マンスリー連合北海道オンライン政策特集(2003.12)

2004年度(平成16年度)道政に関する要求と提言

2003年12月18日

日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長 渡部 俊弘

要求と提言の要請趣旨

北海道知事 高橋はるみ 様

 バブル経済が崩壊し、すでに10年余が経過しましたが、本道経済は今なお低迷が続き、一向に回復の兆しが見えない状況にあります。
 勤労道民の生活の大前提となる雇用情勢では、完全失業率が一時8.1%(1〜3月期)を記録し、その後も6%前後の高い失業率で推移しており、失業の実態を見ても、失業期間が長期化し、失業した中高年者の再就職も困難を極め、新規高卒者や大学卒業予定者をはじめとする若者の失業・無業者の増大は、社会問題化しつつあるなど、その内実は極めて深刻です。
 勤労者の実収入は2002年まで5年連続で減少を続け、税・社会保険料・医療費の窓口負担の増大や保険料引き上げと給付水準の引き下げを柱とする年金制度改革論議も相まって、勤労者は、失業と生活の危機、将来への不安を募らせる状況にあります。
 個人消費の低迷、緊縮財政政策のあおりで道内総生産は伸び悩んでいます。また、道内においても物価がマイナスで推移し、デフレ経済が企業収益の悪化・倒産やリストラをもたらし、それが、生活と雇用不安に拍車をかけるという悪循環に陥っています。
 連合北海道は、これらの経済・雇用情勢、さらには北海道の総人口の減少、出生率の低下と急速な高齢化の進行など社会的な課題を含めて、勤労道民の声を道政に反映するため、「2004年道政に関する要求と提言」を取りまとめました。
 2004年度道政に関する「要求と提言」の主要な課題は、第一に深刻な雇用・失業問題とセーフティ・ネットの確立、積雪寒冷地域に位置する本道固有の課題である季節労働者の冬期援護制度の課題、第二に介護保険制度・地域医療サービス提供体制・福祉など道民生活の課題、第三に地方分権の推進と分権自治システムの構築、道政改革の課題です。さらにこの「要求と提言」では、幌延問題・エネルギー政策などこれまで道民合意で確立してきた政策方針の堅持や平和の課題をはじめ、経済・産業、環境・教育・交通政策など道民の暮らしに深く関わる課題について、提言も含めた内容となっています。
  本「要求と提言」の趣旨についてご理解をお願いするとともに、財政の立て直しが求められている道財政の現状について共通の認識に立ちつつも、雇用対策を重視し、福祉や教育など道民生活を最優先に予算編成にあたるようご要請申し上げます。

2004年度(平成16年度)道政に関する「要求と提言」
 
1.雇用・労働政策(雇用創出と雇用のセーフティネットの充実)
 (1)季節労働者の冬期雇用・通年雇用対策
 (2)雇用機会の創出・拡大とセーフティ・ネットの確立
 (3)労働関係法の拡充とその遵守
 (4)失業者への生活・福祉等支援
2.勤労者福祉政策の充実
3.経済・産業政策
 (1)北海道農業の持続的発展農業
 (2)森林育成と道産材活用
 (3)観光産業振興
 (4)IT、バイオなど先端産業の育成
 (5)地場中小企業再生・金融対策
4.エネルギー政策
 (1)幌延深地層研究センターに関わる基本方針の堅持
 (2)原子力発電の安全・情報公開
 (3)原子力防災訓練の充実
 (4)省エネルギー・新エネルギー開発
 (5)「炭鉱技術移転5カ年計画」の円滑な推進
5.生活・福祉等政策
 (1)利用者本位を基本とした福祉制度の確立
 (2)介護保険制度の充実
 (3)「障害者支援費制度」における「自己選択・自己決定・地域生活支援
 (4)生活保護制度の改善
 (5)少子化への総合的な対応と子育て支援
 (6)地域医療の充実
 (7)男女平等共同参画社会の推進
 (8)地域づくり・街づくり
6.環境政策
 (1)生活・産業廃棄物のリサイクル推進でクリーン北海道
 (2)豊かな自然と共生
7.交通・運輸政策(道民の足の確保)
8.教育政策(希望と心の豊かさを育む教育)
9.道政改革の推進
 (1)地方分権の推進と財政確立
 (2)分権自治と支庁制度改革・市町村合併
 (3)清新の道政実現に向けて
 (4)道財政の立て直しプランについて
10.対外政策(平和の実現)

1.雇用・労働政策(雇用創出と雇用のセーフティネットの充実)

(1)季節労働者の冬期雇用・通年雇用対策

@季節労働者の通年雇用化をさらに促進させるため、冬期間仕事に就くことのできない季節労働者の切り捨てとならないよう、冬期雇用援護制度がより実効があがるよう国に改善措置を求める。
A季節労働者の冬期間における雇用と生活の安定に資するよう、道として冬期雇用援護制度の活用促進のための措置をはかる。
B冬期における季節労働者の雇用機会を拡大する。

