2005.03.28
憲法のあり方は国民全体が決めること
第1回憲法講座を開催
連合北海道と民主党北海道が共催して、第1回憲法講座が、26日土曜日開催され、関心の高さを示して200名を超える参加者があった。
日本国憲法をめぐっては、97年の日米安保新ガイドラインが合意されてから、日米関係が“偏務的関係”から“相互的関係”にあらためられ、国連PKOを含む自衛隊の海外派遣をめぐる議論が活発となり、さらに、自公連立・小泉内閣からは、米軍との一体化が強化され、有事法制や多国籍軍派遣、対テロ対策などの具体化にあわせ、憲法改正に関する議論が高められてきた。
2000年には衆参両院に憲法調査会が設置され、02年に中間報告、04年に論点整理が行われ、本年はいよいよそれぞれの政党の案とともに、改正案がまとめられる状況となっている。
連合は、“国の基本政策検討委員会”のなかで、憲法の三大主義(平和主義・主権在民・基本的人権の擁護)をふまえた上で、憲法を論議することは否定しないが、今、急ぐ必要はないとの立場にあり、引き続き三役会議等で議論しているところにあり、まだ方向性を出すまでには至っていない。
連合北海道はこのような状況のもと、北海道としても議論することは必要との判断にたち、連続四回の講座と一回のシンポを本年大会までに取り組む予定であるが、その一回目を、小樽商科大学 結城洋一郎教授(憲法学)を招き開催した。
結城教授は、憲法学会のなかでも議論は終わっていない事柄が多数あることから、私見として聴取されたいと前置いた上で、@現在の憲法といえども完全ではない。A九条は変更すべきでない。B民主党の中間報告は人権問題等共感できる部分もある。C日本経団連の改憲案は“傲慢”な内容であり、看過できない。D憲法論議を通じ日本社会のあり方を再考する機会ととらえるべきだ。などの総体的意見を述べた上で、「憲法制定権力は主権者の国民にのみ帰属する」として、現在自民党で論議されている発議権の簡略化は容認できないこと。「憲法は最高法規である」ことから、時代背景による解釈で過ごしてはならないこと。従って、国民が九条と自衛隊法の矛盾を放置する責任は大きいこと。いわゆる「空洞化」は九条のみならず、社会制度全般にわたるもので九条を守れば憲法を守ることにはならない。と戒めた。
結城教授は、「人権の規制は、他の人権との関わり以外にあり得ない。特定の利益につながる“全体の利益=国益”などに惑わされずに国民自らが、どのような日本社会を地球社会のなかに創り上げるかという立脚点を明確にした上で、国の最高法規である憲法を議論すべきだ」とまとめられた。
この連続講座は、4月16日に第2回が予定されているが、それは、民主党憲法調査会枝野会長と、国際基督教大学平和研究所の最上敏樹所長(国連と集団安全保障)を予定している。