2005.04.26


社会保障セミナー In 札幌を開催

  2000年からスタートした介護保険制度が5年を経過し、今年度、制度の見直しと改革に向けた検討が進められている。連合は政府に、被保険者・受給者の範囲拡大、第2号保険者の保険料の上限設定や意見反映の仕組みづくり、介護労働者の処遇改善、さらに、認知症の高齢者虐待対策や高齢者の尊厳など制度改革を求めている。こうした取り組みの一環として、介護保険制度などをテーマに、「社会保障制度の抜本改革を求めるセミナー」と題して、函館市、釧路市など各地で開催している。
 23日には札幌市内で、「介護保健制度改革の課題は何か」をテーマに道央ブロックのセミナーを開催した。
 渡部俊弘会長は、「安心と信頼の社会を実現するため国民が求めているのは年金・医療・介護など社会保障制度の一体的な改革であり、連合は最重点に取り組んでいる」と挨拶した。
 セミナーでは、最初に「政府の介護保険制度の改革案について」と題して、石黒秀樹氏(厚生労働省大臣官房参事官)が講演を行い、コーデイネーターの横山純一氏(北海学園大学法学部教授)のリードで、新たに導入が検討されている「介護予防重視型システム」「地域包括センター」の問題や「ホームヘルパーの労働条件とサービスの質」などについてパネル討論を行った。
 パネリストの連合生活福祉局の柳宏志氏は、「予防重視型の制度改革を評価する」と述べたが、その一方で、自らの父が55才で倒れ、介護保険制度を利用できなかった体験を踏まえ、連合が求めている「被保険者を医療保険加入者まで範囲を拡大し、介護が必要になった時には誰もが利用できる制度」とする課題は先送りされていると批判した。札幌市保健福祉部介護保健課長の浦屋謙氏は、「新予防給付の対象となる要支援、要介護1の方々のニーズや状況に介護予防型重視の制度改革は合っている。ただ事業者の参入などの確保を心配したが、アンケート調査で70%の事業者が参入したいとしており、万全を期した対応をしたい」と述べた。また、介護の現場を担う自治労さっぽろ公共サービス労組執行委員の千田しげ子氏は、「家事援助は要支援、要介護1の方々の70%以上であり、新制度はホームヘルパーのサービス事業の削減や雇用への影響が心配。訪問看護も含めた総合的な評価が求められ、ヘルパーの処遇改善が必要だ」と述べた。また、参加した福祉関係行政の専門家も会場から討論に加わり活発で熱心な議論が行われた。(セミナーの議事録は、ホームページ上に掲載する予定)