(2)雇用機会の創出・拡大とセーフティ・ネットの確立

@危機的な本道の雇用・失業情勢を打開し、速やかに4%未満へ失業率を改善させるため、「北海道雇用創出プラン」(実施期間H14〜18年・H15見直し・拡充)を拡充し雇用対策を強力に推進すること。特に、ITや環境、福祉、食、観光、住宅関連の成長分野における雇用創出に向け、道の各部が予算計上する事業は雇用創出量を明示し、達成状況を検証・公表する。
A公共事業に依存した産業・就業構造の転換を図るため、農業の再生と第1次産業関連ビジネス、少子高齢化対策と福祉ビジネス、環境と景観保全対策など地域ニーズに応えるコミュニティ・ビジネス等の創出を通じた、雇用転換・雇用創出を強化する。そのため、NPOや地元中小企業事業者、新規開業者の開業・運転資金、人材育成、技術・商品開発など総合的な支援策を構築する。
B公共事業予算の縮減で厳しい経営環境にある建設業の異分野進出・経営多角化などソフトランディングを支援する。
C後継者不足などに直面している農業・漁業分野の人材を確保するため、参入条件の緩和、撤廃を図るとともに、技術・経営研修・就業条件、融資等の支援策の抜本的整備を行い、他産業からの就業希望者が従事しやすい環境を整備する。
D地域労使就職支援機構の事業が機動的に運営できるよう地方労働局とも連携し、支援を強化する。
E不良債権処理等により解雇された労働者を引き継いで事業を行おうとする事業主に対する支援制度(仮称;雇用継承奨励金)を創設する。
F求職者と求人側とのミス・マッチを解消するため、職業能力開発、トライアル雇用を拡充する。
G新規高校卒業者の就職促進のため高校教育課程における職業意識を育む教育や体験職業教育を導入・充実するとともに学卒未就職者に対する教育訓練給付金制度を創設する。また、若年者トライアル雇用事業(若年者安定雇用促進奨励金活用)を促進するとともに学卒労働市場の厳しさを反映して増大する若年層の無業者・フリーター等に対する資格取得や職業意識啓発など総合的に取り組む。
Hエイジフリー社会を確立するため、募集・採用時等における年齢差別を禁止する条例を制定するとともに60才以降の継続雇用制度の導入を促進する。
Iパート、派遣労働、契約労働者の労働保険・社会保険の加入促進に努める。
J障害者の雇用の維持、拡大をはかり法定雇用率を達成する。
K太平洋炭鉱の閉山により発生した離職者の再就職を促進するため就職相談、職業訓練など引き続き行う。
 ※閉山離職者(1503名)のうち就職希望者は980名で362名の再就職が決定した。取り消しが45名おり、10月末で573名が仕事を求めている。

(3)労働関係法の拡充とその遵守

@パート労働者及び有期契約労働者の均等待遇の確保を目的とした「パート・有期契約労働法」の制定を国に働きかける。
AILO第175号条約(パートタイム労働に関する条約)の批准を国に働きかける。
B労働基準法に基づく労働時間遵守のための施策・周知活動の強化を通じて、未払い残業など労働基準法違反を一掃し、パートや派遣労働者をはじめ全ての労働者の労働条件を確立する。労働基準法違反に対しては、労働基準監督官による立ち入り、臨検による監督行政の強化を図る。
C公正労働基準を守る公契約基本条例の創設
 改正された地方自治法令(2002年3月)により、すべての請負に関わる入札・契約において、公正労働基準にもとづく「最低制限価格制度」「低入札価格調査制度」を設ける。また、「総合評価方式」を活用し、環境、人権、男女平等参画、障害者雇用、生活賃金などの実現に向けて、「公契約基本条例」を制定する。
DILO94号条約(公契約における労働条項)の批准を国に働きかける。 E公務員の労働基本権が確立された公正、中立、透明かつ民主的な公務員制度 が実現するよう、国に求める。

(4)失業者への生活・福祉等支援

@失業者への生活支援を強化するとともに、支庁や市町村に職業・生活相談窓口を設置する。
A雇用保険制度の枠外におかれている新卒者や自営業者などが求職する際の、職業教育・訓練、就職活動の支援を拡大する。
B離職者・失業者に対する医療・出産・教育などの生活資金貸付制度について、制度の周知・拡充・改善を図る。

2.勤労者福祉政策の充実

(1)パートタイム労働者福祉施策等の拡充

 パートタイム労働者退職金共済制度の加入促進をはじめ、パートタイム労働者の福祉対策の向上などの制度を拡充すること。

(2)中小企業福祉対策

中小企業退職金制度の拡充と加入を促進する。市町村における中小企業サービスセンターの設立促進とそれを支援する。

(3)生活協同組合事業と勤労者福祉

@多重債務問題に関する国・自治体の対応強化
 多重債務問題に係わる苦情・トラブルに対応する国・自治体の相談窓口体制を強化するとともに、違法業者に対する適切な行政指導を行う。また、貸金業登録業者に対する自治体(北海道)立入検査の強化をはかり違法業者を摘発・撲滅する。
A財形貯蓄制度に係る事務代行制度の拡充
 中小企業への財形貯蓄制度の普及のためには、中小企業勤労者が加入しやすく、転職しても継続しやすいシステムづくりが必要であり、そのために中小企業の労働組合や地区連合等の労働組合ローカルセンターでも事務の一部を「事務代行」できるよう取扱範囲を拡大する。
 また、その場合は、当該事業主に財形制度の導入を義務づけることも必要となることから特に中小企業を多く抱える道政の立場からも、財形貯蓄制度導入・普及策の一環として事務代行制度の拡充について国に対し意見反映する。
B財産形成貯蓄活用給付金・財産形成貯蓄活用助成金制度の見直し
 財産形成貯蓄活用給付金・財産形成貯蓄活用助成金制度を利用し、当該給付金・助成金を受給する際の要件となる特定事由への支出額(その額が一般財形貯蓄の払い出し等の額を超えるときは、当該払出し等の額)の基準下限(50万円以上)を引き下げる等の要件緩和を行うことを国に意見反映する。
Cローン利子控除制度の創設
 目的別ローン(住宅・自動車・教育・医療・介護・育児・企業の業績不振やリストラ等による収入減等)を利用する際の税制上の優遇措置としてローン利子控除制度を導入するよう国に意見反映する。
E被災者の住宅再建支援
 「被災者生活再建支援法」附則第2条により、旧国土庁に設置された「被災者の住宅再建支援の在り方に関する検討委員会」の報告(平成12年12月)にもとづき、自然災害被災者の住宅再建を促進するための施策を早期に実現するよう国に意見反映する。
F生協の非営利団体への利用緩和
 生協はその役割の発揮を地域コミュニテイへの貢献や福祉事業への参入等様々な分野で期待されており、生協における文化施設等の地域への開放や非営利団体への団体共済制度の提供など、これらの期待に応え、生協の目的にも合致する活動や事業に関しては員外利用の緩和が図られるよう国に意見反映するる。
 ※農協共済、信金においては一部員外利用は認められている。また、新聞広告やキャンペーンについても制限がある。
G労働者共済事業に係る、以下の税制制度の拡充を国に意見反映する。
a.生命共済、年金共済、火災共済などの掛け金控除制度を堅持し、所得税法及び地方税法上の所得控除限度額を引き上げる。
b.長期共済を実施する生協において、価格変動準備金(会計上は特定引当金で計上)を非課税とすること。また、利子所得の源泉徴収不適用の扱いとする。
H勤労者住宅政策の拡充
a.家賃・ローン利子税額控除制度を創設するとともに、住宅建設資金等融資制度の継続・維持を図るよう国に意見反映する。
b.介護保険の要介護(支援)認定をうけた方が在宅で生活できるようバリアフリー化の促進に向けた、住宅改修費に対する補助を拡充する。
c.個人住宅の耐震補修を促進するため住宅耐震補修費の税額控除制度を創設することを国に意見反映する。
I北海道勤労者信用基金協会に係る損失補填の継続・確保
 平成16年度以降の北海道勤労者信用基金協会に係る「損失補填」については、引き続き財源の確保を行うとともに、一般保証の代弁対象分に対する道の損失補填の現行保証割合の継続・確保を行う。


