地域医療の充実・強化を目指して
連合北海道の「新年交礼会」が、1月5日に札幌市・厚生年金会館において、組織内をはじめ各界各層から約450名が参加し開催されました。 冒頭、笠井会長は「連合北海道は2001年を“労働組合新生元年”と位置づけ、“額に汗して働く者こそが社会の主人公であり、働く権利を守り、回復することこそが人間の尊厳を守ることである。そして、一人は皆のため、皆は一人のために”という労働組合の原点に立ち返るところから再出発したい」と述べ、?@賃金、時短、雇用を三位一体としてとらえた2001春闘勝利にむけた取り組み、?A連合北海道の総力あげた組織拡大への取り組み、?B参議院選挙における選挙区小川勝也氏圧勝と比例区での民主党候補全員当選にむけた取り組み、?C中央依存からの脱却による自立した北海道の実現―という当面する4つの課題について所信を表明しました。さらに、道民の翼として出発した“エア・ドゥ”の経営危機の問題に触れ、「“エア・ドゥ”や“コンサドーレ”が与えてくれた夢と希望、そして道内への経済効果と北海道発のベンチャーへの影響を考えると、何としても“エア・ドゥ”には飛び続けてもらわなければならない。“真の道民の翼”とするため、連合北海道は各労働組合・組合員・家族にその意義を訴え、搭乗率アップの実効をあげるため、可能最大限の取り組みを行っいく。皆様にも特段のご支援をお願いをしたい」と訴えました。 7月の参議院議員選挙に立起予定の小川勝也参議院議員からは、「今回の参議院選挙は、失政続きの自公保政権に代わる民主党を中心とした政治勢力を結集する絶好のチャンスである。政治への疑問や矛盾をあきらめず、政治の流れを変えようとする人々の代弁者として、いままでに培った経験と若いエネルギーをフルに活かしていきたい。」と決意が表明されました。
冬期雇用援護制度の3年間存続・延長が決定!「季節労働者問題協議会」で講習体制の整備検討
昨年12月の第150回臨時国会で、2000年度をもって期限切れを迎える「冬期雇用援護制度」の3年間の存続・延長が決まりました。 連合北海道では、かねてより「季節労働者の通年雇用対策」推進の一環として、「冬期雇用援護制度」の存続・延長を求めて、道季労など関係産別や民主党北海道との連携のもと、中央要請、対道要請などの取り組みを行ってきました。 当初、厚生労働省は一般講習日数、給付金とも削減したい考えでしたが、連合北海道、道季労、民主党北海道では講習日数20日間は絶対譲れないとして運動を強めてきました。 結果として、今回の改正では一般講習を16日間、資格取得が可能で通年雇用に結びつきやすい委託講習を4日間、通算で20日間受講した者には給付金を100%支給するという内容となりました。 さらに、この委託講習のあり方について、厚生労働省では「季節労働者問題協議会」を設置し、地域・労使の意見を聞いた上で、受講希望者全員が受講できる体制を整備に向け前向きな取り組みを行っているところであり、連合北海道でもオール北海道の存続・延長運動の成果としての受講日数20日間との認識にたち、同協議会への意見反映、及び連合北海道国会議員団との連携を密にし、取り組んでいくこととしています。 また、あわせて昨年12月の美瑛町議会の意見書採択にみられるように、受講日数が4日間削減されたと誤解している向きもあると思われるため、連合北海道では1月30日に各地区連合に対し、今後、他市町村においても、「4日間の減収部分の補填を求める」意見書が提出されることのないよう、推薦議員に対し周知徹底するよう要請を行っています。
地域医療の充実・強化を目指して
過疎地における医者不足の解消をはかれ
本道の医療が直面している大きな問題として、町村自治体地域の医師・医療スタッフの不足があります。本道の医師充足率を見ても67.6%と、全国の79.8%と大きな開きがあり、特に過疎指定地域においては、30%を切る町村もあるなど深刻な状況になっています。 医師不足の原因としては、?@少人数の医師配置による労働過重、?A医療技術の不安(医療研修機会が少ないため)、?B地域における生活の不安等があげられます。 一方、北海道における常勤医師一人当たりの年間給与は、全国平均の約1,700万円を上回る高額支給となっており、いま本道の地域医療は危機的状況にあります。 