実施され、7月からは役職給が、来年1月からは階級給が引き上げられる。この日の会議でプ−チン大統領は、「まだ、省庁間で対立が残っている。これを完全に解消する必要がある。最小限の時間ですべての問題を解決しなければならない」と述べた。
軍人の給料の引き上げは、当初、一般の公務員との給料の格差を解消することを目標としたがこの日の協議の結果、より一層の引き上げをおこなうことになった。この日の協議では、このほかの軍の改革についても話し合われた。そのうち軍の志願制への移行の問題についてイワノフ国防相は、「ブスコフの第7
6空挺師団で試験的に志願制の移行を予定している。そのために必要な費用は2
6億ルーブルになる。このうち7億ルーブルについては、今年中に支出される。来年の秋までに志願制に移行できるよう、年内に国防省が基盤の整備に着手する。そして志願制が実際にどう機能するのか見てゆく」と述べた。
イワノフ国防相はまた、全軍を志願制に移行させた場合の費用について、来年中に算出する方針であることをあきらかにした。現在までの概算では1,000億ルーブルを上回る
−ということである。
シべリア・極東地方の山火事
シベリア・極東地方では森林火災が猛威をふるっている。この1日でさらに100か所以上で火災が発生している。非常事態相のショイグ大臣によると、同省の輸送機がシベリ
ア・極東地方に飛び立っていくとのことである。
極東は炎に包まれている。この1日で火災地域は114か所となり、およそ10万ヘクタールに達している。ショイグ大臣は、非常事態相の地方幹部分科会で怒りをあらわにしていた。火災現場では、2,000人以上の森林警備職員と救助隊員が必死の消火作業をしている。しかし森林は燃え続けている。
アム−ル州では火災地域17か所、火災面積2万7千へクタ−ル、沿海地方では火災面積3千ヘクタール、サハリン州では2千へクタール以上、カムチャツカでは大火災が2か所で発生。サハ共和国では貴重な森林地帯が面積にして7千へクタールも炎に包まれ、イルクーツク州では火災地域がおよそ50か所に達している。最も危機的状況にあるのはハバロフスク地方で火災面積は6万2千ヘクタールに達しており、先週に比べ2倍以上の広がりをみ,せている。森林火災は居住地域の近くまで達している。
ハバロフスク地方とアムール州は資金不足で破局的な状況をむかえている。国家予算による火災対策費は3千万ル−ブルにしかすぎない。それに人手も不足している。火災地域は236か所におよぶが、森林航空警備局の消防隊員は2,107人、ハバロフスク地方の火災現場には非常事態省の混成機動部隊が消火用の特殊設備を持ち込んでいる。また、極東にむ抹消火設備を極えた輸送機5機が投入されることになっている。この輸送雛には容量4
2トンの防火用水タンクが備えつけられている。
週刊紙「自由サハリン」No.18、2002年5月2日
サハリン州における女性の社会的地位
文明と解放は女性の生活様式とその社会的重要性を変えた。女性は「特典」「弱き性」
を返上した。
2000年における、様々な経済分野に就業している女性の割合は51.7%を占めている。経済分野で、教育、保健、文化、芸術、財政、保険および信用機関は「女性の」職場といわれ、そこに働いている職員の7
0 〜8 0%は女性であり、管理機関では、ほぼ半数の職員は女性で占められている。国権執行機関の長代行を4
0 0人以上の女性がおこなっている。
経済分野では、29%が大学と短期大学の学歴を有する女性職員(同男性は21%)と48%以上の中等と初等専門学校卒業の女性職員が勤務している。
州の大学では現在6,500人(全体の66%)と中等専門学校では3,700人(全体の44%)の女子学生が就学している。
女性は環境に、より良く順応する能力を有し、それが健康と長寿に役立っている。最近のデ−夕では男性1,000人に対して女性1,024人の割合となっている。女性人口が男性人口を上回るのは、45才年齢グループから始まる。人口学的グループが年長であればあるほど、その中の女性数が多い。85才以上のグループには女性数が男性の3倍半数上になっている。予想される出生率で、2000年の女性の平均寿命は、男性より11.7年、長く70.2才となっている。
生活水準の低下は、立派に家族を養うことができず、婚姻の成立数が少なくなり、離婚数が増加して、その結果、出生率が低下している。2001年度においては婚姻10に対して離婚が9.5(2000年には8.7)になっている。離婚頻度は1990年度に比べて1.8倍に増加している。
女性は、自分の力しか頼りになるものがないことから、次第に未婚で子供を生むようになった。2000年度には、公式婚姻登録なし家庭で生まれた子供が全体の42.9%(1999年に比べて0.5
%増加)になった。
女性労働市場における状況は結構厳しく、実質的には改善されていない。2000年の年末における、公式登録されている女性失業者は65%になっている。
サハリン州における犯罪件数 <総体的状況>
1995〜2000年代には捜査活動状態が多少安定した。各都市における登録された犯罪件数は年々減少している。1995年に23,797であったのが、2000年には14,682となっている。犯罪件数の減少は、ユジノ・サハリンスク、ネベリスク、ホルムスク、ポロナイスク、クリルスク、トマリ、ユジノ
・クリルスクの各地域で見られた。
