2005.06.23


裏金システムを道警から追放しよう
今が疑惑解明のスタートライン
道警不正経理の徹底解明を求める宗谷集会を開催

 6月16日(木)、稚内市「海員会館」で、『道警不正経理問題を徹底解明し、信頼回復を求める道民の会』(道民の会)主催の「道警の不正経理問題を徹底解明し、信頼回復を求める宗谷地区集会」が開かれ多数の市民が聴講に訪れた。

 集会は、民主党稚内の松本勝利代表の主催者あいさつに続いて、道民の会の原田宏二・元道警釧路方面本部長は講演で、「本州や四国・九州でこの問題を、数回講演してきた。私も偉そうなことを言える立場ではないが、皆さんにぜひ事実を知って頂きたい。
 道議会・道警・知事はこの件を終わらせようとしている。今は茶番の第3幕だ。茶番第1幕は、道警不正経理の存在が露見し、道警本部長が否定会見するまで。茶番第2幕は、内部調査で不正の存在が分かって本部長が会見で侘びを入れた。茶番第3幕は、内部調査の結果分かった不正使用した捜査費等を返還するまで。
 だが、この件に幕を引くのは、道警でも知事でも道議会でもなく、道民だ。確認監査は多少頑張ったが、本当に裏金づくりのシステムが明らかになってはいない。38年道警にいて経験し感じたものと全く違う。168億円の予算のうち10%弱が裏金だったとされたが、私が知る限り百%が裏金だ。この違いは一体何なのか?調査する側も裏金にどっぷり浸かった道警だ。全部真実を言える訳がない。最初に返還ありきで、返還できる金額しか明かさない。
 高橋知事は、当初の道警本部長の裏金否定の答弁を『重く受け止める』と言い、昨年2月10日私が裏金の事実を話したとき、それも『重く受け止める』と言った。北海道は財政が逼迫して、平成15年の決算は不認定になった。日和見でよいのか。
 4月30日宮城県の浅野知事が私に電話をかけてきた。『宮城県警の裏金に納得できない。内容を見て欲しい』と言い、空港迄迎えに来た。『知事は予算執行責任者として議会に説明しなければならないが、この現状では出来ない。場合によっては予算執行を止めても良い』という。同じ官僚出身の知事で、こうまで違うのか。
 議会は数の世界だが、この問題は政策でも何でもない。党派も関係ない。なのに百条委員会設置の提案は、5回否決された。『これ以上この案件を長引かせたら、警察官の士気が下がり、治安が悪化する』という不安もあるが違う。組織のトップが嘘をつくから士気が下がる。肩身が狭い。現場の士気を下げたのは、嘘をついた本部長だ。
 なぜ今までこのことが、問題にならなかったのか。
 1つ目に、警察の閉鎖的な体質がある。外からの批判を受け入れない。世の中の変化に対応できない、嘘を言って小出しにしてきた。現場の責任で、上は知らなかったで済むと思っている。
 2つ目には公安委員会をはじめ警察を管理する民間代表が役に立ってなかった。監査委員や会計検査院、機能しないで形骸化している。 議会も知事も公安委員会会計検査院も、同じ事をしようとしている。今まで警察の裏金システムを認めてきた者達が、警察の論理で始末しようとしている。
 当分鳴りを潜めていても、外のチェック機能が働かなければ又始まる。いよいよになれば警察には『捜査上の秘密』の殺し文句がある。情報公開しても、他の官庁と違ってほとんど黒塗りで何も分からない。 『情報公開したら協力者に危害が及び、協力してくれなくなる』と警察はいう。しかし今の警察に、報償費を得て捜査に協力する協力者なんていない。日本国民に、金をもらって捜査に協力するという発想はない。ごくわずか、覚醒剤・拳銃や汚職の捜査で、暴力団関係者から情報を得る時だけだ。必要な場合は、現場の刑事が自腹を切っていた。
 警察では金のことはタブーで、言ってはいけない。殺人事件などで捜査本部を作り遅くまで勤務しても、超勤は30%しか出ないが、文句は言わない。警察に労働組合がないためもあるが、黙って働く。下の意見は上に届かない。
 実際裏金のシステムがいつ始まったかは分からない。昭和32年私が道警に入った時、既にあった。返還額は無限大だ。だから返還ありきで幕引きを望んでいる。道庁裏金事件は平成17年で返還を終えた。良い対処法だった。10年かけて返還すると、みんなも二度とやってはいけないとなる。
 世の中変わってきている。公の金の使途は明快にすべき、情報公開と言う流れだ。中にいる者は世の中の大きな流れは見えないし、外にいる者は組織の中の事情が見えてない。道警幹部はまだ隠し通せると思っている。
 これは組織浄化のチャンスだ。裏金システムを道警から追放しよう」