連合北海道では、これまでにも地域医療の充実を求める政策要求を行ってきましたが、さらに地域医療支援機構・地域医療センター創設にむけ、まず、1月12日に地協役員を対象に学習会を開催し、??過疎地域の医療体制確立にむけた道の施策の経過と現状?≠ノついて認識を深めました。今後、2001春季生活闘争の場において、?@対道要請の実施、?A地協単位での学習会の開催、?B自治体首長・議会議長への議会での意見書採択要請の実施(第1回定例議会での意見書採択)、?C署名運動と街宣活動の実施(2月中旬〜4月末)、?D自治体・地域医療関係者からの実情ヒアリングを目的とした調査団の派遣(2月中旬を予定)、?E道議会各派、試聴会、町村会、市議会議長会、町村議長会、医療関係団体などへの要請活動の実施(2月)、?F全道総決起集会・シンポジウムの開催など、地域医療充実・強化にむけた取り組みを展開していきます。
「第1級ホームヘルパー養成講座」開く
11名が受講し、全員が資格を取得
連合北海道の「ミレニアム基金」の事業として、全労済の協力を得て昨年、失業者を対象として実施した「ホームヘルパー2級資格取得養成講座」(6月〜8月)では、受講した29名全員が2級資格を取得することができました。 さらに、修了生のうち1級資格を希望した11名が、昨年9月4日から12月5日まで、「1級資格取得養成講座」に挑戦し、全員が1級資格を取得しました。この講座にあたっては、連合北海道から各人に受講料のうち5万円を補助しました。 12月5日には、1級資格の取得者一同がお礼と報告のため笠井会長を訪れ、代表者が「連合北海道の支援に心から感謝します」と述べ、就職の決定した方が1名いるとの報告がありました。 「ミレニアム基金」の目的は、労働組合の原点である「労働者相互扶助」、働く仲間との「連帯」の精神に基づく社会貢献運動です。そのため、2001年度も基金の造成に取り組みます。テレホンカード、商品券・各種金券等の提供を今後ともお願いします。
「食・みどり・水を守る道民の会」総会を開催
「食・みどり・水を守る道民の会」では、1月15日に札幌市において、約30名の参加のもと、2001年の総会を開催しました。 総会では、2000年度の活動報告・決算報告、さらに2001年度の活動方針・予算について承認・決定するとともに、役員の改選では、引き続き会長に連合北海道中澤副会長が就任しました。 特に、本年度は、アジア・アフリカ救援米などの例年行っている取り組みの他、?@山か里・海に至る「水」問題に関するシンポジウムの開催、?A地域組織の調査と確立などについて新たに取り組んでいくこととしました。
連合北海道は道民の翼“AIR
DO”を応援しています
2年前、「首都圏との往復を、多くの人によりやすい運賃で提供したい」との思いでエア・ドゥ(AIR−DO)が誕生しました。 おかげで、他社の運賃もエア・ドゥ並に下がりましたが、今度はエア・ドゥの経営が苦しくなりました。しかし、ここでエア・ドゥが撤退したら、あの千歳⇔伊丹便(スカイマーク社)と同じように、また運賃が元に戻ってしまいます。 道民に夢と希望を与えるエア・ドゥとコンサドーレ。連合北海道はどちらも北海道の自主・自律に欠かせない存在と考えます。 まず、エア・ドゥから満杯にして、首都圏との往復を拡大しましょう。 連合北海道は、エア・ドゥ応援のため、次の取り組みを行っていきます。
〇連合北海道が「DOキップ2」「DOキップ4」を取り扱うこととしました。
「どうしたら手軽に乗れるだろう?」「わざわざ航空会社の窓口や旅行会社に行くのも 面倒」「急に出張になったが、どうしよう」こんな声にお答えするために、連合北海道 が「DOキップ」の取り扱いを始めました。
取り扱いの方法は
?@労働組合の書記局に連合北海道から「DOキップ」をお預けします。
?A利用者は各組合書記局で「DOキップ」を購入し、電話で搭乗予約します。
?B精算については連合北海道と各組合との間で月一度行います。
したがって、「DOキップ」の預託を希望される労働組合は
?@管理者と管理方法(台帳)を決め、連合北海道に注文する。
(011−210−0050 広報道民運動部)
?A組合員への周知をはかる。(ビラをお届けします)
*「DOキップ2」は片道1,000円、「DOキップ4」は2,000円の節約になります。
*この他、5名以上が往復で利用される時は、「団体扱い」で15,000円(片道分)にな る制度もあります。 〇AIR−DOの新千歳が便利になります。
