2008年8月26日
 北海道知事
  高橋 はるみ 様
日本労働組合総連合会北海道連合会
会  長   柳    薫 
 
住民本位の安心・安全・信頼の地域医療を求める要望書
趣  旨
 
 国民の声を無視して強引にすすめてきた財政優先の医療政策により、医師や医療スタッフ不足が顕著となり、診療科目の縮小、救急医療体制の後退など自分の住んでいるまちで十分な医療を受けられない地域が広がっています。特に産科・小児科医の減少は「地元で子どもを産み育てられない」状況をもたらし、都市・地方を問わず深刻な問題となっています。
 北海道は自治体病院の再編・ネットワーク化や道立病院事業の改革を進めようとしていますが、地域によっては医療水準が低下し、地域間の医療格差を助長することになります。地域の方々が健康でなければ、まちづくりもできません。過疎化にも一層拍車がかかることが危惧されます。
 また、本年4月からスタートした「後期高齢者医療制度」は医療費の削減が目的です。負担増となった保険料は僅かな年金から天引きし、医療内容も制限され、高齢者の皆さんに医療不安を招いています。
 こうした実情をふまえ、住民本位の安心・安全・信頼の地域医療となるよう、次の事項について強く要望します。
 
要望事項
 
 1.北海道が責任をもって、医師をはじめとする医療スタッフ不足を解消すること。
(1)地域や診療科目での医師不足を解消するため緊急的な医師派遣体制を構築するとともに、将来にわたり医師の絶対数を確保するための措置を講じるよう国に求めること。
(2)産科・小児科医等の不足が深刻な診療科において、医師の計画的な育成、確保及び定着がなされるよう、実効ある施策及び財政措置の充実を図ること。
(3)研修医の都市部への集中の是正、開業医と勤務医の連携、女性医師の就業維持と職場復帰支援、勤務医の労働環境の整備、医療リスクに対する支援体制の整備を急ぐこと。
(4)看護師等の養成・確保を図るため、養成機関の充実や勤務条件の改善、潜在看護師の掘り起こしや再就職支援等適切な措置を講じるとともに、財政措置等の充実を図ること。
 
 2.不採算医療、へき地医療を担っている医療機関の経営維持のために、必要な財政措置を行うこと。
(1)広大な地域で成り立つ北海道は、単に「公立病院改革ガイドライン」を当てはめた「改革プラン」の策定はできないことを認識し、自治体財政健全化法の運用についても、国の関与は最小限に止め、自治体の自主的・主体的な財政健全化を基本とすること。
(2)公立病院特例債の発行年度は今年度限りとしているが、地方の状況を判断し、来年度以降も検討するよう求めること。
(3)国は改革プランの策定・実施に向けて、財政措置を講ずるとしているが、地域での検討結果、現状での運営形態のままでの病院改革もありえることから、これまで通りの財政措置を行うよう求めること。
 
 3.自治体病院等の再編・ネットワーク化にあたっては、利用者の意見を十分に反映し、住民が必要とする医療を確保すること。
(1)医療機関を利用する様々なニーズや意見を反映するため、各地域の検討会議の構成メンバーは幅広い構成とすること。
(2)各地域ごとの医療機能の質や量を分析し、患者動向の把握と併せて、地域間の連携をより密にすることで、地域で完結できる医療を基本とするよう道が責任をもって行うこと。
(3)医療だけでなく、介護・福祉など不可欠な公共サービスの切り捨てにならないよう広い視野で検討し、そのための維持・確保にむけた財政措置をはかること。
 
 4.「後期高齢者医療制度」を廃止し、抜本的見直しを行うよう国に求めること。
以   上