2008.09.22
原油・物価高対策求め道と国に要請行動

 連合北海道や道消費者協会、生協連、道農連など8団体で構成する「道民生活、経済産業危機突破北海道実行委員会」は、11日に開催した集会決議を受け、北海道と中央省庁に対して要請行動を行った。
道への要請
■対道要請…低所得者向けの灯油売り渋り対策を求める
 9月17日は北海道に対して要請を行い、灯油高騰による家計負担は昨年より8万円ほど増えていることを指摘し、即効性と実効性のある対策の実施を要請した。
 対応した嵐田副知事は、福祉灯油について市町村への補助の増額、離島航路への助成拡大、中小企業へのセーフティネット資金の融資枠拡大などに取り組むことを説明。
 これに対して道消費者協会からは、低所得者向けの灯油販売を売り渋る傾向が見られるという地区消費者協会からの報告を紹介、監視・指導体制の強化を求めた。また、道農民連盟からは、来年の営農計画が立てられないほど生産資材価格が高騰しており、道は国とともに支援を強めるよう要請した。

■対政府要請…道民生活、道内産業の危機的状況を訴える
 9月18日には国への要請行動を行い、関係する6省庁に対して要請行動を行った。
 内閣府では、退職者連合の渡辺会長から、北海道の灯油消費量は全国の3倍にのぼり、昨年より88,000円も灯油代が増えて年金生活者の負担は限界と指摘し、食料品にかかる消費税の減免による生活支援を強く要請した。道消費者協会の橋本会長は、消費者庁の設置が足踏みしていることをとらえ、消費者目線に立ったものにするという福田内閣の姿勢がどうなるのか懸念を表明。また実行委員会事務局長の道生協連・伊藤専務からは、昨年の冬は家庭で暖を取れずに大型スーパーなどで一日を過ごす「灯油難民」が出るなど、低所得層の切実な生活実態を紹介。このようなことのないよう、早急な対応を求めた。
 しかしながら対応した山田事務次官は、「構造的な原油高、産品高を前提に我が国経済、社会をどうつくるかだ」、と原油高騰に手をこまねいてきた政府の責任を逃れるような発言に終始。減税についても、「税体系全体の見直しの中で消費税のあり方を検討したい」と述べ、国民・道民の痛みをまるで理解していない回答と言わざるを得ない。

 次に要請した国土交通省では、とくに離島航路の維持と経営支援を強く要請。また原油高騰や自治体財政難で除雪に出動するまでの積雪量が増え、住民生活への支障が懸念されること、さらに農産物の輸送に不可欠なトラックの確保が難しくなっていることを訴えた。
 これに対して竹歳審議官は、「外国に比べて日本のガソリン税は高くない。公共工事での燃油高騰分はみている。天売・焼尻は補助対象だが利尻・礼文、奥尻は黒字で補助対象外。運輸業界を税金で支援することは国民の負担となる」などとして、現場の窮状にはまったく想像力が働いていないと思える回答。
 あまりに官僚的な対応に、同行した逢坂衆議院議員は「ガソリン税は諸外国より安いが、自動車の取得から保有にかかるコストは世界のトップクラス。誤った認識を正すべき」と指摘。また、離島航路についても、黒字といってもギリギリの経営状況で、将来の新造船の費用もままならないのが実態であることを訴えた。
農水省への要請
 総務省では要請団から、昨年の「灯油難民」は今年、いっそう深刻化する懸念があること、灯油販売業者からすぐに代金支払いを求められたり、必要な分だけ買うようにしている消費者が増えていること、道内では灯油代だけで1,100億から1,300億程度の負担増になっていることなどを説明し、灯油高騰によって消費税収入が増えたのだから、税率を下げてその分を一般市民に還元するよう求めた。
 対応した瀧野事務次官は、地方自治体の施策には交付税や特別交付税で支援したいとし、全国一律ではなく北海道のやり方や地域の施策を後押ししたいとした。また、思いがけない歳入は歳出で対応した方がよいとの考えを示した。

 続いて財務省では、とくに消費税の減免を強く要請したものの、杉本事務次官は、「国の財政をどう優先的に配分するかは、将来への負担を考え適切に対応したい。優先順位の見直しは難しいが、コンセンサスを得ながら必要な施策を実施する」と、にべもない回答。 これに対して渡辺退職者連合会長からは、「北海道の冬の灯油というのは生存権に関わる話。短期的措置として何とか出来ないのか」と重ねて要請した。

 次に要請した経済産業省では、対応した望月事務次官に対して橋本道消費者協会会長から、「灯油の供給量はあるので、値上がりはマネーゲームのせい」とする北海道経産局の姿勢を紹介し、「これでは国の役割はいったい何なのか」と詰め寄り、石油備蓄の放出でマネーゲームを冷ますべきだと強調した。
 望月次官は、「石油備蓄の放出は政策の基本的考え方に関わるし、一斉にやらない効果がない」と否定的考えを示し、さらに「上昇した原油価格を転嫁するには景気が良くないといけないから、経団連に対し勤労者の購買力向上のため賃上げを要請した」などと、まったく見当違いの回答であった。
 
 最後に農水省では、橋本会長から「今回の汚染米の問題や食料価格の高騰も、根本には食の安全・安心がなくてはならない」と指摘し、さらに製麺や豆腐などの食品加工や酪農業における原料・飼料価格急騰による深刻な影響にふれ、「いまデントコーンの方がトウキビより高い」との現状を報告した。また山田農連委員長は、「事故米の対応は極めて遺憾。安心して食べて貰いたいと考えている生産者の気持ちを逆なでしている」と語気を強め、旧態依然とした国の手法を変えていかないと、日本の食料の根幹である北海道農業や関連産業は生き残れないとした。
 また、佐々木衆議院議員(連合北海道国会議員団会議事務局長)は、「政府の緊急対策は、省エネを導入することが条件だが、今の状況が続いた場合、毎年、毎年、省エネということにはならない」と指摘し、小手先の対策を批判した。
 対応した白須事務次官は、「まさに日本農業の支えである北海道農業のために何が出来るか考えたい。構造改革の努力をやっていただくことが必要。要請内容は焦眉の急の課題であり、今後、しっかり受け止めていきたい」とした。にもかかわらず白須次官は、要請日の翌日、更迭された。


 以 上