2006.03.03
本部が、2006年度政府予算案の衆議院可決についての談話を発表

2006年度政府予算案の衆議院可決についての談話!

2006年3月 2日
日本労働組合総連合会 事務局長 古賀 伸明

 本日、2006年度政府予算案が衆議院本会議で可決され、参議院に送付された。小泉総理の「格差拡大はない」との国会答弁に象徴されるように、政府は、家計・雇用・地域などあらゆる分野で二極化が進行している国民経済の実態を直視することなく、政府予算案を無修正のまま通過させた。民主党のライブドア「メール」問題による混乱のなか、十分な予算審議を尽くすことなく、数字合わせの歳出の総額削減を優先した「負担増・給付減」の予算編成を決定したことはきわめて遺憾である。

 連合は、デフレ脱却と持続的な経済成長への道筋を固めることが重要との認識に立ち、政府の2006年度予算編成および政策運営に対して、サラリーマン大増税の阻止と不公平税制の是正、社会保障制度の一体改革、子育て支援の強化、雇用のセーフティネットの強化等を重点政策として取り組んできた。特に定率減税の廃止については撤回を強く求め、構成組織、地方連合会が一体となって、決起集会、街頭行動、政府および各政党への要請行動を重ね、予算委員会公聴会で格差拡大問題を提起する意見陳述を行うなど国会内外の行動を通じて訴えてきた。しかし、予算委員会では、このような地域や職場の組合員、市民の声を真摯に受け止めないまま、与党の数の力によって採決に至った。これは国民の声を無視するに等しい行為であり、まったく許し難い。

 マクロ経済指標によれば景気は回復過程にあるとはいえ、不安定雇用の増大や若年未就業問題など雇用の二極化・固定化が進み、地域間格差はいまだに大きく、所得・資産格差も拡大しつつある。しかし政府は、「小さな政府」の名のもとに、雇用対策や社会保障基盤の強化など本来政府が担うべき役割まで縮小しようとしている。
 わが国では税による所得再分配機能は弱く、しかも低下してきている。低所得層が大きく増加しつつある現在、定率減税の廃止をはじめサラリーマン狙い撃ちの増税が実施されれば、さらなる格差拡大につながり国民生活に負の影響をもたらすことは明白である。格差拡大と二極化が進行しデフレ脱却の道筋が見えていない状況のなか、次々と国民負担増を打ち出し、国民生活を支えるセーフティネットや公共サービスの一方的な削減・縮小をはかる予算編成では、個人消費を抑制し景気悪化と再デフレにつながりかねず、また財政再建にも結びつかない懸念が大きい。
 連合は、何よりも生活・雇用の安定と将来不安の解消をはかることを優先し、二極化と格差拡大に歯止めをかける予算への組み替えを強く求め、引き続き参議院段階において、その実現をめざしていく。

以上