2004.12.20

「米国と国連」学習会を開催
9条と60年の不戦が日本の信用を高めている


 18日(土) 北海道対外文化協会と連合北海道の共催による「新しい世紀における日本の進路 その2」が開かれ、今回は国際基督教大学平和研究所の最上敏樹所長の講演を中心に、北大山口二郎教授と、憲法9条を巡る国際関係や世論と外交のあり方、日本と国連のあり方など、わが国と国際社会について、全般的な解説をいただきました。
 前半の講演で最上所長は、米国と国連の関係を中心に、米国が90年代半ばから単独行動主義を強め、国際社会に背を向けてきているなかで、それにきちんと批判してこなかった国連と国際社会側にも責任はあり、国連中心の制度改革を含めた新たな対応が求められていることや、その一つである「安保理」の改革として、常任理事国の拡大が議論されていること。日本の常任理事国入りは、日本の「対米従属外交」から、常任理事会における米国の票が一つ増えるにすぎず、拒否権が残る制度のなかでは、重要な意味を持たないこと。ただ、9条による戦争放棄と戦後60年の戦争をしなかった実績は国際社会で日本の信用を高めていることなどが解説されました。

 後半の北大山口二郎教授との対談では、集団的自衛権は、米国が一番望むもので、それは、友軍として日本の自衛隊に世界中で共同行動を課すことになるおそれがあること。集団的安全保障は、EUのように「相談」する機能が補償されなければならず、国連は今後その機能に向かって進む方向にあり、イラク戦争のような「有志連合」による対応は国際法に反すること。日本のめざす方向としては、カナダのように米国と密接な関係を保持しつつ、一方で国際社会における「公的立場(ミドルパワー運動など)」をきちんと持つべきであり、いつまでも2国間同盟にこだわる必要はないなかで、今後は、EUのアジア版とも言うべき「アジア共同体」の構築に向かうべきとの示唆がありました。

なお、この講演録は、1月中旬に出される予定となっていますので、ご希望の方は以下にメールをお願いします。
center@rengo-hokkaido.gr.jp