それにもかかわらず、州の犯罪面での状況は厳しい。2001年には州内で15,114件が登録され、2000年度に比較して2.9%の増加となっている。住民10万人に対する計算での犯罪件数2,573で、2000年の2,470を上回る(4.2%の増加)。
犯罪件数の上昇しているものには、エコロジー的犯罪(53.2%)、性的不可侵と個人的性の自由の侵害(49.4%)、生命と健康に対する犯罪(28.8%)、経済活動分野での犯罪(24.8%)、司法に対する犯罪(15%)、国事犯、住民の健康と公共道徳侵害(13.1%)等がある。
2000年度に比べて犯罪件数が減少しているのは、家族と未成年者に対するもの(10.1%)、社会的危険度を有するもの(9.3%)、所有物に対するもの(4%)等がある。
1997年からは、武器の無法流通(購入、譲渡、売りさばまき、保管、運搬、武器と弾薬ならびに爆発物の携帯)に関する犯罪登録数が減少している。全体の犯罪件数に対するこれらの犯罪の割合は、1997度に2.9%であったが2001年度には2.2%となっている。
重大な犯罪は、従前通り支配的位置を占めている。その件数の割合は全体の52%以上を占めている。最近の7年間、人命と健康の侵害、計画的殺人と殺人未遂、傷害致死のような危険な犯罪件数の減少は見られない。
犯罪構成のなかで.所有物に対する横領、侵害は伝統的に優先している(全体のほぼ60%)。実に2つの犯罪のうちの1つは窃盗でその割合は72%以上にのぼっている。
麻薬中毒者についての問題解決が困難な状態となっている。麻薬常習者数の増加はそのニーズが増大し、それに相応して主にその密輸による非公式な流通がおこなわれている。
1995年に、非公式の流通に関する犯罪(麻薬剤の製造、購入、搬入等)が352件登録されているが、2001年には812件(全体の5.4%)となっている。このグループの犯罪は、主に18
〜29才(全体の58%以上)と30〜49才(34%)年齢層のものによって犯されている。社会的所属は、50%以上が一定した所得を持っていないものと約30%が労働者である。
刑事上の局面に対して、犯罪を犯す人々の社会的性格領域が実質的影響をおよぼすものである。統計上のデ−夕によると、毎年約60%の犯罪を犯す市民が一定の所得源を持っていない。
少年少女年齢層の刑事学化問題が当面の問題とされている。犯罪件数の減少にもかかわらず、未成年者によるの犯罪件数は年毎に数千件におよび、その割合は全体の7%以上になっている。
女性による犯罪の割合(約8%)も多い状態のままである。
犯罪状況の分析結果によると、州には登録された犯罪についての情報基盤はできたが、しかし、州における犯罪学的プロセスの現実的状況は十分に示されていない。
サハリン州国家統計委員会
社会・政治新聞「ソビエト・サハリン」紙No.75 2002年4月25日
なぜ? 物価は上昇するのか
4月19日から電力使用料が16コペイ力高くなることは事実上皆知っている。てっとり早くこの情報は州住民にことごとく報じられた。サハリン住民の「照明と煮たき」費が高くなった。
温かい昼食が値上がりするばかりでなく、冷たい菜食の値も高くなるだろう。何故なら、熱と電力料金値上げが一般家庭ばかりでなく、団体・組織にもおこなわれるからである。それは即ち、島内の養鶏場、温室栽培の製品の価格を引き上げることにもなる。
これによって、私たちの農業企業は、電力の17〜18%と熱使用料金はほぼ22%余分に支払わなければならない。農企業に対する料金率の値上げは、4カ月前と、最近の12か月間中に3回おこなわれた。
客観的見地からみて、工業生産企業は、熱と電力の特恵メリットを分与されている農企業より、ほぼ2倍多く払っていることから、価値ある事業ができると考えられる。春が長引いたことと、それにともなって、「サハリンエネルゴ」(配電会社)のサービス諸経費のかさばりもよぎなくされている。すべてこれらからの結論は簡単である。養鶏場「オストロヴヌィ」とハウス栽培ソフホ−ズ「チェプリチヌィ」が現在価格の10%の引き上げを予定している。
それは、上記の生産品ばかりでなく、州内の農産物生産者全てがその生産物の価格を引き上げるものと見られる。「オストロヴヌィ」と「チェプリチヌィ]は明確な例であり、その「チェプリチヌィ」は、熱と電力使用料を支弁するのに、今年2,900万ルーブルの助成金を州予算から受けることになっている。
年毎の15%程度のインフレで物価の上昇は止むを得ないと、中央政府も否定していない。ただ、なぜか農企業のための年間助成金総額を賃金率の上昇に考慮していないという問題が惹起する? それとも、電力企業側は、全2002年支払いレベルをそのまま企画したので、急に考えなおしたのか?
いずれにしても、この問題に対する質問は、恐らく、農村側からばかりでなく、官庁の役人からも出されると考えられる。彼らにも、いまから企画外の出費が出てくることである。
勿論、サハリンの農企業は生産品の大きな価格の上昇を抑える努力をするであろう。農企業は、その生産品の価格形成に際しては、総ての内部努力と隠れた貯えを網羅し、電力料金値上げの否定的な影響を全面的に遮断して、その上昇を抑制するものと確信する。そして、この事態は、農企業の若干の指導者に、厄介で、不利な企業を閉鎖することを真剣に考えてもらいたいと要求している。
S.レフチン