AIR−DOの新千歳空港のカウンターは、1階の到着ロビーにあって、バス利用者 には便利でしたが、JRや車での利用には不評でした。場所がわからなくて迷った方も 多いでしょう。 まもなく、新千歳空港のカウンターが2階に移動します。羽田空港ではJALの向か いにあり便利です。
核搭載疑惑の米海軍艦船寄港に反対しています
2月の1ヶ月の間に米艦船が道内4商業港への寄港を計画しています。2月2日に「ヘリ空母エセックス」が室蘭(1/22寄港中止決定)に、2月3日に「フリゲート艦ゲーリー」が函館に、7日に「第7艦隊旗艦ブルーリッジ」が苫小牧に、20日には「駆逐艦ジョン・S・マッケイン」が小樽に寄港するとの連絡が米海軍からそれぞれの自治体にありました。 しかし、周知の通り、朝鮮半島情勢の変化など東アジア情勢は明らかに好転しつつあります。なのになぜ、北海道では、米軍実弾移転演習、米海軍空母「キティーホーク」の小樽寄港など、軍事行動が頻繁となっているのでしょうか。これでは平和と軍縮の前進どころか後退とすら感ぜざるを得ない、明らかに異常事態です。 連合北海道は、「米艦船に核搭載の疑惑があり、異常な寄港は道民の安全を脅かすものである」事態と受け止め、1月10日に会長コメントを発表し、港湾管理権限を持つ市長に寄港拒否を呼びかけました。また、産別・地域には、関係自治体への寄港拒否要請や、米国政府機関への寄港反対・抗議の打電行動(電報・FAX・レタツクス・Eメール)や在札幌米国領事館への抗議に取り組みました。 寄港を予定された自治体では、「新ガイドライン」や日米地位協定との関わりで拒否には相当の困難が予想される中、?@核兵器搭載の有無の確認、?A港湾業務・経済活動への影響などの判断基準を持って、苫小牧市長は混雑を理由に、小樽市長は頻繁(10月の空母から4ヶ月)を理由に、それぞれ難色を示しています。(結果は苫小牧は東港で許可) また連合北海道は、このような異常事態について、道民の安全を守る立場から、道行政が積極的に動くべきであると考え、1月24日には堀 北海道知事に船水事務局長から申し入れを行い、対応した磯田憲一北海道総合企画部長は「軍港化に反対する。市長の判断を支持する(国からの圧力は受けない)。非核三原則をふまえた対応をする。」との回答を得ましたが、さらに積極的な対応を重ねて要請しました。 寄港が予定されている地元の連合では、民主党などと連携しつつ、反対行動の準備を進めています。苫小牧では、2月6日夜、北海学園大学 君島助教授の「安全保障を捉え直す──国家の安全保障から人間の安全保障へ」学習会を開催する計画ですし、それぞれの入港時には、早朝集会を開催する計画でいます。
「新ガイドライン関連学習会」第1回を開催 梅林氏「日米安保は変質した」と最近の動きを解説
1月22日、ポールスター札幌において、産別・地域担当者など、約50名が参加して、「新ガイドライン関連第1回学習会」が開催されました。 連合北海道は、「新ガイドライン」について、「わが国の軍事的役割が拡大されることがあれば、世界の軍縮の動きに反することとして、国民の判断が必要である」との方針を決定し、「新ガイドライン」の問題点の理解を進める活動に取り組んできました。 特に「周辺事態安全確保法第9条(地方公共団体・民間の協力)の解説」の公表によって、自治体職場・各種公共施設、民間企業への協力など、より具体的な職場・職務との関係が明らかになりつつあることから、その検証を進め、産別方針の確立や地域の組織的な対応の方策検討、あるいは組合員個々の意識との関わりを整理し、職場と組合員の安全を確保し、地域の平和を守る観点からの活動がいま求められます。 12月20日の第2回執行委員会において、?@「新ガイドライン」の再検証、?A周辺事態安全確保法の進行状況、?B周辺状況の変化と新しい安全保障の考え方、などについて学習会を開催し、連合北海道組織財政特別委員会の議論の豊富化に資するとともに、産別のこれらに関する活動の活性化を促すこととし、数回の学習活動に取り組むこととしました。 第1回目の学習会は、講師に梅林宏道(うめばやし ひろみち)太平洋軍備撤廃運動(PCDS)国際コーディネーター(NPO法人ピース・デポ代表・専務理事)を招き、小樽のインデペンデンス寄港を取材したビデオレポート「ある祭りのあと」(小樽潮陵高校放送部作成)や、小樽地区連合斉藤会長の現地報告「米空母入港に伴う関係経費等」の後、「新ガイドラインと東アジアの安全保障」と題する講演を受けました。 