2005.09.30
2005北海道ブロック「労働政策・春季生活闘争」担当者会議
労働契約法制めぐり活発な議論
今年で2回目となる北海道ブロック「労働政策・春季生活闘争」担当者会議が、去る9月15日札幌市内で開かれ、およそ70名の産別・地協役員、担当者が参加した。
この会議は、連合本部が2006春季生活闘争の方針策定に向けた課題と当面する労働政策上の課題を提起し、地方連合会との意見交換を目的とするもので、今回は特に、労働契約法制をめぐる情勢と対応について議論の的となった。
冒頭、主催者を代表して渡部連合北海道会長があいさつし、今次総選挙を顧みて、小泉改革を通じて深まった都市と地方、正規と非正規労働者、官と民の間の溝を埋めていく取り組みが重要な課題となることを強調した。
続いて本部提起があり、まず須賀総合労働局長から10月の本部定期大会で示される向こう2年間の運動方針案のポイントに触れ、運動の力点を@中小労働者とパート・契約・派遣労働者等に最大限焦点を当てた取り組み、A地域に根ざした顔の見える運動の構築をめざすとした。また、田村中小・労働条件局長から2006春季生活闘争方針策定の考え方が提起され、賃金については昨年以上に積極的な成果配分を求め、積極賃上げが必要との旗を振るべきとし、月例賃金重視の立場からベア共闘の可能性、中小地場共闘、パート共闘を強めて賃金底上げ・格差是正を軸にした闘いの在り方をどう構築するかが課題とした。
意見交換では、若年労働者の雇用対策と職場の荒廃に対処する方策を示すことや、連合として目指すべき公契約条例をアピールすべきとの意見。また最低賃金の社会的役割を明確にし取り組みを強めるよう要望が出された。また、現場での体験から、アスベスト問題に対する総合的な対策を求める意見。公務労働の立場からも2006春闘では統一ベアの実現を追求して欲しいとする意見や、成果主義賃金についての基本的なスタンスを質す意見が出された。
午後からは、労働契約法制について講演と本部の提起が行われた。労働契約法制については、9月12日に厚生労働省の研究会が最終報告をまとめており、とくに@労働条件の決定・変更や就業規則の変更に係わる労使委員会制度、A解雇の金銭解決制度の導入、B雇用継続型契約変更制度(変更解約告知)の創設、Cホワイトカラーイクゼンプションの導入など、連合がめざす労働契約法とは明らかに異なる重大な問題をはらんでいる。
そこで、「労働契約法制をどう考えるか」と題し、北海道大学大学院の道幸哲也教授から講演を受けた。道幸教授は、まず現行の労基法など労働法全体の仕組みと問題点を説明し、そのうえで労働者の権利を主張する基盤をどう培うかが課題と指摘。そして、今回の労働契約法制の中核は、就業規則による労働条件の不利益変更の合理性を争った判例法理を立法化する意図があり、その場合、労使委員会の委員選任や民主的運営が担保されなければ、「翼賛会」化する恐れがあることを強調した。
続いて長谷川雇用法制対策局長から提起があり、年間100万件にものぼる個別労働紛争が発生している状況や雇用・就労形態の多様化する現状に鑑み、労働契約の成立、展開、終了にわたるルールを整備するためにも労働契約法が必要であり、連合としての法案を作成した背景を説明した。しかしながら、今回まとめられた研究会報告は、前回の労基法改正時に葬られたはずの解雇の金銭解決やホワイトカラーイクゼンプションの導入が盛り込まれるなど、連合案とはまったくかけ離れた内容であり、これは経営側を論議の席に着かせるための厚労省の狙いを反映したものと批判(研究会報告に対する連合の談話は連合HPを参照)。今後の連合としての対応は、研究会報告を前提とした労働政策審議会への参加は断固拒否することとし、中央・地方一体となってさらに学習・理解を深めながら、連合案の実現を目指す運動を進めることを強調した。
意見交換では、労働契約法が必要だとする前提そのものに異論があり、むしろ労基法を強化することが求められているのではないかとする意見。連合案は確かに立派だが、それを実現する政治的勢力がないことを指摘する意見。労働3法は労使協議による協約締結促進を図るものだと考えるが、労働契約法はそれを結ばせないことを狙っており、再度連合としてのしっかりした対応を求めたいなどの意見が出された。
連合北海道としても、今回の担当者会議を皮切りに、今後、06春季生活闘争に向けて中央との連携を深めながら、職場や地域レベルでの学習活動を展開していくこととする。