 続いて、『道民の会』代表委員で弁護士の市川守弘氏が、「6月3日は高橋知事が『やるべき事は全てやった』とで述べ道民を裏切った日だ。決して忘れてはいけない
 道警の不正経理は第1に税金の問題だ。そして税金は年貢ではない。年貢なら、欲しい時に好きなだけ取り、納める者は文句を言えない。だが税金は勝手に課すことは出来ないし、好き放題に使うことも出来ない。
 アメリカ合衆国は、正にその税金問題で独立した。18世紀、ナポレオンとの戦争で疲弊したイギリスは、植民地からの課税を強化して財政を立て直そうとした。新大陸からもっと年貢を取ろうとした。そこで植民地はちょっと待て、払う側の意向を反映せず税を勝手に増やすなと。これをきっかけに独立戦争が始まった。
 世界で始めて君主のない国を作ったアメリカは、連邦議会で新しい社会を作っていくためにみんなで拠出するのが税金だ。勝手に取ったり、勝手に使ったり出来ないと話し合って定めた。これが財政民主主義という。税金は民主主義の問題だ。道警問題でも、勝手をされていては、民主主義が死ぬ。│
 第2に、現場警察官の職場労働条件の問題がある。今話したように、超勤手当が3割しか出ない。捜査費も自腹で、旅費はピンハネされる。炭坑はかつて『ケガと弁当自分持ち、ドカンと来れば死ぬばかり』と言われたが、正にその状態だ。これで命を張って国民を守れといえるだろうか。警察官がおかれている職場環境が、酷すぎる。
 第3に、こんな劣悪な状態におかれ、能力を十分発揮できない警察が、本当に私たちの身の回りの安全を守れるのか。払うべき金を払って守ってもらう。返せばよいと言う問題ではない。
 だが今回の確認監査で限界はあるが、2つ解明されたことがある。一つ目に、4つの費目で約4億円の使途不明金が出たことだ。 報償費、旅費、交際費、食糧費。警察の食料費は留置した人に出す食事代金だ。道外だが、留置した者の食糧配送を委託された業者が、請求書を自前で作らせてもらえないとの話がある。警察官や留置場職員が、ゴム印で作成する。3人収監しても5人分の食にして、裏金にするのだ。
 さて、使途不明金ということは裏金にはあり得ない。裏金を作る人は、必ず裏帳簿を克明に記す。何の費目から作ったか、細かく書いて決裁をもらい、金庫番に渡す。金庫番もその裏金を何に使うかを細かく書く。書いて確認の決裁をもらう。何のためか。後で、裏金を自分の懐に入れたことを疑われない為だ。いつ濡れ衣を着せられるか分からないので、克明にメモを残す。使途不明などあり得ない。
 大企業でやる手だ。株主総会を前に、不祥事で揺すりをかけてくる総会屋に金を払う。西武鉄道の乗務が昨年、総会屋に裏金を払っていた事実が発覚してからあの事件の解明が始まった。使途がばれるより、追徴課税された方がよい。使途をばらせないことが、大きな闇を自白している。
 第2にこれで、他の費目を合わせたら、何十億円になるか。宿直代や除雪費、修繕代。いくらでもある。宿直代は、留置した者を止める際に警察官が泊まり込む手当だ。留置した人数に応じて泊まり込む警官も増やすが、架空の留置人数を計上し、警官も多くいたことにして手当を捻出する。
 道内の警察署では、警察署構内の除雪は、警察官が行っている。本当は業者に委託したことになっている。
 警察署がなぜぼろぼろで汚いのか私も不思議だった。男所帯の故か、犯罪者が汚すのか。裏金に回っていた。

 これを今後、どう解明していくか。誰が解明するか。
 第1には道議会。百条委員会を設置できれば、嘘を言えば偽証罪に問われるので、事実しか言えなくなる。
 第2には知事。先程の4費目以外を監査し、乗り込んで隅々を明らかにさせる。予算を止めても良い。
 第3に道民。2年後には選挙がある。この案件をどのように扱ったか、対処したか、よく見てて欲しい。民主党と共産党は議会の度に、何度でも百条委員会設置を提案して欲しい。否決新記録を目指して、2年間訴えて続けて欲しい。 百条委員会を設ければ、2年遡って徹底解明できる。
 権力犯罪に時効はない。今がスタートラインだ。これから、解明に向けた取り組みが始まる。みなさんの理解と支援をお願いしたい」

 この後、連合宗谷の多賀事務局長が集会決議を読み上げ、参加者の総意で採択し集会を終えた。 │