森を守り、豊かな水環境を目指そう
シンポジウム「森と水といのち」開催
食・みどり・水を守る道民の会主催のシンポジウム「森と水といのち」が、9月29日に札幌市・北海道自治労会館において開催されました。このシンポジウムは森林から農業地・都市・海をつらぬく「水」を共通のテーマに「いのち」との関わりについて学習するとともに、道民世論に対し問題提起することを目的に開催され、産別・地協から約100名の参加がありました。
冒頭挨拶に立った中澤道民の会会長(連合北海道副会長)は「いま地球は、温暖化や砂漠化・大気汚染・酸性雨、化学物質汚染など、環境問題が年々深刻化している。なかでも“水”の問題は、食料危機とともに、“2025年には40億人が水不足に苦しむ”といわれるほど、人類の大きな危機となっている」とし、「この水の確保に大きな働きを果たすのが“森林”であるが、世界では毎年大量の森林が失われ、砂漠化の進行や異常気象など地球規模で影響を拡大している。国土の67%が森林の日本では、森林とそこから生み出される水の恩恵を受けて、豊かな農業と肥沃な海により、国民を養ってきた。しかし今、食料や木材を海外に依存する体制が強まり、国内の農林水産業が縮小を余儀なくされる中で農山漁村が荒廃が進み、森林や耕地の維持もままならない状況となってきている。一方、北海道においても森林も豊富できれいな水を利用できる良い環境にあると思われてきたが、森林荒廃と海・川の水質劣化、化学物質汚染が目に見えないところで広がってきている」と海外・国内・道内それぞれの森林と水の実情について触れ、「森林の保全と水問題の解決のため、どうみんのかいでも、このシンポジウムを機に、従来の取り組みをさらにを強めていき、大きな道民運動として発展させていく必要がある」と訴えました。 森と水の大切さについてわかりやすく映像化したアニメ「魚が空をとんだよ」を観賞後、新得町在住の映画監督藤本幸久氏(森の映画者主宰)から記念講演が行われ、乾燥地帯であるアフガニスタンと北海道との比較から水の貴重さについて述べるとともに、新得の農村地帯でおきた“硝酸チッソ”汚染を例に水の循環に潜り込む化学物質の問題について言及し、「水と人の命との関係について、もう一度見つめ直していく必要がある」との考えを述べました。
続いて、コーディネーターに武田るい子氏(北海道NPOサポートセンター)、吉田東海雄氏(道指導漁連)、孫田敏氏(北の里山の会)、伊藤俊和氏(霧多布湿原を守る会)をパネラーにパネルディスカッションを行いました。 その中で、吉田氏は「漁業は他産業より水が占める割合が大きい。きれいな水を確保して豊かな前浜を守る取り組みとして、全道の漁協で植樹活動に取り組んできている。14年間の植樹活動を通じ農協や森林組合と交流することにより、環境に対する漁民の意識も徐々に変化してきている」、孫田氏は北の山里会の活動と今後の問題点に触れ、「われわれの運動は木を植えるのではなく、北の里山の保全と創出のため、小さな間伐材を切るという活動をしている。これから、大きな間伐材を伐採し始めたとき、その木の処理をどうするかなど大きな環境問題に直面すると思われる」、伊藤氏からは「今求められているのは、自然の恵みに触れあい生活の中に活かしてきた日本の本来の姿に戻るということではないのか」との見解がそれぞれ述べられ、コーディネーターの武田氏から「普段の生活の中から、自然と触れることにより自然保護・環境保全について体感することから、まず最初に取り組んでいくべき」との総括がありました。最後に、?@“水危機”の観点からも、食料自給率早急に引き上げること、?A森林の荒廃は看過できないレベルにあり、早急な対策が必要であること、?B豊かな森を子孫に残すため、森とのつきあいを学ぶべきこと、?C“家庭の流しは海への入り口”を肝に銘じ、家庭雑排水の浄化に努めること−など“今なすべきこと”を道民の会として取り組み、道民に訴えていく、とするアピールを採択し、閉会しました。
また、シンポジウムにさきがけて、同日の午前中には札幌市の下水道科学館への視察を行い、水環境の理解を深めました。
地域医療の充実を求める道民集会開催
へき地医療支援機構の早急な確立を求めて
連合北海道は、自治労・北海道医療・北海道農民連盟との共催で、9月7日に札幌市・ポールスター札幌において産別・地協から約250名が参加し、「地域医療の充実を求める道民集会」を開催しました。
この集会は、本道の医療供給体制が都市部に医療機関が偏在し、広大な面積の中で人口密度の低い地域(町村部)においては民間医療機関の進出が期待できず、自治体立病院・診療所においては慢性的な医師不足が続いています。過疎地域の住民の暮らしのセーフティーネットとしての重要な基盤である地域医療の供給体制の改善強化図るため、道として医師会・医育大学・医療機関目市町村などの理解と協力を得て、へき地医療解決に向けた主要関係施策を計画的に推進するとともに、国の第9次へき地保健医療計画を踏まえ、医療を受ける側、被保険者の立場から、北海道における「へき地医療支援機構」の早急な確立を求める目的で行われたものです。
集会では、北海道家庭医療学センター葛西所長による「北海道の地域医療と家庭医」と題する講演が行われ、北海道の地域医療における家庭医の果たすべき役割について述べられ、続いて、連合渡島地協から渡島地域の医療の現状について報告されました。
