2005年2月19日
民主党北海道総支部連合会
 代表 主義員議員 鉢呂 吉雄 様
日本労働組合総連合会北海道連合会
会  長   渡 部 俊 弘
 
 
ハイタク政策の抜本改正を求める要請書
 
 日頃よりハイヤー・タクシー産業の健全な発展、並びに勤労者の生活安定・向上にご努力されていることに、心から敬意を表します。
 さて、貴殿ご案内のとおり「改正道路運送法」が施行され、本年2月で3年が経過いたしますが、これ以前より需給バランスは人口の減少や自家用自動車の普及などにより供給過剰となっていたにもかかわらず、規制緩和により更に新規参入・増車が相次ぎ、10,934台(02.1.31現在)から11,957台(05.1.31現在)と実に1,023台もの増車となっており、需給の状態が一段と悪化しております。
 また、1日1車当たりの営業収入(日車営収)も増車の影響を受け、2002年段階の37,157円が2004年では33,633円(札幌地区)と大きく低下しております。
 ハイタク運転者の賃金は、売り上げに連動した歩合制となっているため、日車営収の低下はそのままハイタク運転者の賃金低下を招き、今、道内全体でも約1割のハイタク運転者が北海道最低賃金を割り込んでおり、道東地域においては約3割もの最賃割れの状態となっております。
 その結果、生活を守るためハイタク運転者は、日車営収をあげようと長時間労働に追い込まれ、ハイタク運転者の労働条件や健康状態は厳しさを増しています。
 ハイタク利用者の身体・生命の安全を守り、利用者の要望を満足させるためにも、ハイタク運転者の労働・生活が安心・安定したものでなければなりません。
 つきましては、行き過ぎた規制緩和を是正し、ハイタク産業の秩序ある発展と安全輸送、良質なサービスの確保を図るため、以下の政策の実現にご尽力賜れますようお願い申し上げます。
 
 
1.規制緩和是正による供給過剰の改善
 (1) 特別監視地域・緊急調整地域指定要件の見直し
人口の減少、自家用自動車の普及などにより利用客が減少し、タクシーの供給力が過剰状態にあったにもかかわらず、2002年2月からの「改正道路運送法」の施行により、更に増車が進んでいる。
緊急調整地域・特別監視地域設定の目的である供給過剰の実態を改善するためにも、指定要件の見直しを図ること。
合わせて、需給調整を進めるための減車を行う制度を創設すること。
 (2) また、規制緩和導入に際しては、発生した問題には事後チェック体制強化で対応することにしていたが、監督件数、行政処分内容を見ても実効性は疑わしいものがある。
規制緩和導入に際し、いわば行政の約束事である事後チェック体制を強化するため、機動性ある事後チェック体制の整備と、実効力のある行政処分を実施すること。
 
2.タクシー運転免許制度の創設
現在、二種免許の取得は簡単な教育のみでハイタク運転者となっているが、地理に不案内な運転者など質の低下が指摘されており、正確・快適・安全な移動が義務づけられている職業運転手には、より高度な技術・技能と運転者の質の高さが求められる。
プロとしてのタクシー運転者の社会的地位向上や安全対策という観点はもちろんのこと、現状の無秩序な増車傾向に歯止めをかけ、タクシー運転者の質向上を図るためにも、高度な試験内容のタクシー運転者資格制度を創設すること。
 
3.「自動車運転者の雇用改善法(仮称)」の制定
自動車運転者の労働は、運転という精神的負担が高く、また長時間・深夜・不規則という勤務形態にあり、こうした労働条件の改善を図るため、「自動車運転者の労働時間等の改善のための基準」が設けられているが充分ではない。
このため、自動車運転労働者の雇用を改善し、福祉の増進を図るための計画策定、雇用管理者選任、労働時間、賃金制度などに関する労働基準を定めた「自動車運転者の雇用改善法(仮称)」を制定すること。
 
4.不当な低運賃の排除
規制緩和による増車や値下げ競争により日車営収は減少しており、ハイタク運転者の多くは賃金が営業収入に直結しているため、売り上げを少しでも得ようと長時間労働、危険運転で働かざるを得ない状態にあり、利用者の安全確保の面からも問題である。
ついては、法令に違反しないで事業を遂行できるだけの運賃は最低限確保するとともに、過重労働を招く不当な低運賃を排除すること。
 
 
以 上