2006.05.12
米空軍嘉手納基地のF15戦闘機訓練の自衛隊千歳基地への
一部移転・分散について


 日頃、道政の推進にご努力されておられることに、深く敬意と感謝を申し上げます。
 さて、5月1日の安全保障協議委員会において、東アジア最大の米空軍基地である「米空軍嘉手納基地」から発生する騒音軽減策として、F15戦闘機訓練の一部を航空自衛隊千歳基地に移転・分散させるなどの最終報告が合意されました。
 その内容は、@F15戦闘機5機が参加する訓練は1回4〜5日間で年7回、AF15戦闘機12機参加の訓練が10日間で年3回、B空自との共同訓練とし、米軍単独訓練ではない、C土・日曜日と夜間、早朝訓練は行わないというものです。
 この嘉手納基地訓練の一部移転・分散は、「沖縄の痛みを分かち合う」ことではなく、「危険の分散・拡大」であり、矢臼別演習場で強行されている米海兵隊の実弾移転演習に見られるように「固定化」につながるものです。この間の矢臼別移転演習では、沖縄で行われていなかった「夜間訓練を実施」するなど「沖縄と同質・同量」との約束が守られていません。さらに、砲撃訓練に新たに機関銃などの射撃訓練を加える計画が持ち出されるなど、訓練内容はさらに拡大強化されようとしています。
 沖縄には日本国内の米軍専用施設の75%が集中し、米兵による暴行や傷害・放火事件、大型ヘリコプターやハリアー機の墜落・炎上、戦闘機からの照明弾や風防ガラス落下など、132万人の沖縄県民の生活は常に危険と隣り合わせにある異常な状態です。
 この異常な状態の根本的な解決は、「危険の全国分散・拡大・固定化」ではなく、「米軍基地の整理・縮小」と「日米地位協定の抜本見直し」を確実に進め、最終的には在日米軍基地は米国へ移転・撤収するという「当たり前」のことであると確信します。
 移転が強行されれば、地域住民は離着陸による1902回とされる騒音被害など大変な苦痛と訓練による危険を余儀なくされます。昨年11月4日の連合北海道からの要請に対して、「矢臼別演習場における沖縄県道104号線越え実弾射撃訓練の分散・移転を受け入れていることで、沖縄の負担軽減を担っているので難しい」との回答を得ています。しかし、5月8日の防衛施設庁の最終報告に対する副知事コメントでは、「受け入れは難しいとする基本的な考え方に変わりはないが、国の強い姿勢が示される中で、国が国策として実施するという方針を覆すことは事実上、大変厳しい」と発言しています。
 貴職におかれましては、道民の生活と安全をなによりも最優先するという立場で、専管事項であっても国に対して毅然として反対の意見を示すべきです。改めて米空軍嘉手納基地のF15戦闘機訓練の一部を航空自衛隊千歳基地に移転・分散させる計画について、国に対し明確に反対されますよう要請いたします。
以 上