2005.06.06


みどり豊かな国 イギリス ロンドンとスコットランドを訪問
 総選挙の視察報告 その4
スコットランドでも地方改革が進んでいる。少数意見も大切にする姿勢に学ぶエジンバラ城から市街

 第5日(20日)は比較的緩いスケジュールを組んでいたが、そうはならなかった。
 まず、スコットランド議会(正確には国会)で、スコットランドみどりの党(SGP)のクリス・バランス議員と面会した。SGPは129のスコットランド国会に7議席を有し、スコットランドの完全独立をめざす政党である。環境や反原発・省エネなどを政策の中心として、イラク戦争への派兵は明確に反対している。
 バランス議員からは「スコットランド議会(国会)はほとんど全ての決定権を握っている。例えば原発の設置はウエストミンスターが決めても、実際はスコットランド議会の承認が必要だ」「ゴミ問題が深刻化しつつある。EUの規準である発生者責任と負担の問題や、包括的リサイクルなどの問題もある。」「北海油田はピークを過ぎた。汚濁問題もあるし、京都議定書目標のクリアなど考えると、新エネの開発を急ぐべきだ。バイオ・ディーゼルも有効ではないか。」「公共交通の充実は、障がいのあるひとも自由に移動できる様にすべきだし、環境的にも効果がある」など、30分の短時間ではあったが、明確な主張をいただいた。
新しいスコットランド議会 その後2年前に新設された議会庁舎を見学。奇抜とも思えるデザインながら、本会議場・議員会館・事務局など、機能的な配置がなされていると説明された。特に本会議場は、傍聴との距離がいかにも近く、住民と一体的な議会をめざしていることがよくわかった。また、空いた壁には人型のデザインが施され、いつも住民がどこからでも見ていることを象徴しているとのことであった。権威主義に凝り固まったような日本の議会とは大違いだ。

 夕方には、折りしも滞在されていた小樽商科大学の相内俊一教授から、スコットランド憲政会議から議会再設置にいたる経過や、今進められようとしているスコットランド内の地方制度改革などについて、説明を受ける機会がつくられた。
 相内教授は「議会創設(再建)時に4つの原則が決められ、それは今でも必ず守ることになっている。抵触すれば全ての議論が停止される。それは、住民・議会・行政の権力共有原則、説明責任が明確なアカウンタービリティーの原則、議会のアクセスビリティーエジンバラ駅の原則、運営等における機会均等の原則である。」「07年の地方選挙では、“一票委譲制比例代表選挙”という新しい選挙制度の導入をめざしているが、これは少数党派への投票を無駄にしにない方法で、時間を掛けても民主主義を深める試み」「いま刑務所の民営化が進められようとしていることについて、注目して調査する。」などが語られた。相内先生は9月まで滞在し、調査研究を行う予定とのことであった。

 以上がロンドンとスコットランドの視察概要であるが、まもなく民主党・政権戦略会議から詳しい報告書が出される。
 全体を通じて、非常に有意義な視察ができたと思うが、総括的に感想を述べさせていただくならば、@マニフェスト総選挙の政策は生活政策重視とすべきで、しかも具体的な内容と実現の手段がセットであるべき。A議員定数を減らすのではなく、一人当たりの経費を再考し、民主主義のためには増加も選択肢に。B自主・自立は行政の専売特許ではなく、住民の意識改革が優先される。C民主主義にはコストがかかる。かけるべき。など、とりとめないが感想としたい。
 なお、団構成員の有志で、山口教授と相内教授の帰国後、様々に行動する会を作る案も持ち上がっている。