2002年10月7日
 
北海道知事
 堀  達 也  様
 
日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長 笠井 正行
 
原子力安全・保安院による「原子力発電所における
自主点検作業記録改ざん問題」等に関わる説明会の開催等についての要請書
 
 【要請の趣旨】
 東京電力の原子力発電所における、過去の自主点検記録に関わる不正等29事案のうち、ひび割れやその兆候などが発見されていたにも関わらず、16件の事実隠し・記録改ざん等不適切な取扱があったことが明らかになりました。その後、中部電力、東北電力、日本原子力発電では、再循循環系配管に於けるトラブル、シュラウド(炉心隔壁)のひび割れの兆候等について、記録の改ざんはないものの、国や自治体に対する報告がなかった事案も明らかになりました。
 現在、原子力発電に関わる安全と保安行政を担当する経済産業省原子力安全・保安院は、電力9社他に「自主点検作業の適切性確保に関する総点検」を指示し、電力各社は9月20日までにその実施計画書を提出し、各社は「自主点検作業に関わる総点検」を実施しているところです。
 一連の東京電力における自主点検記録改ざん等は、国民に対する背信行為であり、企業倫理や安全管理上の問題として、決して許されるものではありませんが、深刻なのは、今般の問題を通して、国の原子力安全規制行政のあり方そのものに対する「信頼」が大きく揺らいでいることです。虚偽報告の申告を受け、認知していながら調査に2年もかけ事態の解明が行われなかったことや、設備維持基準に反する事態を把握しながら安全確保策をとらず運転を続けたことなどが指摘されています。
 原子力安全・保安院は「原子力発電所における自主点検作業記録の不正等の問題についての中間報告」(10月1日)をまとめました。また、総合資源エネルギー調査会におかれた原子力安全法制検討小委員会において、今回のような事態の再発を防止するための法制度を含めた検討が行われています。
 本道では、既に泊1・2号機の原発を立地し、さらに3号機の建設に向けた動向にあります。一連の不祥事を深刻に受け止め、原子力安全規制行政に対する信頼確立と不安解消に向けて、以下について、国に働きかけるよう要請致します。
以上
 
要請事項
 
1. 国の原子力安全規制行政組織のあり方について
 
 現在、原子力安全・保安院は、経済産業省の中にあって、原子力安全行政を担う組織と位置付けられているが、国の原子力エネルギー政策を推進する行政組織と規制行政を行う組織は分離して、行政組織法の第8条の独立機関とすること。
 
2. 自主点検記録改ざん等不正問題に関する調査結果(中間)と再発防止に向けた国の説明会の開催について
 
 道民の原子力発電及び原子力安全・保安行政に対する信頼確立と不安解消のため、原子力安全・保安院による「自主点検記録改ざん等不正問題に関する調査結果及び再発防止策」等についての説明会の開催を求めること。
以上