3.経済・産業政策(地域の活性化)

(1)北海道農業の持続的発展

@ 有機農産物、減農薬などクリーン農業を推進するとともに道産食品の「安全・安心フードシステム」を確立する。牛肉の履歴情報開示システム(トレーサビリティ)を他の品目にも拡大する。
A 道産米など農産物の域内自給(地産地消)を推進する。学校給食における消費拡大をさらに進めるとともに、心楽しく自然の恵みを味わう「スローフード」の食文化運動を進める。
B 「グリーン・ツーリズム」や「ファーム・イン」、「ファーム・レストラン」、「農業トラスト」などを推進し、アグリビジネス・経営多角化などへの支援による本道の1次産業を軸とした地域活性化を推進する。
C 担い手を確保するため、新規就農希望者への土地のリース制度や都市住民、建設業などと連携した多様な新規就農者の参入を進める。また、新規就農から農業経営に至るまでの教育・指導・支援システムを整備する。
Da.環境や景観、国土保全と食料自給率の向上を図る農業の公益的役割を評価するとともに、慣行農法から有機農法への転換対策をすすめる観点から直接支払制度を導入する。そのため国に先駆けた施策を検討する。また、b.農業土木公共事業を中心とする現行の農業予算制度を改め食料の安定生産・安定供給を担う農業経営体に対する直接支援・直接支払制度へと転換するよう国に働きかける。
E 農林漁業系廃棄物の適正処理・リサイクルシステムを確立する。

(2)森林育成と道産材活用

@森林整備の推進
a.森林整備を地球温暖化防止対策、環境保全機能を高める「緑の森のダム」公共事業として位置づけ取り組む。
b.森林整備で生ずる間伐材の有効活用・需要拡大策に向けて支援する。
c.林地残材等未利用資源の有効利用・森林バイオマス・エネルギーなどへの利用を促進する。
A森林整備や自然景観を活かした観光やアウトドア産業など森林関連の雇用を創出する。
B道産材の活用・「地材地消」促進
a.公営住宅、公共建築物における木造使用を拡大し、住宅建設に北海道産材の優先使用を促すとともに「地材地消」を促進する。
b.本道の林業を活性化するため、道産材で耐久性の高い住宅や道産材を一定以上使用して建築した住宅に、住宅ローンの利子補給等する制度を創設する。

(3)観光産業振興

@国内外からの観光客誘致のための取り組みを強め、本道の観光産業の一層の振興をはかる。特に、本道の冷涼な気候、景観と恵まれた一次産業とおいしい食を活かし、国際観光を推進する。そのため、地方空港も含めたCIQ(税関・出入国管理・検疫)体制を整備する。また、体験型・滞在型の観光地づくりを推進する。
A観光地における道産の農産物や食材・食品の活用を促進し、農産物需要を拡大するとともに北海道観光の魅力を増進する。

(4)IT、バイオなど先端産業の育成

@大学や公設試験研究機関と企業の研究施設を隣接させ、研究開発から事業化まで一貫した取り組みを産学官の連携によって推進する「リサーチ&ビジネスパーク構想を推進する。
AIT、バイオ、環境、新エネルギーなどの先端産業は本道の産業活動の高度化にも大きな役割を果たし雇用の吸収力も期待されることから、戦略的なクラスターの形成や企業誘致を展開する。
BITについては、新インフラである高速情報ネットワークを全道に広げるなど、「北海道ブロードバンド構想」を推進する。
C北海道経済の自立のため、ロシア極東地域を含むアジアの安定と発展に貢献し、アジアの活力を北海道の新たな発展の原動力とするため、産学官一体となって経済交流を促進する。
Dサハリン大陸棚石油・天然ガス開発プロジェクト(サハリン1、2)への参入を促進する。

(5)地場中小企業再生・金融対策

@本道の経済と雇用の主要な担い手である中小企業が長引く景気の低迷の中で経営破綻・廃業が顕著である。やる気と能力、存続価値を持つ地域企業・産業の倒産を防止する経営相談・指導、金融対策、経営基盤を強化する技術開発など総合的な事業再生システムを構築する。
A地場中小企業への融資に際しては、財務状況のみならず技術力・販売力など事業の将来性を適切に審査し、金融機関には物的担保主義、個人保証を改めさせ、「事業育成」の視点にたった経営コンサルタント能力を高めるとともに、将来性・発展性を重視した企業への資金融資制度を構築する。
B信用保証制度は、民間金融機関等の融資を促す抜本拡充をはかり、中小企業等の倒産を防止する。
C道や道出資法人が発注する請負・売買などの契約について、道産資材の優先活用をはじめ地場中小企業、北海道発のベンチャー企業に優先発注を拡大する。