また、この集会を受けて、9月10日に連合北海道・自治労は、道(山口副知事)に対し、「へき地医療供給体制の改善・強化」を求める要請を行いました。
個別的労使紛争解決に向け道に要請
地労委の機能強化で、解決システムの確立を
近年の規制緩和で企業や労働に関する法改正が進められ、これに便乗するかのように企業におけるリストラ、合理化等の増加に伴って、主に労働組合のない未組織職場においては、個別的労使紛争が多発しています。
とりわけ、北海道における雇用情勢を反映して、連合北海道に寄せられる労働相談も増加の一途をたどり、その内容も解雇など深刻なものが多くなっています。
このような状況を受けて、連合北海道では道に対し、個別労使紛争の公正な解決をはかるため、公労使三者構成で労働問題の解決をはかっている北海道地方労働委員会の機能を拡充し、個別的労使紛争の解決システムの確立するよう申し入れを行いました。
道からは「個別的労使紛争については、これまで連合北海道、さらには道議会民主党からも、道としての早期の対応が求められてきたが、道としては、労働審議会の意見具申や法律の趣旨なども踏まえ、道の労働相談機能の充実を図るとともに、あつせん制度を整備する方向で現在準備を進めている。的確な相談対応のための研修や他機関との情報交換、さらにあっせんにあたっての窓口の設置や迅速な処理については、新議会でも論議されており、地労委とも協議の上、道としてもこれを充分踏まえてとり組みたいと考えている。直、あつせんに係わる事務については知事としての事務を道地労委に委任し、国と同時期の10月からの実施を目途に、庁内関係部署と調整を行っているところである。当面、制度円滑な立ち上げに注力しなければならないと考えており、条例の制定についてはその後、考えていきたい」との回答がありました。
雇用・失業問題の解決を目指して
連合北海道緊急雇用対策本部設置
小泉政権が進める不良債権処理・構造改革は、今後の道内の雇用・失業情勢をさらに悪化させ、深刻な影響が懸念されています。特に、公共投資の10%削減や地方財政の縮減により、各市町村において最大の雇用の場となっている建設産業及びその関連産業が大きな影響を受けることになり、雇用問題、失業問題が全道へ波及することが予測されます。
こうした雇用の非常事態を受けて、連合北海道は9月27日の第11回執行委員会において、笠井会長を本部長に全産別・全地協で構成する「緊急雇用対策本部」を設置を決定し、10月から最重点の通年的な取り組みを実施し、雇用の確保・創出、離職者の生活対策、再就職支援を求める運動を、国、道、市町村の各段階で展開することとしました。
具体的な活動内容としては、来年2月の第1回定例道・市町村議会を最大の山場として、?@全地協での地域対策本部の設置、?A国政・道政・市町村行政の各レベルにおける政策下、予算化の要請・交渉行動、?B署名活動、?C議会決議運動、?D地位固形財団台東への要請、?E総決起集会の開催などを実施していきます。
北方領土返還実現!連合平和ノサップ集会開催
早期返還と日ロの友好促進を求め1000名が集結
「北方領土返還実現!連合平和ノサップ集会」が、9月21日根室市・納沙布岬望郷の岬公園において開催されました。この集会は、北方領土の早期返還と日ロの友好促進を目指して開催され、全国各地から約1,000名の組合員が参加しました。
冒頭挨拶に立った秋田連合副事務局長は、「戦後56年を経た今日まで北方領土が返還をみなかった事実を踏まえ、四島一括返還の方針を堅持しつつも、いままでとは視点を変えた運動を作り上げていく必要がある。連合としても、新たな視点に立って、この集会のありようについても検討をしていきたい」と述べました。
続いて、地元連合を代表して中澤連合北海道副会長が「返還運動の新たな取り組みの一環として、“北方四島への自由訪問拡大”“平和条約の中身の議論”“あらゆる側面での日ロのパートナーシップを強める”ことにより、両国民の信頼感と共生意識を大きく高めるため、日ロの労働組合の関係強化、とりわけロシア極東との相互理解と信頼の醸成を図るる必要がある」と述べ、「“二島先行返還”を目指す団体が政治的な背景のもとで結成されたことは、国民世論の不統一を晒すこととして、断じて容認できない。また、米海兵隊の矢臼別移転演習、道内民間港への米軍の艦船入港など道内における軍事活動の拡大は、領土問題解決とロシアとの友好拡大に水を差すものであり、強い憤りを感じる。地元として、今後も“領土問題解決”のため全力で運動を展開していく」と決意を表明しました。その後、佐賀連合根室地協副会長による「アピール」が採択され、北方四島の早期返還への取り組み強化を誓い合い、閉幕しました。
前日の9月20日には、根室市総合文化会館において約1,000名の組合員が参加し、「北方領土返還要求平和の集いinNEMURO」が行われました。
集いでは、「返還運動の歴史」、「北方領土の現状」について報告があり、続いて、東京経済大学兵藤長雄教授(元外務省欧亜局長)を講師に「日露交渉の展望と課題」と題する講演が行われました。講演の中で兵藤教授は、今日までの北方領土交渉の経緯について報告するとともに、「いま国民の一部で二島先行返還論が唱えられているが、この方式では二島のみの返還で、国後・択捉の返還なしに妥結する可能性が大きい。今後の北方領土交渉にあたっても、従来の四島一括返還を堅持して取り組むべきであり、連合が今後とも四島一括返還による運動に取り組むことに敬意を表したい」と述べました。 |