講演では、東アジアの安全保障の歴史、日米安保再定義と新ガイドラインなどの基礎知識とともに、昨年10月、米国の「国防大学・戦略研究所(INSS)」の研究報告「米国と日本:成熟したパートナーシップへ」の内容にもふれ、「日米協力の新ガイドラインは日本の役割の基底で、天井ではない」「日本の集団的自衛禁止は制約であり、除去が必要だ」など、米国内の民主・共和両党合同の研究グループの報告のなかでは、日本の安保外交政策の変更を迫る考えをまとめていること、さらに、「施設利用のいままで以上の共同」にもふれていることは、海軍艦船の寄港や空港の米軍利用の頻度が上がっていることと符合するものでありました。 結論として、「地球市民の立場から、軍事よりも、飢餓や大規模災害、天候異変など全体で取り組むべきことは多々ある。人間の安全保障の考え方を広めるべきだ。東アジアでは、“非核地帯構想”を地域の安全保障の要にして議論すべきだ」とまとめました。 この学習会は、今後、2〜3回開催します。
各地協で総会を開催
2001年度活動方針と新役員体制を決定
各地協では11月から12月にかけてそれぞれ定期総会を開催し、第12回連合北海道年次大会の決定方針に基づき、2001春闘勝利による労働条件改善、制度・政策要求の強化、組織拡大・強化、道民運動の積極的推進などを盛り込んだ2001年度の活動方針を決定しました。
【会長・事務局長一覧】
石 狩 会 長 山田 剛(自 治 労)再
事務局長 新野 勝昭(全国一般)再
留 萌 会 長 吉川 修(全 開 発)再
事務局長 坂本 守正(道 季 労)再
渡 島 会 長 鹿島 壮市(森林労連)再
事務局長 渡部正一郎(自 治 労)再
網 走 会 長 和田 義昭(自 治 労)再
事務局長 森本 聖治(自 治 労)再
檜 山 会 長 葛西美喜雄(全 逓)再
事務局長 北浦 勇(自 治 労)再
胆 振 会 長 大船 修一(J A M)再
事務局長 菅原 登(鉄鋼労連)再
後 志 会 長 斉藤 博行(自 治 労)再
事務局長 佐藤 浩一(ゴム連合)再
日 高 会 長 斎藤 俊彦(森林労連)新
事務局長 村瀬 忠義(全 逓)再
空 知 会 長 河合 清秀(北 教 組)再
事務局長 村上 薫(JR連合)再
十 勝 会 長 細岡 秀昭(全 逓)再
事務局長 菅井 順一(全 自 交)再
上 川 会 長 小黒 修司(電力総連)再
事務局長 成田 敬(全 開 発)再
釧 路 会 長 勘川 敏(自 治 労)新
事務局長 門間 俊二(情報労連)新
宗 谷 会 長 上出 昇(全 逓)新
事務局長 磯部 拓也(全 開 発)再
根 室 会 長 織田 忠弘(自 治 労)新
事務局長 千葉 道雄(全 逓)再 米国NPO・ボランティア研修参加報告
広報道民運動部副部長 皆川洋仁
2.AFL−CIOとアメリカ・ユナイテドウェイの新たな関係
研修については、第一がNPOの意義・立ち上げ・運営などのマネジメント研修であり、今後、NPOの立ち上げに連合北海道が関わる、または連合北海道が主体的にNPOを立ち上げて事業展開する場合に有効なセミナーでした。内容はマネジメント研修ですので、資金確保などの実務に関する事柄が中心内容でした。第二は、米国のNPO制度の紹介により、日本とのNPOの法律・制度上の違いを考えるもので、寄付金の税金控除制度などについて紹介されました。 印象に残る団体は「AARP」「ユニオン・コミュニィティ・ファンド」「タイムダラー」でした。
「AARP」
米国の退職者の半数を組織し、高齢者・退職者に関する全ての課題に、ロビー活動(政策立案活動)も含めて積極的に係わるAARPは、米国では有力な圧力団体です。 現在、日本において同様の組織が設立された場合(ただし、日本の高齢者の定義である65歳以上とした場合)、連合の組織人数800万人とほぼ同規模の組織となります。今後の高齢化の推移では、2021年には1,650万人の組織が出来上がり、このような組織は驚異的な影響力を持つ圧力団体となります。高齢・退職者連合が同様の組織を目指す場合、健康保険や老齢医療などの社会保障が整備され、全労済などの生協制度も確立されている日本では、爆発的な組織化を生む有効なメニュー設定は困難ですが、AARPのサービスメニューの法律相談、納税申告補助、旅行サービスなどは参考になると考えられます。