4.エネルギー政策

(1)幌延深地層研究センターに関わる基本方針の堅持

@核燃料サイクル開発機構が幌延深地層研究センターで進める調査研究事業にあたり、「本道に放射性廃棄物の持ち込みや、貯蔵・処分場は受け入れない」との基本方針に基づき制定した、「北海道における特定放射性廃棄物に関する条例」を今後も堅持する。また、それを担保するため「協定履行状況を確認する機関」が設置されたが、将来にわたって放射性廃棄物が持ち込まれることがないようにする。

A 電源三法交付金について
核燃料サイクル開発機構幌延深地層研究センターが7月に造成工事に着工したことに伴い、「電源立地促進交付金」「電源立地特別交付金」の支給対象となる当該自治体及び近隣自治体においても、これまでの経緯を踏まえ、「協定」や「条例」の遵守を確約のうえ申請行為を行うことを確認してきたが、当該自治体に対する国(道経済産業局)の行為は、「条例」の趣旨に抵触する行為であり、道は毅然と対応する。

(2)原子力発電の安全・情報公開

@原子力発電所の安全対策は、国に対して原子力行政の推進と規制の分離を求めるとともに、国および電力会社に情報公開の徹底を求める。
A原子力発電は過渡的エネルギーであり、「脱原発」をめざし、代替エネルギーの開発・普及を進める。
B原子力発電所における故障・事故に関しては事故の程度によらず迅速に地元・道に情報開示する原則を確立する。

(3)原子力防災訓練の充実

@防災訓練をより効果的で実践的な訓練とするため、マニュアルの一部に「ブラインド方式」を取り入れる。
A防災訓練に於ける退避・避難訓練への地域住民の参加を拡大する。そのため、学校、関係4ケ町村の公共施設における避難・退避等訓練を実施する。
B避難場所・退避場所に関する情報提供・住民啓発を一層強化する。
C原子力防災に関係する自治体職員、消防職員、警察、学校教職員、医療従事者等に対する研修体制を充実するとともに防護機材の配備を充実する。
D北海道地域防災計画で定める、警戒本部設置、災害対策本部設置、屋内退避及び避難、防災従事者の放射線防護などの基準は災害対策を強化するため、先進県の数値に見直す。

(4)省エネルギー・新エネルギー開発

@省エネルギーの促進とともに、水素エネルギー(燃料電池)や天然ガス、バイオマス、風力・太陽光・雪氷などの自然エネルギーの開発を積極的に促進する。
A二酸化炭素排出を削減し地球温暖化防止問題に対応するため、「北海道省エネルギー・新エネルギー促進条例」に基づく行動計画を見直し施策を拡充する。

(5)「炭鉱技術移転5カ年計画」の円滑な推進

「炭鉱技術移転5カ年計画」の円滑な推進を図るため、太平洋炭礦閉山後に設立された新会社(釧路コールマイン梶jの経営基盤の安定や炭鉱保安の確保、海外からの研修生受け入れ等に関わる事業はもとより、新たな事業展開などに道としても支援を行うとともに平成19年度以降の継続実施を検討する。また、釧路地域で進められているジメチルエーテルの実用化に向けた研究開発など雇用創出効果が期待され、地域要望等に対する必要な予算確保を図る。


5.生活・福祉等政策

(1)利用者本位を基本とした福祉制度の確立

@地域福祉計画策定にあたっては、すべての市町村において住民参加を基本に、利用者本位のサービス実現のため実効ある「地域福祉計画」を策定する。
A個別法定計画等(高齢・障害・児童・母子)の策定支援と地域福祉計画との整合性を確保するとともに策定プロセスに当事者が参加できるよう努める。
B社会福祉サービスの「利用・契約方式」への移行にあたり、介護や福祉等に関する苦情解決・調整機能を果たす第3者による窓口の設置など相談・権利擁護事業を実施する。
C地方分権改革や社会福祉基礎構造改革にともない実施権限が市町村に移譲されているが、福祉・保健諸制度の相談・援助の円滑な実施を確保するため、町村担当部門の実施体制を強化するとともに郡部福祉事務所、心身障害者総合相談所などの道機関の広域調整機能や市町村支援機能を強化する。また、その財源措置を含めた市町村への支援機能を強化する。
 
(2)介護保険制度の充実 

@介護保険法施行5年後(2005年)の制度見直しに向け、以下の見直しを図る。

a.被保険者及び保険給付の対象を20歳以上とする。介護保険・健康保険適用除外の40才から64才までの生活保護受給者は、介護保険・健康保険の受給者とする。
b.低所得者の負担軽減と利用促進をはかるため保険料徴収の弾力化(6段階方式採用)や「貸付制度」を実施する。国の責任で減免措置を行う。
c.第2号被保険者の介護保険料の負担上限を法定化する。
d.ケアマネジメントの独立性・中立性を確保し、所属事業者の利害から離れて利用者の立場から地域全体のサービスをコーディネートできるようにする。そのため、ケアプランを作成する際は他の事業者のサービスも含めた複数プラン提示し説明することの義務づけを追加する。(居宅介護支援の人員及び運営に関する基準)
e.ケアマネジャーの標準配置基準(利用者50人に対し1人)は引き下げる。また、現任研修を充実させ、資質の向上をはかる。
f.介護老人保健施設は、介護老人福祉施設と同様、全室個室・ユニットケア化する。また、介護療養型施設は、入居者の生活の質の向上の観点から、地域在宅サービス等を拡充したうえで廃止する。
g.サービス提供責任者が十分機能するよう、人員配置基準に「利用者数」を追加するとともに、次回介護報酬改定ではサービス提供責任者に対する独立した報酬単位を設定する。
h.市町村への調整交付金(5%)を国庫負担25%の外枠とするとともに、介護給付対象者の拡充、給付内容の拡充に合わせて国庫負担率を引き上げる。
i.都道府県知事が行っている居宅サービス事業者や施設開設の指定は、保険者(市町村・広域連合)が指定を行い、都道府県知事がそれを承認する。なお、事業所指定及び監査について、従業者の賃金が最低賃金を下回っている場合は、事業所指定の取り消しを行う。
j.特別徴収の対象となっていない遺族年金・障害者年金は、本人の選択と同意が有れば特別徴収の対象とする。

