戦争の悲惨さ・平和の尊さをあらためて痛感
連合北海道オキナワ平和行動実施


 連合北海道では平和運動の取り組みの一つとして、「オキナワ平和行動」を10月27日から30日までの期間、産別・地区連合などから21名が参加して実施しました。
 今年度は、総選挙の関係上、6月の「連合オキナワ平和集会」への参加ができなかったため、連合北海道の独自行事として開催され、参加者一同、戦争の悲惨さと平和の尊さについて再確認しました。
 27日午後に現地入りした一行は、休む間もなく空港から金武町役場に移動し、基地対策課の比嘉課長から、米軍基地の集中地の一つである金武町の「米軍基地の実情と被害の実態」について説明を受けました。その後、155ミリ砲実弾射撃の県道ごえ演習が行われた「県道104号」を視察したあと、西海岸のリゾートに宿泊しました。
 2日目、那覇市に移動した一行は、ひめゆり学徒隊だった宮城喜久子さんを講師に招き、講演を受けましたが、その中で宮城さんは、自らの体験を語り「平和を創造する勇気を持って欲しい。平和な日本をつくるにはみんなで心を一つにして行動することが大事」と訴えました。
 3日目の29日には、早朝から、極東最大の補給基地である「牧港補給基地」、嘉手納・北谷・那覇市にまたがり嘉手納町の84%を占有する「嘉手納基地」など、県民生活の犠牲の上に成り立つ米軍施設の実態や、お年寄り・子どもなど島民の多くが犠牲になったガマ(洞窟)などの沖縄戦跡と、新しくなった「平和資料館」などを視察しました。
 12月中には参加された方々の意見・感想を、マンスリー別冊特集号として発行します。

労働なんでも相談ダイヤル 秋季集中相談

11月16日から17日の2日間、全道各地協18カ所に相談室を設置し、「2000秋季なんでも集中相談ダイヤル」を行いました。
 この相談ダイヤルは、中小・パート労働者対策として組織化等を主目的に例年行っているもので、期間中、人数で77名、件数で123件の相談を受け付けました。
 相談内容は賃金、就業規則、解雇用・労災保険、退職、有給休暇など多岐にわたっておりますが、依然として低迷する本道経済を反映して、雇用問題と賃金問題に関する相談が多数を占めました。
 なお、「なんでも相談フリーダイヤル(0120-09-0050)」は、集中相談の期間以外にも年間を通じて相談を受けており、担当者が親身になって応対しています。

ゆたかな老後を目指して
道高退連第8回定期総会開催

北海道退職者連合では、11月13日に札幌市・KKR札幌において役員・代議員あわせて約150名が出席し、第8回定期総会を開催しました。
 総会冒頭、挨拶に立った森尾会長は、「われわれ高齢者の生活は、医療保健改悪、年金給付水準の抑制、介護保険制度の導入など、政府の福祉水準の切り下げによって、非常に厳しいものとなっている。道高退連は連合北海道との緊密な連携のもと、自らの運動を広く地域社会に定着させ、安心と信頼の社会保障制度の確立を目指していかなければならない」と述べました。連合北海道笠井会長、労金渡部常勤監事、全労済小山田常務理事による来賓挨拶に続き、1999年度の経過報告・会計報告、2000年度活動方針・収支予算が活発な討議を経て、満場一致で承認されました。
 役員改選では、森尾昇氏(自治体退職者会)に代わり、新たに兼古哲郎氏(退職教職員連絡協議会)が新たに会長に就任しました。

