7月12日夕方、「こんな労働法はいらない!労働者のための労働契約法・労働時間法実現を求める7.12集会」が札幌市内で行われた。
主催者を代表して佐藤連合北海道事務局長からは、労働組合の組織率は年々低下し道内の労働組合法適用となる労働者はわずか1%程度に過ぎないと指摘。その反動が個別労使紛争や各種相談機関の労働相談件数の増加に表れており、だからこそ労働者のための労働法が必要であると訴えた。
つづいて、自ら厚生労働省労働政策審議会労働条件分科会の労働側委員でもある田島恵一・自治労全国一般評議会特別幹事からは労働条件分科会の情勢について報告。現在素案に対しては労使ともに反対し議論が一時中断しているが、その反対理由は全く違う。連合は強行法規としての契約法を求めているが、経営側は行政の関与を排除した任意規定としての法を求めている。厚生労働省素案では労働者にとって全くメリットはなく、素案阻止に向け全力を尽くすと述べた。
法曹界からは、日本労働弁護団副会長である川村俊紀弁護士が素案の問題点について指摘。@厚生労働省がいう「自律的な働き方」を実現できる労働者は極めて少数。真の狙いはホワイトカラー・イグゼンプションを導入し残業代を払うことなく無制限に働かせることにあるが、過労死の増加を招くだけである。A不当解雇だから裁判で争い勝訴したにもかかわらず、職場復帰を認めず金銭で解決させる制度は絶対に認めてはいけない。B従来は変更内容の合理性や度合い、対象者の範囲で問題があれば裁判で勝つことができた。しかし、素案のように就業規則の変更手続きに問題がなければいかなる契約内容の変更も可能となれば誰も反対できなくなってしまう。
北海道大学大学院法学研究科の道幸哲也教授からは、「労使委員会と労働組合」というテーマで問題提起があった。今回の素案では、就業規則の位置づけを「不合理な部分、個別契約部分」を除いて、個別労働者との合意と推定している。過半数組合がある場合は、その過半数組合と合意があれば個人との合意と推定する(3分の2以上の特別多数組合については、組合員の意見を持って全体の合意と推定)。過半数組合がない場合は、全ての労働者を適正に代表するもの、すなわち「労使委員会」を想定している。しかし、労組法上、使用者には中立保持義務が課せられているが、労使委員会はその選出方法、独立保障など触れておらず、使用者側の一方的な運営が危惧される。また、労働協約というものがありながら就業規則に過半数などの要素を入れることは、憲法28条(労働基本権の保障)を否定するものであり、労使自治の侵害に他ならない、との提起があった。
会場からの質疑応答後、出席者全員で特別決議を採択。連合北海道は今後他の地域においても学習会を開催し問題意識、世論喚起を図るとともに、学者や法曹界とのネットワークを形成し開かれた地域労働運動講座の検討を行っていくこととした。
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