A過酷な家族介護、介護施設への入居待機や社会的入院の早期是正に向け、「ゴールドプラン21」を前倒し実施すること。在宅介護やグループホームやケア付き住宅の抜本的拡充を軸に介護基盤整備の拡充をはかる。
B過疎地や離島・山間等のサービス事業の参入が困難な地域について、事業者確保を支援するとともに補助・助成を拡充する。
C痴呆などの介護状態を的確に反映できる認定基準の改善を行い、公平・公正で客観的な要介護認定システムを確立する。また、認定で市町村格差が生じないよう、一次判定の認定調査員の研修を充実する。
D介護保険制度と障害者福祉施策の適用関係を明確化し、利用者の利便性と円滑な運用を確保する。
E介護保険施設・事業所における労働関係法規の遵守、ホームヘルパーの社会的地位の確立と処遇を改善すること。3級ヘルパーの2級以上への昇級を促進する。また、将来的には、ホームヘルパー職を資格化するとともに、養成過程に対して国の財政支援を行う。
F広域連合の導入による保険者機能の強化をはかる。

(3)障害者支援費制度における「自己選択・自己決定・地域生活支援」

@地域に於ける深刻なサービスの不足を改善するため「障害者プラン」を居宅サービス中心に前倒し実施すること。「障害者プラン」で一般財源化された「精神障害者社会適応訓練事業」、「市町村障害者生活支援事業」、「障害者(児)地域療育等支援事業」は、各事業が市町村に定着するまでの間は、国が財政支援を行い、道はNPOなどに対し財政面を含めた支援策を行う。
A「障害者の自立」の観点から、支援費制度の利用料を扶養義務者からも求める規定を見直し、利用料は本人の応能負担とする。(支給決定の「勘案事項」から家族などの「利用者の環境」を除外する)
B支援費制度の各サービスの報酬単位は、介護報酬など、その他の制度のサービスの報酬単位(積雪・寒冷など地域性)との整合性をはかったうえで改訂する。
C障害者サービスにおけるケアマネジメントは、厚生労働省の「障害者ケアガイドライン」をもとに予算を確保した上で支援費制度の中で位置づけるとともに、支援費制度の趣旨を生かすため、障害者ケアマネジメントのための人材養成と財源を確保する。
Dノーマライゼーション理念の実現、バリアフリーの促進、住民参加による「福祉のまちづくり」施策を促進する。
E支援費制度は、一定期間をおいて、その間の利用実態を踏まえた上で全体的な見直しを行う。

(4)生活保護制度の改善

 生活保護制度は、ナショナルミニマム保障にふさわしく、国民が安心して利用でき、すみやかに自立に繋がる制度に改善する。

@「白紙委任的な包括同意書」などを内容とする通知(123号通知とその関連通知)の廃止する。
A「補足率」(生活保護基準以下の生活者のうちの保護受給者の割合)の調査を実施し、結果を公表するとともに補足率の低かった原因の研究・調査を行う。
B貧困の世代的再生産を防止するするため、教育扶助の範囲を拡大する。(高等学校及び同程度の専門学校)

(5)少子化への総合的な対応と子育て支援

@北海道子育て支援条例(仮称)を制定し、社会全体で子育てを総合的に進める。
A北海道エンゼルプラン及び北海道男女平等参画基本計画の着実な推進を図るとともに育児・介護休業制度等の普及やファミリーサポートセンターの設置促進を図り、男女が共に仕事と子育てが両立できる環境を整備する。
B保育所と幼稚園の一元化については、子どもの育ちを保障する立場から施策の確立をはかる。
C多様な保育ニーズに応えるため、保育制度の改善・拡充をはかる。
a.公費の投入割合を高め、保護者の保育料負担軽減する。
b.保育を必要としている人に見合う保育所整備を促進するとともに、乳児保育、延長保育、病児保育、夜間保育、休日保育、多様なニーズに対応する保育体制の整備する。
c.障害児をすべての保育所で受け入れる。
d.過疎地に於ける保育保障を確立するため支援する。
e.無認可保育施設については、児童福祉法の改正により届出等が義務化されたが、保育の質の確保・向上のため実態把握を行い、利用する住民に対し適切な情報提供を行うとともに保育所の最低基準に近づくよう財政支援を行うなどその保育環境の改善を行う。
f.地域における学童保育ニーズに対応する市町村の責任を明確にし小学校区を単位に整備する。
D子育てに対する社会的な支援強化。
a.母子保健法に基づく妊娠期から産後の健康診査を全額公費負担とする。
b.「出産育児一時金」(分娩費・現行30万円)を引き上げる。
E保護者の育児不安、地域での孤立を解消する子育て支援相談などのサポート体制を強化する。
F児童虐待防止に向けて予防対策を重視する地域の支援を確立する。
G育児休業を取得する労働者の厚生年金保険料の免除措置(現行1才まで)を拡充するとともに国民年金第1号被保険者についての保険料延納制度(分割追納)を検討する。
H次世代育成支援の一環として、年金積立金から低利子奨学金貸付制度の創設する。

