2005年2月23日
米海兵隊の矢臼別実弾演習実施に関するコメント
 
日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長  渡部 俊弘   
 
 2月16日、防衛施設庁から今年度の沖縄駐留米海兵隊が行う実弾砲撃訓練の矢臼別演習について、本年9月に実施する旨の発表があった。
 
 連合北海道は、沖縄の「痛み」を分かち合うことまでは否定していない。しかし、この移転演習は、約束・説明をことごとく反故にし、「沖縄の痛みの分かち合い」の美名のもとで、基地の拡大・強化、演習の固定化をはかるものであり、断じて認められない。
 
 演習の実施にあたって政府は「沖縄と同質・同量である」「固定化はしない」などを約束した。しかし、「沖縄と同質・同量」の程度をはるかに越える質・量の実弾演習がおこなわれてきたばかりか、沖縄でも実施されていない夜間訓練が実施されつづけている。
 また、米軍専用施設が拡充され、地元関係町も演習の固定化を危惧しており、「国内5カ所の持ち回りにより、5年に一度休む」システムでの「演習の固定化」が進められている。
 北海道知事が「受け入れ難い」という基本的な考え方にたち、「在日米軍基地全体の整理・縮小に向けて、国において最大限の努力を払うこと」を始めとし、演習実施についての住民の不安・懸念解消のため、7項目の諸対策を政府に要請してきたが、その後具体的な対処がなにもなされないまま今日に至っている。
 「夜間訓練は行わないでほしい」との地元の意向も完全に無視されている。
 
 また、この根釧原野は酪農の基地であり、わが国の食料基地である北海道のなかでも重要な位置づけにある。実弾移転演習による甚大な被害は酪農家の離農を促進し、地場経済に大きな影響を与えている。
 さらに、北方領土に隣接する地での演習は、現地周辺の緊張をいやが上にも高め、領土問題の解決という国民の悲願達成に向けて様々な努力が行われている中で、政府自身がこれを大きく後退させるものとなっている。
 
 連合北海道は、米海兵隊の矢臼別実弾演習には断固反対し演習の中止を求める。
 沖縄県における米軍基地の集中による重圧が、県民に大きな負担を強い、県民生活のみならず生命や人権さえも脅かされている現状を打破する唯一の道は、「在日米軍基地の整理・縮小」と「日米地位協定の抜本見直し」である。
 連合北海道は、しっかりと世界の、とりわけアジアの隣人との信頼を高めるためにも、北海道知事が求める日米地位協定の改善など7項目の実現をはじめ、在沖縄米軍による実弾演習の中止、さらに、イラクへ派遣されている自衛隊の即時撤退など、北海道の平和と軍縮の拡大に向けて、道民の先頭に立っていく。
                                以  上