2005.10.19

06年4月スタートに向け 労働審判員サポート委員会を開催

 97年に始まった「司法制度改革」の一つとして、今年5月に「労働審判制度」が成立・施行された。2006年4月から設置される。
 紛争解決の制度としては、現在も「労働委員会」「労働局個別紛争調整委員会」という二つの制度があるが、「労働委員会」は集団的労働紛争(労働組合と使用者間の紛争など)を扱うのに対し、「個別紛争調整委員会」は名の通り、個別労働者と使用者の紛争のみを対象とし、調整・あっせんする機能を持っている。あっせんが不調の場合は打ち切って終わることになっている。
 一方、「労働審判制度」は、同じく個別的紛争のみを対象とし、その“解決策”を示すことになっており、“解決策”は裁判の“和解”と同じ効力を持ち、“和解”後にそれを反故にすると強制執行される。また、労働審判は裁判の入り口に位置づけられ、どちらかあるいは双方が不服の場合は異議申し立て後、民事訴訟にスムーズに移行できることになっている。(自動的にではない)
 また、出頭・証拠の調査・呼び出しなどには強制力を伴い、応じない場合は罰金も課されるなど、裁判と同程度の強い権限を持っている。
 「労働審判所」は地方裁判所の下に設置され、道内では、札幌・函館・旭川・釧路の4地方裁判所に設置される。特別公務員になる労働審判官は、 「労働審判」は裁判官と労使1名ずつの推薦審判官の3名で合議される方式なので、労働法規に関するある程度の知識と、職場環境に関する知識・経験を有する人材を推薦する必要があり、昨年10月からそれぞれの地協により適任者の推薦作業を行い、連合北海道推薦委員会の承認を経て連合本部で推薦予定者が決定された。
 労働審判官になるには、更に基礎講習(10/18〜21)を受け、連合本部の一括名簿提出により最高裁判所が適格審査を行った後、裁判所研修(2日間)を受けて初めて登録されることとなっている。
 労働審判は従来の民事訴訟の入り口として、増加する個別労使紛争を“迅速(3回以内の結審)、簡易、低廉”に司法判断しようとするもので、これから非常に有効になると思われる。

 連合北海道はこの労働審判員の推薦(札幌9名、旭川・函館・釧路は各4名の合計21名)作業を行うとともに、06年4月からの制度開始に向け、審判員の活動を支援する組織として、10月18日、労働審判員サポート委員会(委員長は連合北海道事務局長)を設置し、道労委の労働者委員の労働問題研究会や北大道幸教授などと連携して、情報の発信と年1回の全体研修に取り組むこととした。

 なお、サポート委員会の設置が行われた第1回委員会では、北大の山田哲先生による「労働者契約法と労働審判」の講演が行われ、9月に出された厚労省の「労働契約法のあり方に関する研究報告」をもとに、ドイツの解雇規制法と比較する話があり、労働法関係者も労働審判制度に期待する旨の講演を聴いた。