(6)地域医療の充実

@地域医療圏域ごとの医療サービスを確保するため、無医地区の解消と救急搬送体制(ドクターヘリの導入・消防防災ヘリの活用など)及び高度医療を要する緊急患者の移送体制の確立、過疎地の医師確保、遠隔地医療の充実、夜間・休日診療体制の確立、結核・感染病床の設置を図るとともに基盤整備の財政措置を講じる。
A道内21の二次医療圏毎に定められている基準病床数の設定に際しては、国の算定基準にかかわらず、医療過疎地域を多く抱える実情、高齢者単独世帯の増加、地域における看護・介護サービスの基盤、冬期間の交通事情などに対応して必要な病床数を設定する。
B診療所等を家庭医として制度化し、初期医療(プライマリーケア)から高次医療に至る医療機関の機能分担を明確にし、その相互の連携を強化する。特に、地域の医療体制を充実する施策として、プライマリ・ケアを担う医師の育成を強化しその確保を図る。
Ca.道内3医育大学等に在籍する医師のいわゆる「名義貸し」問題は、郡部・過疎地域における医師確保が困難であることが背景にあり、現在の医療法が定める医師標準数を全国一律から地域実情にあった基準に見直すよう国に求める。また、b.札幌医科大学の「医局講座制」を解消し、透明性のある医師派遣システムを構築する。c.北大医学部、旭川医大など.道内の医育大学とも連携した新しい医師派遣システムを構築し地域住民が安心して暮らせる地域医療体制とする。
D原因不明の呼吸器感染症「重症急性呼吸器症候群(SARS)」に対応するため、ウイルスが外部に漏れない陰圧式病室を持つ第二種感染症指定医療機関から道北圏、道央圏、道東圏、道南圏の6医療機関(26床)を指定し患者の受け入れ医療機関を確保している。SARS等の新たな感染症対策に備え、第1種感染指定医療機関を構築するとともに専門スタッフ確保や派遣体制を整備する。
E道立病院の整備にあたっては、経営効率のみの観点だけでなく、道民に対して責任ある地域医療を確保するとともに医療サービスの低下を招かないようにする。また、SARS対策に関わる第二種感染症指定医療機関、第1種感染指定医療機関は設備の整備や維持管理等の経費を要することから道立病院等公立病院を活用し医療機関として指定する。
F北海道独自の医療費助成制度である「老人医療給付特別対策事業(道老)」(対象;65才〜69才)や国が定める難病とは別に北海道が単独に7つの難病に対して助成している「特定疾患医療給付事業(道単)」については、その対象範囲や給付水準を低下させないようにする。

(7)男女平等共同参画社会の推進

@男女平等参画条例に基づき、雇用・採用における男女差別を無くすとともに、育児、介護における「協働」など男女平等参画の施策を充実する。
A配偶者暴力防止法の実施にあたり、配偶者等による暴力被害に適切に対応できる人材を育成する。また、市町村の役割を明確にするとともに関係機関による被害者保護・相談体制を強化する。

(8)地域づくり・街づくり

@「北海道ブロードバンド構想」推進
 どこに居てもネットで世界と繋がる「北海道ブロードバンド構想」を推進するとともに、北海道においては2006年から地上波デジタル化が開始されるが難視聴問題がおきないようその解消に取り組む。
A近年、中心市街地の空洞化が深刻になっているが、地域コミュニティーの顔である商店街の空洞化対策として制度化された「中心市街地活性化法」を、商店街対策に矮小化することなく、高齢社会を支える生活支援拠点、都市機能充実など立体的に捉えた総合的観点からまちづくりが推進されるよう活用する。
BNPOの育成・活動を支援するとともに、子育てや教育、介護・福祉、まちおこし・まちづくりなど、コミュニティビジネスへの参入を推進する。
C都市計画における地方自治体の権限が拡大されたが、市町村の判断で自由に設定できる「特別用途地区」「特定用途制限地域」「準都市計画区域」等の制度により良好な都市環境の形成を計画的にすすめていくためには、ゾーニング手法が必要不可欠であり積極的に活用する。
D「産炭地域振興臨時措置法」失効に伴う産炭地域対策
「産炭地域振興臨時措置法」失効(2002.3)に伴う産炭地域に対する交付金の廃止、また、地方交付税の減額・見直しなどによる産炭地域自治体の予算の縮減にともなう地域疲弊対策として、引き続きその激変緩和措置に取り組む。


6.環境政策

(1)生活・産業廃棄物のリサイクル推進でクリーン北海道

@産業廃棄物、廃家電製品などの不法投棄対策を強化するとともに道民のゴミ排出削減など環境運動を推進する。
A包装容器リサイクル法施行に基づく全品目別分別収集が全て自治体で行われるよう推進する。
B産業廃棄物の排出削減により地球環境の保全を図るため、北海道廃棄物処理計画を推進とともに産業廃棄物の再生利用を促す技術・設備導入に対し支援する。
Cごみ焼却施設における排ガス中のダイオキシン濃度等の新基準が平成14年12月から適用されており、施設の改造、排ガス処理装置の改良を推進する。

(2)豊かな自然と共生

北海道の魅力ある豊かな自然環境と人が共生することを体験を通じて学ぶ環境学習・教育を推進する。また、登山者によるし尿やトイレトペーパーによる環境破壊を防止対策を推進し自然を守る。


7.交通・運輸政策(道民の足の確保)

(1)地方バス路線

 高齢者や通学者などの交通手段を確保する地方バス路線の維持、より高度な安全対策やバス優先運行施策など乗り合いバス利用促進を図るとともに、「バス利用促進等総合対策事業」予算の国・地方自治体の補助を拡充する。

(2)高規格幹線道路網

 北国のライフラインとして欠かせない高規格幹線道路網の整備については、優先度をつけて進める。

(3)北海道新幹線

 北海道新幹線は、新青森・新函館の同時開業をめざす。

(4)新千歳空港国際化と道内空港のCIQ(税関・出入国管理・検疫)推進

 新千歳空港は、北のゲートウエイ空港化を推進する。また、道内空港におけるCIQ(税関・出入国管理・検疫)を整備し海外交流との拡大に資する。

(5)鉄道輸送

 道内各地域における基幹的輸送機関としての鉄道経営を継続するために必要な「税制特例措置」(〜H18年まで暫定的に再延長)の恒久化、「経営安定基金運用益」の確保、青函トンネル施設の機能・安全性を維持するために必要な大規模な改修事業に伴う予算措置及び平成16年以降の新たな支援スキーム確立などについて、国をはじめとする関係機関に働きかける。


