2005.02.01

朝鮮半島の平和定着に必要な「包容政策」
  ソウル大学国際大学院 パク・チョルヒー助教授
    日本の進路 その3 講演会

 北海道対外文化協会と連合北海道の共催による国際政治シリーズ「新しい世紀における日本の進路 その3」が1月29日開催されました。
 “その1”は04年2月、元経企庁長官 田中秀征、ロンドン大学 ロナルド・ドーア教授、北大 山口二郎教授の3氏による鼎談「政治・経済の日本型モデルは可能か」をテーマに開催され、イラク・憲法9条・労使関係など、日本のとるべき進路について多く提言されました。また、“その2”は国際基督教大学平和研究所の最上所長により、「米国と国連」をテーマに、「日本の評価として憲法9条と60年間の不戦は多くの諸国に信頼感を与えていることは間違いない。米国との2国間関係だけでない新たな外交方針が必要」などの提言を受けました。
 今回の“その3”は一番身近な東アジアに焦点を当て、その中でも韓流ブームで最近関心が高まる韓国と、一方、拉致問題で反感が強まる北朝鮮の朝鮮半島(韓半島)をテーマに、ソウル大学国際大学院 パク・チョルヒー助教授を招いて「韓国の平和構築戦略と日本の国家戦略」の講演を中心に、日・韓・中の国家戦略の違いなど、幅広い話をうかがいました。
 パク・チョルヒー助教授は、2年前まで韓国政府の外交通商部で外交官の教育を行ってきた経験もあり、トータルな韓国政府の対北政策の変遷とスタンスを、また、日本で大学教育に関わった経験から、日本の韓国・北朝鮮政策の評価など、流ちょうな日本語で説明と提言がありました。
 その中で、韓国の対北スタンスとしては、吸収から包容に政策変更されたこと、今一番肝心なことは北朝鮮の非核化をなんとしても実現することであること、日本の平和主義を貫くためには被爆などの特殊事情よりも普遍的な根拠をこそ求めるべきこと、日・中・韓の民族主義が高まっているが共存・繁栄路線こそ未来につながることなど、新たな視点での非常に重要な提言を数多くいただきました。
 後半の北大山口教授との対談では、現在の北朝鮮に対する日本国内世論について、経済制裁や体制転換を期待する声は、あまりにも感情的で、国益に沿うかどうかの判断が希薄であること、6カ国協議の舞台になんとしても載せて、国際社会から孤立させないことが中期の目的には有効である。戦後60年問題については、「知性と寛容の精神で、あらゆる分野での両国間の関係強化が必要」と述べられました。
 詳しい報告書は北海道対外文化協会から近日出されます。
 問い合わせは、連合北海道にご連絡ください。