2004年4月16日 
イラクでの3邦人解放と新たな邦人拘束について
日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長  渡部 俊弘   

 イラクで人質となっていた日本人三人が無事に解放された。安全に帰国されることを願い、心から喜びたい。
 しかし、私たちの運動は、ひとつの山を越えたにすぎない。この喜びをイラク戦争が開始されてから占領軍の攻撃により犠牲となった、数多くのイラク市民の家族の方々とは分かち合うことはできない。また、新たに拘束されたとの情報がある行方不明の日本人二名のことを考えると、手放しで喜ぶことはできない。

 さらに、この間の政府と一部マスメデイアの人命に対する鈍感さと歪んだ感性は、今後、注視していかなければならない。
 現在、ジャーナリストの安田純平さん、市民団体メンバー渡辺信孝さんの行方が不明であり、新たに拘束されたとの情報がある。
 これに対し、福田官房長官は14日の会見で、「救出と言われても、本人は十分危険を知って行っているわけであり、こういうことをしたら、どれだけの人に迷惑をかけるのか分かっているのか」との趣旨の発言をした。
 私たちは、本来なら救出に向けて迅速な行動をとるべき政府の中心的な責務の立場にあるものが、このような発言をすることが信じられない。また、生命を賭して真実を伝えようとしている人間を誹謗中傷することに怒りを禁じ得ない。

 新聞、テレビ、雑誌の一部には、今回、解放された3名に対しても、「自己責任」という言葉を使って、イラクに行ったこと、自衛隊派兵に反対しているのが悪いかのような報道姿勢がみうけられた。
 このような政府の姿勢、一部マスメディアの報道姿勢の結果、嘆かわしいことに、心配する家族のもとにも、いやがらせや非難の電話など、心ない行動をとる者も出ていることに憤りを禁じ得ない。

 このような事態を引き起こした最大の責任は、大義のないアメリカによるイラク戦争と占領を全面的に支持し、イラク民衆を救援する人や、真実を伝えようとする人たちの努力を無視し、多くの反対にもかかわらず自衛隊派兵を強行させた日本政府にある。
 日本ビジュアル・ジャーナリスト協会(世話人代表 広河隆一氏)がコメントするとおり、政府の言うとおりに、NGOやフリージャーナリストが現地に入らなければ、事実と真実は伝わらない。とりわけ爆弾を落とす側ではなく、落とされる側の立場にたたなければ戦争の真の姿は見えない。

 連合北海道は民主党北海道などと連携し、あらためて、職場・地域、現在開会中の国会論議の中でも、自衛隊のイラクからの即時撤退を求める取り組みに全力をあげることを表明する。
以 上  


2004年4月16日
連合北海道発第82号関連
 
各 産別・地協・地区連合代表者 殿
 
日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長 渡部 俊弘   
 
 
イラクでの日本人の身柄拘束に関する緊急カンパ行動について
 
 日頃のご健闘に敬意を表します。 
 4月15日付け、連合北海道発文第82号で要請しております「高遠・郡山・今井さんのご家族を支援する緊急カンパ」に関しまして、4月15日に3名が解放されましたことから、カンパの中止を含めて検討いたしましたが、次の事柄により、カンパを継続いたします。
 
 
 @一週間とはいえ、家族の解放に向けた活動費等の経費が膨大であること。
   ※16日の「イラク日本人人質事件をめぐる対策本部の会合」で政府・与党から、    民間人のイラク入りを抑制するため、「今回の救出にかかった総経費を公表し、    人質本人や家族に経費請求すべきだ」との意見が出ている。
 
 A解放された3名が、帰国後も人質になったことに対する事情聴取が行われ  るなど、精神的・経済的負担が続くこと。
 
 B未だ2名の邦人が行方不明であり、あらたな局面が想定されること。
 
 
 なお、カンパ金につきましては、御家族・ご本人に寄贈することを基本としますが、新たな邦人身柄拘束の件もありますことから、今後の経過により、配分等について民主党とも検討し、結果についてご報告いたします。
 
 ※この文章は地区連合まで送付されませんので、地協より送付をお願いしま  す。
 ※この件に関するお問い合わせは、連合北海道広報道民運動部です。
      電話 011−210−0050                              以 上