2000年1月号(No.83)


目次

会長の挨拶

日本労働組合総連合会北海道連合会

会長 笠井 正行

新年あけましておめでとうございます。

2000年の新春を迎え、謹んで皆様のご多幸をお祈り申し上げます。

連合北海道は結成11年の春を迎えました。

この10年間のたゆまぬ努力とご協力に心から感謝申し上げます。

さて、喜ぶべき2000年の幕開けは、残念ながら極めて深刻な雇用・生活不安が引き続く中での新年となりました。このような時代だからこそ労働運動は、今、真価が問われていると思います。

ひとつは、雇用問題。先般、北海道知事、北海道経営者協会会長と連合北海道会長の三者による「北海道雇用創出推進会議」が発足しましたが、連合北海道の提起した「5万人雇用創出」など、雇用・失業問題全般に目が行き届く対策を早急にしかも具体的に進めることです。

今ひとつは、地方財政の危機問題です。自立をめざした「地方分権」の時代に対応しつつ、全道212市町村の地方自治体制の維持と確立を進める必要があります。

そして最大の闘いは、衆議院の総選挙。すでに任期が一年を切り総選挙は確実です。いま国会では小渕内閣の国民無視、国会軽視がいよいよ極まってきました。昨年の盗聴法や国旗・国歌法など一連の法成立に関わる「数の横暴」は記憶に新しいところですが、いままた、社会福祉の土台とも言える年金改悪法案や介護保険の制度改変など、国民の切実な声に耳を傾けず、与党合意という「数の論理」によって強行する姿は、わが国の民主主義の土台を危うくするものです。

この衆議院総選挙では、民主党を基軸に、政権交代を実現し生活者重視の社会を実現するため、全道13の選挙区全てで、そして比例区での完勝をともにめざし、連合北海道の総力を挙げた闘いとしなければなりません。

当然ながら、この闘いは、2000年春季生活闘争と同時に進める必要があります。

2000年春季生活闘争は、消費不況を打破する積極賃上げと、1,800時間の時短実現、雇用・ 社会保険などの政策制度の実現などを柱に、ローカルセンターとしての連合北海道の総力戦です。

これら二つの総力戦は、車の車輪であることは申すまでもありません。まさに水も漏らさぬ体制構築を進めることが求められます。

重ねて連合運動への一層の結集をお願いし、年頭のご挨拶と致します。

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雇用

雇用 〜リストラが経営者の逃げ道に?〜

企業倒産やリストラの促進により、99年10月の完全失業率4.6%。働く者だけに犠牲を強いるこうした状況に対して、連合は公正な労働基準の確立と、社会に必要な分野の雇用の創出を訴えていく。

[予算編成に向けて]

失業率3%台実現をめざす雇用創出事業

将来にわたって社会に必要とされる分野で140万人の雇用を創出させる。

介護・医療、保育、教育、ものづくり関連、環境整備、地域社会のバリアフリー化、公共住宅建設など

失業対策の実施

「緊急地域特別交付金」の雇用期間限度(6ヶ月)を撤廃し、雇用保険給付を一律に90日延長する。

労働者保護法(仮称)の制定

企業の分社化・合併・分割、営業譲渡などの企業組織の再編において雇用継続と解雇禁止を定めた「企業組織の変更における労働者保護法(仮称)」を実現する。

[雇用保険法の改正へ向けて]

  • 意欲ある人材の能力開発のために、訓練延長給付における訓練内容と期間の充実、教育訓練給付金の引き上げ(現行20万円を30万円に)など、制度内容を拡充する。
  • 働く女性や高齢者を支えながら働く人のために、育児休業や介護休業における給付率を、現行25%のところを40%に引き上げる。
  • パートタイムで働く短時間労働や、登録型派遣労働者の適用を広げていくために、現行90万円とされている年収要件を廃止する。

[労災保険法の改正にむけて]

  • 労災制度の抜本改正を行い、認定基準や給付の改善を行う。
  • 「健康・災害予防給付(仮称)」の導入、介護(補償)給付水準の引き下げ、リハビリ就労などの支援を拡充する。

雇用問題に関する全道統一要求の考え方

  1. 雇用調整を予定している中堅・大手企業に対し、知事と首長は、「雇用維持・創出計画」の提出を経営者に求めること。
  2. 大量の雇用変動の届け出(現行30人以上)については、当分の間、5人以上とし、雇用維持への事前支援、便乗リストラのチェックを行うこと。
  3. 道ならびに市町村の公共事業発注先の企業に対し、求職難の実態を踏まえ、最低1名以上の新規の雇用を図るように求めること。
  4. 新規高卒者の未就職者を対象とした無料の職業訓練コースを設置すること。
  5. 季節労働者の冬季雇用援護制度を延長するとともに、計画的に通年雇用化を図るため政策期間を10年間とするよう国に求めること。
  6. 緊急地域特別交付金事業については、雇用期間の制限の撤廃を求めるとともに、求職者の雇用吸収を図る事業を実施すること。

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税金

税金 〜サラリーマンだけがナゼ?〜

税務署が把握できる所得の割合は、給与所得者が9(10)割、自営業者は6(5)割、農家は4(3)割、政治化は1割であり、「クロヨン」もしくは「トーゴーサンピン」といわれる。連合は、まずこうした不公平税制の是正を求めていく。

[税制改正に向けて]

所得税の総合課税化

給与所得者に対する不公平税制を是正するため、すべての納税者の所得を合算し、累進税率を導入する。総合課税には納税者別にデータを整理することが不可欠であるため、「納税者番号制度」を創設する。

所得税の最低税率5%の導入

最低税率5%を導入し、中・低所得者層から効果の出る所得税の制度改正を行う。

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年金

年金 〜401kのリスクとは?老後は本当に暗いのか?〜

年金水準の引き下げは生活不安を拡大するだけではないだろうか。厚生省案は、深刻な状況にある基礎年金の改善に触れない、現状固定の試算例にすぎないのではないか。これに対して連合は独自に推計を試み、年金の本来の目的である老後の安心につながる提言をしていく。

[政府の年金改悪案に反対して]

安心と信頼の年金制度改正の実現

  • 給付水準(手取り年収比55%)を維持する。
  • 基礎年金の国庫負担割合を直ちに2分の1に引き上げ、2004年までに税方式へ転換する。
  • 賃金スライドを維持する。
  • 退職と年金支給開始の接続を確保するなど連合要求の実現を図る。

確定拠出型年金(日本型401k)導入に反対

この制度は、企業負担の軽減だけを目的としたものであり、受給権保護を担保する法的措置もなく、企業責任を個人に転嫁するものである。連合は、自民党などが提案し、2000年秋に導入の見通しとなっている確定拠出型年金の創設に反対する。

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医療

医療 〜改革なき負担増反対〜

医療情報の公開と患者の権利の確立を図るため、診療報酬制度、薬価基準制度、退職者医療制度、医療提供体制などを抜本的に改革する。

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中小企業

中小企業 〜まず雇用の確保を〜

中小企業基本法改正にともなう関連法案については、労働条件の改善、雇用の安定化の視点にたって、福祉サービスセンターの拡充や公正な下請け取引の確立など、中小企業の活性化に資する制度改革を求める。

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金融

金融 〜早期安定化を〜

預金保険制度の見直しに対しては、労働組合などの預金保護、迅速な払い出し制度の改善など預金者保護の実効性を高める改正を求める。また、金融機関の検査、情報開示を強め、金融機関の早期健全化など金融システムの安定化を図る。

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