健康保険法・医療保険制度の改悪は許さない!
改悪反対街頭行動を実施

政府が今秋の臨時国会で可決を目指している医療保険法等の改悪に反対して、道内全地協で11月初旬から中旬にかけて、街頭宣伝活動を実施しました。
 連合北海道は石狩地協、連合札幌、民主党北海道とともに、札幌市・11月7日、パルコ前において街宣を実施し、道行く市民に改悪反対の取り組みへの支援を訴えました。
 この政府案では、医療費の膨張はとまらず、健保財政はますます悪化し、そのツケは感謝・国民に大きくのしかかってきます。
 連合では、「改革なき負担増」に反対し、健保法については、?@老人の定率一割負担(上限額付)の導入は撤回する。?A高額療養費の自己負担限度額の引き上げは撤回する。?B介護保険料率の別立ては健康保険料の実質引き上げてあり撤回する。?C医療制度抜本改革を「2002年度に実施する」ことを明記する。医療法については、?@病床区分の目的・定義を明確に規定する。?A看護士などの人員配置基準や、病室などの孝蔵設備基準を引き上げる。?B「カルテ開示」の法制化を図る。?C広告できる事項に「一定の疾病の取扱件数」や「得意とする診療分野、治療方針、治療方法」を追加するなど、法案の大幅な修正を求めています。まず、その具体的行動の第一弾として、「お医者さんにかかったら領収書をもらおうキャンペーン」わ展開しているところです。

世界の恒久平和を求めて
核兵器廃絶―地球市民集会ナガサキ開催

11月17日から20日まで、長崎市において「核兵器廃絶-地球市民集会ナガサキ」が、平和会館をメイン会場に長崎県・市が後援し、反核NGOが中心となって開催され、連合北海道事務局から2名が参加しました。
 18日の開会集会で基調講演した土山 秀夫(元長崎大学学長)さんは「米国の核抑止力に期待する日本の安全保障政策を転換させなければ、世界の反核リーダーにはなり得ない」と現状を憂え、特別講演の米国核時代平和財団ディビッド・クリーガー(David Krieger)さんは「日本の被爆者の声は世界に十分届いている。あとは明確でシンプルなメッセージを世界に発信することだ。」と日本国民への強い期待を表明しました。
 このほか、イギリス、韓国、インド、ロシア、国連NGOなどからメッセージがあり、一貫していたことは、?@NPT(核拡散防止条約)会議における「保有国」の核廃絶に向けた約束の実現。?A段階的な「非核ゾーン」の拡大をめざすなど、大変実践的なメッセージが多くありました。
 翌19日は、平和教育・平和文化、核兵器禁止条約、核抑止論の克服、非核地帯と核の傘、弾道ミサイル防衛と宇宙の核化など10の分科会が開かれ、現状の把握とこれからのNGOの役割などについて熱心な議論が行われました。(資料は連合北海道にあります)
 全体を通じて、参加者が各国の多様な運動家であり、大変質の高い議論が行われていることに驚いたことと、中堅国家構想(新アジェンダ21)のように国家とNGOが共通目的では手を結ぶような関わりが、地球規模で模索されていること、また、唯一の被爆国として、日本がいまや過去の分裂を越えて一つの国民メッセージを世界に呼びかけるべき時にあること、反核地球市民はそれを心待ちにしていることなど、多くのことが印象に残るとともに、「国論統一にいよいよ連合の出番!」と強く感じました。
 それと、蛇足ですが、「英語で議論できる能力」が運動する上でも比重が高まっていることを痛感しました。(松浦 広報道民運動部長)

米国NPO・ボランティア研修参加報告

広報道民運動部副部長 皆川洋仁

 阪神・淡路大震災以降、ボランティアやNPO・NGOが脚光を浴び、1998年3月には特定非営利活動促進法(NPO法)が制定され、現在2,000を超える認証を受けたNPO団体が地域で活動しています。
 連合は、今後の労働組合運動を展開していく上で、地域社会と密着したNPO活動の実践及び地域のNPO団体との連携が重要となると考え、2000年9月12日(火)〜22日(金)の期間で、マイアミ、ワシントンにて現地スタッフによる講義とNPO団体を視察しました。
 産別、中央・地方連合より16名が参加し、北海道からは小田島雅博 自治労全道庁札幌総支部書記長と私が参加しました。これより3回程度に分けて参加報告を掲載致します。