8.教育政策(希望と心の豊かさを育む教育)

(1)「家庭と仕事の両立」(家庭教育の充実)を実現し、地域から子育て・子育ち支援システムを確立する。

@ 子育て・子育ち支援センター(仮称)設置
 児童館や学校の余裕教室等を活用して、高齢者など地域の多様な人材を登録し、世代を 越えた交流の場として保護者に対する子育て相談、子どもの心のケアや相談を行う。
Aより良い保育・教育環境を確保するため、現在の保育所と幼稚園の一元化。
B学童保育を全小学校区単位に設置する。
C子どもの権利条約を地域社会に根付かせる。

(2)少人数学級と学校裁量権の拡大を推進し、子どもの学ぶ意欲を引き出す。

@義務教育国庫負担制度を堅持する。
A学級編成基準は、現行の上限規制方式から「標準方式」に変更し20人程度の少人数学級とする。特に、小学校の低学年については、優先的に縮小をはかり、複数担任制を推進する。
B教育行政の地方分権推進、学校裁量権を拡大する。
C教材選定に関わる各学校の権限を拡大する。
Dすべての子どもに基礎学力を身につけさせることを重視する。
E小学校の高学年で「教科担任制」を拡大、中学校への円滑な移行を図る。

(3)子どもの「生きる力」と社会性を育み、男女平等の視点にたった学校・社会教育を推進し、18才までに社会人としての「自立した個人」を育成する。

@18才までに社会人として「自立した個人」を育成することを学校教育目標とする。
A学校教育は「社会力の形成」(社会を創り、参加し、話し合って変えていく)を目標とする。
B暗記と知識の量を重視した学力観から、基礎・基本と理解力・思考力・創造力・問題解決能力の質を重視した学力観に転換し、生きる力を育む教育を推進する。
C人権意識を高める教育を進め、身体障害者、高齢者、外国人、アイヌの人々に対する差別・偏見を解消する。
D総合学習では、体験を通じて、子ども自身の興味や関心を高めることを重視する。(社会体験、労働体験、自然体験等を通じて、社会性や勤労観・職業観を育む)
E中学校卒業までに「パソコン」の基本操作をはじめネット取引やセキュリテイに関わる基本知識を習得する。
F国際化の進展の中で、英語その他の外国語教育を充実する。
G入学式や卒業式で、国旗掲揚・国歌斉唱を強制することなく、子ども達の主体的な参画による各学校の特色ある式典を行うことを保障する。

(4)いじめをなくし、子どもの学ぶ権利を守る環境を整備する。

(5)国際化に対応した子どもの学習条件を整備するとともに、不登校対策等を充実する。

@留学生、外国人児童・生徒の受け入れ態勢、帰国児童・生徒の入学・編入等条件整備・拡充する。
A不登校等の学習保障や居場所にもなっているフリースクールや通信制高校で、次の条件を満たす施設等に対しては、行政、教育専門家、市民等の代表者を入れた第三者機関が認定を行い、助成金による財政支援を行う。
 ・NPO法人で事業内容の透明性が確保されている。
 ・継続的な活動実績がある。
B定時制高校や通信制高校を学び直しのできる教育の場として積極的に位置づけ支援を強化する。

(6)地域と教職員で開かれた学校づくりを進める。

@学校協議会制度を公立・私立を問わずすべての小・中・高校に導入する。保護者、地域住民、教職員の代表による構成に改め、児童・生徒に関わる課題を審議する場合は、児童・生徒の代表が参加できるようにする。
A学校運営に参加・協力・支援できる個人・団体等を対象に「学校協力員制度」(仮称)を導入する。

(7)学校運営に教職員が参加することを通じて、「参加と責任」を明確にし、教職員の意欲を高める。

(8)ものづくりなど実体験を通じて、勤労観・職業観を育み、キャリア教育を充実させる。

@子どもの成長段階に応じて、小学校・中学校・高校から高等教育機関まで系統的に勤労観・職業観を育む教育やキャリア教育を進める。また、ものづくりの楽しさを体験できる機会を提供する「工作教室」や「技能塾」などを職業訓練校で実施する。

(9)入試制度を改革し、「学習歴」を重視した多様性ある学びの場を構築する。

@入試制度は「ゆとり教育」や総合学習の導入等の新学習指導要領にふさわしい、理解力・思考力・創造性・問題解決能力等の学力の質を重視した入試内容にするとともに中学校時の学業評価、作文、面談等に重点をおいた抜本的な改革を行う。
A内申書は簡素化するとともに客観性・納得性のある評価基準・指標を確立し教員の主観で評価が左右されないようにする。

(10)ゆとり・豊かさ、生活の質を重視した生涯学習を推進し、地域住民が集う、文化・スポーツの拠点を創る。

@ 学校を地域住民のコミュニティ拠点として活用し、子どもと大人の協働の場としての機能を持たせるとともに、今後、老朽化した学校施設の建設・整備を進めるにあたっては、環境を考慮した学校施設(エコスクール)への改築・整備、バリアフリー化など高齢者や障害者等を含めた地域住民との交流を意識した多機能化・複合化を進める。
A学校校庭の芝生化や校庭は公園機能も併設したものに改変、学校農園や学校林を整備・復活させ総合学習等に活用する。

(11)教育委員会を改革し、特色ある地方教育行政づくりを進める。

@教育委員会のあり方を、地方分権推進の立場から生涯学習時代にふさわしい内容に見直す。
A教育委員会と学校との関係を、指導から支援を重視したものに見直し学校の自主性・主体性を拡大する。
B教育委員の任命にあたっては、保護者や地域住民の意向を反映した各団体による推薦制、公募制や地域住民による公選制など導入し、幅広い分野から高い見識と意欲をもった人材を選出する。