「ユニオン・コミュニィティ・ファンド」
アメリカ・ユナイテドウェイは、NPOへの資金を提供する米国の代表的なNPO団体であり、AFL−CIOは50年に渡って大変な労働力(250名のフルタイマー)と資金を提供してきました。 しかし昨年、AFL−CIOはアメリカ・ユナイテドウェイと同様の機能を持つ「ユニオン・コミュニィティ・ファンド」を設立し、労働力提供による協力関係は保ちながらも、アメリカ・ユナイテドウェイから資金面での撤退をしました。今まで通りのアメリカ・ユナイテドウェイへの寄付金の提供では、NPO団体とそのNPOが事業を展開する地域でのナショナルセンターとしての影響力は皆無であることによる基金設立と思われます。 応答の中で、連合中央が「愛のカンパ」の一部を、NPO支援基金とする方向が紹介されました。
「タイムダラー」
ボランティアバンク構想と似かよる「タイムダラー」は、ボランティアの普及と地域コミュニケーションの発展には良いシステムです。システムは、ある意味での有償ボランティアと言えますが、「施しを受けるのは我慢ならない」「良いことをしてやっている」などの意識を嫌う人々も参加しやすいものです。ボランティアバンク構想と異なる点は「貯蓄をせず、頻繁に使うことが、ボランティアの普及と地域コミュニケーションの発展につながる」との点です。
【視察先紹介−2】
■AARP(全米退職者協会)
全米退職者教員協会を母体に50歳以上の中高年者を対象に設立され、現在会員数3,400万人。50歳以上なら誰でも会員になれる。全人口の約25%が50歳以上であり、その約半数がAARPの会員。会員平均年齢は65歳。主な活動は、?@教育及び地域社会サービスプログラム(法律相談、納税申告援助、法律相談など)?A生活向上のための立法関連活動?B会員サービス(団体健康保険、自動車保険、生命保険など)がある。 財源は、?@会費(年8ドル)?A定期刊行物収入(月刊誌と全米最大の発行部数2,100万部を誇る隔月の機関誌)?BAARPのサービスを代行する営利団体の返戻金、印税など。 全米50州のうち23州に事務所を構えているが、2001年末までに全50州とワシントン行政区、プエルトリコ、ヴァージニア諸島に事務所を設置予定。これは身近な場所で細かなサービスを提供できるようにという方針に基づく。 毎年、政策・制度に関する報告書をまとめるなど政治にも関与し、重要な政策には民主党と共和党双方の見解を定期刊行物などで示す。ただし、NPO認定を剥奪される危険性があることから、団体としての支持表明、会員への投票依頼は行わない。
■AFL−CIO
これまでAFL−CIOはユナイテッド・ウェイへの寄付や人材派遣をしていたが、経済的、社会的な不平等格差が拡大するなか、賃金や労働条件の向上を追求するだけでなく、地域コミュニティと連携を図ることが組合組織を拡大し、社会的影響力を増大するとの観点から1999年に独自の基金Union
Community Fund(UCF)を設立した。 全米UCF理事会のもと、地域にも、地域の組合員・組合幹部・労組の推薦を受けたNPO等で組織される理事会を設置し、地域ニーズに合ったプランを策定している。 UCFの主な原資は任意カンパ。金額は特定しないが、1人あたり月10ドルを目安とし、中央にプールした後、各地方のUCFへの割当金を決定し配布する。またWEBサイト上での寄付も可能。
■タイムダラー本部(Time Dollar Institute)
「互いを助け合う気持ちが芽生えた地域は新たなコミュニティを再構築することができる」「世の中に役に立たない人はいない」を理念に双方向のサービスを通じてコミュニティの再構築を目指す。1時間ボランティア活動をするとそれが1タイムダラーとして積算され自分が支援・援助を受けるときに利用、さらに他人にプレゼントもできる。 自身もボランティアの援助を受けている歩行困難な高齢者であっても、サービスの利用者と提供者の電話によるマッチング業務についてもらうなど、タイムダラーにおいては、サービスの提供者と利用者という従来のボランティア活動に見られた一歩通行的な施しではなく、利用者でありながら同時に提供者にもなり得るシステム。
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