1.米国の特異性から学ぶもの
 米国がNPO・ボランティア活動の先進地であることの理由として、?@移民・開拓という国家の成り立ちが、地域コミュニィティの発展段階で、政府への依存度・期待度を稀薄にさせたという歴史背景、?Aキリスト教に代表される宗教背景、?B国家主導のボランティア活動推進プログラム、?Cイギリス的(または日本的)な社会保障の未整備や、NPOへの寄付に対する税金控除などの制度的な事柄。が上げられています。
 研修では、このほかに「行政が取り組むには非効率・企業が取り組むには非採算な事業だからNPO・ボランティアが行うのだ」という現在の米国の考え方が現地スタッフから述べられました。
 そのような米国の背景と考え方からは、米国のNPO・ボランティアの先進性が、有る程度は米国の特異性によると言わざるを得ず、全てを日本に置き換えることは出来ません。
 しかし、否定されるものでもありません。今回、研修・視察先をマイアミに選択したのは、マイアミが避寒地として退職した高齢者が全米から集まり、また、キューバ・南米移民などが多く居住すること。そのために、高齢者問題、富裕と貧困の問題、差別問題などが存在し、市民社会にNPO・ボランティア活動が重要なウェイトを占める地域であるからと考えられます。
 日本においては、超高齢社会への対応、イジメや様々な差別などへの対応にNPO・ボランティア活動から始まる地域コミュニィティの再構築は有効な処方といわれています。 また、今後の国家のあり方で、単純な意味で、または米国的な「小さな国家」を目指すのであれば、NPO・ボランティアは地域社会に必要不可欠なものです。
 なぜならば、米国的な「小さな国家」においては、特に北海道のように、広域で僻地を多く抱え、積雪寒冷であるなど、市場社会の不採算地域においては、米国同様、NPO・ボランティア無くして地域社会は維持出来ないからです。
 ただし、それは不確実なものです。NPO・ボランティアは善意から始まるものであり、サービスの提供継続に最大限の努力はするが、責任は無いからです。NPO団体を支援し、ボランティア活動を地域で推進する、地域の努力が求められます。   (来月号に続く

【視察先紹介−1】
アクションコミュニティセンター(ACTION COMMUNITY CENTER)
 マイアミ市内に住む60歳以上の高齢者・障害者を対象にした無料送迎サービス。
 月曜日から金曜日の8時00分から17時00分まで活動。買い物、通院、個人宅訪問など、理由を問わず、4日前に予約すればサービスを受けられる(休日利用などは一ヶ月前)。
 運営費は80%がマイアミ市、残り20%がフロリダ州政府の補助金(本年の場合、約36万ドル…約3,850万円)。8台のバスで年間約12万回のサービスを提供する。

マイアミ・デイド郡 緊急管理対策室(Miami-Dade Office of Emergency Management)
 緊急管理対策室はマイアミ・デイド郡の消防署内の一部署。ハリケーンなどの災害発生時は指揮権が委ねられ、災害の復旧・復興に努める。また、事前にハリケーンの到来を察知し地区内を流れる川の水位を調節することで氾濫を防ぐほか、赤十字や救世軍など災害ボランティア団体とも提携し、災害時に精神的に不安に陥った人たちへのメンタルヘルスケアをボランティアに依頼しており、そのための訓練も行っている。

ファーム・シェア(Farm Share)
 大きさや傷みなど、規格外の野菜・果実は市場に出しても売れず、生産者(農家)には廃棄処分にさらなるコストがかかる。反面、食べ物に事欠く人たちは大勢いる。この両者の間に立ち、無償でサービス提供を行う。マイアミ地区内約400のNPO団体へサービス提供を行い、フリダ州全体では150万世帯が恩恵を受けている。現在13ある設備に加え、全米規模で活動を拡大させることが今後の長期的目標となっている。
 年間予算は約150万ドルで、ほとんどが議会からの補助金。また、犯罪者の更正施設としても利用され、食料品の仕分けやパック詰めなどに従事している。