(12)私学助成

@教育を受ける機会の均等を保障するため、私立学校に対する経常費助成を拡充する。
A授業料、入学金の直接助成及び奨学資金の改善、遠距離通学生への交通費を補助する。
B私立高等学校生徒に対する奨学事業など直接的な援助事業を改善すること。
C私立高等学校授業料軽減補助事業の充実・改善するとともに生活保護世帯の子どもに対する授業料免除措置を創設する。
D私立高等学校における35人学級(将来的に30人)完全実施のための特別補助を行う。
E専任教諭の配置率向上など標準的な教職員数を確保するための特別補助を行う。
F私立学校の校舎改築を含む施設設備整備のための特別助成措置を行う。
G私立幼稚園・私立専修学校教育の振興を図る助成を拡充する。


9.道政改革の推進

(1)地方分権の推進と財政確立
 
 地方分権・改革を三位一体(補助金と交付税を削減して税源移譲する)で実現するため、以下の点について国に求めること。

@地方分権・改革にあたっては、税源移譲、地方交付税の見直し及び国庫補助負担金の廃止・縮減を同時一体のものとして実施する。
A閣議決定された4兆円規模の国庫補助負担金の廃止・縮減は、単なる地方への財政負担の転嫁とならないよう地方税源の確保と一体で進める。
B財源保障機能と財源調整機能をもつ地方交付税の根幹は堅持し、その見直しにあたっては、国庫補助負担金の廃止・縮減、税源移譲の規模等に対応したものとする。なお、税源移譲の税目は地域偏在性が小さく、安定した基幹税である所得税、消費税を中心とする。
C市町村広域連合については、財政措置の拡充や課税権を求める。
D補助事業の見直しにあたっては、補助金の一般財源化を推進する。「統合補助金」については、地方自治体が主体的に事業箇所、事業内容を決められるものとする。

(2)分権自治と支庁制度改革・市町村合併

@市町村合併は、国の画一的、強制的手法によらず、住民の合意を基本として進めること。合併を選択しない小規模市町村に対しては、道が広域行政の観点から支援すること。
A地方分権の推進にあたっては、支庁機能の弾力的な方向を確認し、道州制への移行、基礎自治体の再編、支庁制度の改革を「三位一体」で推進し北海道の自治の形をつくる。
B生活、福祉など道民の暮らしに直接関わる分野は、市町村が担うことを基本に、権限と財源を市町村に移譲し、道は広域的観点から市町村の政策を支援すること。
C道の補助金・負担金は可能なところから、政策カテゴリーごとに「総合交付金」(または総合補助金)化を行う。


(3)清新の道政実現に向けて

@清潔で透明な道政を実現するため、公共事業などに関わる、議員、幹部職員のいわゆる働きかけ(「口利き」)行為を公文書化し情報公開する。
A厳しい時代の風を真正面から受け止める職員の意識改革を進めるとともに、道職員が「道政に対する道民の信頼を毀損する行政執行行為」を知ったとき、内部告発できる仕組みと内部告発した道職員の保護を基本とする「内部告発制度」をつくる。
B関与団体については、ゼロベースから抜本的に見直しする。また、受注企業などへの道幹部職員の「天下り」は、原則として禁止する。
C住民基本台帳ネットワークシステムは、道はもちろんのこと、国や市町村に対しては、少なくてもOECD8原則を踏まえ、自己情報コントロール権を明確にした個人情報保護をするよう改定を求めるとともに、その主旨に立った条例を制定する。
D住民の知る権利や参加する権利、行政や議会の情報公開や説明責任、常設の住民投票制度の規定を規定する「北海道自治基本条例」を制定する。
E道政の戦略的な政策課題を検討する「プロジェクト・チーム」を設置する際、構成員の一定数を庁内公募することにより、職員の意識の面から縦割り行政を改善するとともに庁内組織の活性化をはかり、政策検討をより充実化をする。

(4)道財政の立て直しプランについて

@明年7月を目途に策定する財政立て直しプラン(平成17年度〜26年度)の検討に当たっては、道の財政事情について道民と認識を共有できるよう幅広い議論により進める。
A地方分権推進にともなう国から税源移譲・地方交付税の見直し及び国庫補助負担金の廃止・縮減については、地方への財政負担とならないよう強く国に求める。
Bまた、財政立て直しにあたっては従来型公共事業から、福祉や教育、環境など住民生活に密着し、雇用創出効果の高い公共投資への転換を進めるとともに、事業の必要性・優先度を地域住民と検証評価するシステムを確立し、住民ニーズと費用対効果を優先した取捨選択を徹底する。
C特に、道民生活に直結する医療・福祉・教育などの予算や深刻な状況にある雇用問題に対応する雇用施策予算については十分な配慮のもとで検討する。


10.対外政策(平和の実現)

(1)北朝鮮問題

 北朝鮮の核開発疑惑問題、日本人拉致問題の早期解決と国交正常化に向けた取り組みを推進する。

(2)日ロ平和条約・北方領土早期返還

 日ロ平和条約の早期締結、北方四島の早期返還の実現を図る。

(3)非核・平和社会の実現

 道民の平和教育、独自の平和自治体外交など、非核・平和政策を総合的に進める。

(4)米海兵隊の矢臼別演習場移転訓練

 米海兵隊の矢臼別演習場での移転訓練については、「規模縮小や夜間訓練中止」「日米地位協定の見直し」等の地元意向を在日米軍、国に求め、改善が行われなければ受け入れを拒否する。

(5)核兵器搭載艦・航空機への対応

 核兵器を搭載した軍艦・航空機の港湾、空港の使用を認めない条例を制定する。

(6)イラクへの自衛隊派遣中止

 政府・与党はイラクへの自衛隊派遣を準備しているが、戦闘状況が続く現在のイラクへの自衛隊派遣は、戦争が終結しイラク国民による復興作業が始まっている状況を前提としているイラク特措法にさえ反するものであり、中止するよう国に求める。
以上