2008.07.18
公立病院改革と地域医療の再編・ネットワーク化をめぐり対道交渉

 連合北海道は7月17日、公立病院改革と地域医療の再編・ネットワーク化に係わる地域検討に関して、地域住民への説明や情報公開、さらには病院を開設している自治体が策定する改革プランと検討会議での論議の整合性をどうはかるのかなど、道の考えを質す要請を行った。
要請には武田副事務局長をトップに、連合北海道地域医療を守る対策委員会のメンバーとして自治労道本部や全道庁労組も加わり、道側は高橋医療局長が対応した。
地域医療問題で道へ要請
◆検討会議の設置は6地域
 地域では現在、道の「広域化・連携構想」を検討する場として、検討会議の設置に向けた取り組みがされている。申し入れではまず、「検討会議」の設置状況とその構成、また設置の必要性の有無について議論されている2次医療圏毎の各圏域連携推進会議の議論内容等について明らかにするよう求めた。道の構想で示した30区域中、2区域合同の設置が3ヶ所あり、27区域中6区域で設置、20地域で設置に向け準備を進めているとし、総じて設置が遅れている実態が明らかになった。道は現在、検討会議の立ち上げに重点をおくとし、各検討会議の議論内容など詳細は把握していないと回答したが、組織として把握するのが当然ではないかとの指摘に対し、把握した時点で情報提供したいと約した。
 また、広域化・連携の議論が進んでいないのはメリットが感じられないからではないか、道の役割として何ができるのか具体的に示す必要があるとの指摘に、高橋医療局長は「構想がまとまった地域には医師不足を解消するため、優先して医師を派遣する」と明言した。
 道側はまた、検討にあたって検討会議を設置せず、2次医療圏毎の「圏域推進会議」を活用するところもあるとし、検討するステージがあれば検討会議の設置にこだわらない考えも明らかにした。これは、連合北海道が地域に入って関係者からのヒアリングで、「地域によっては既に医療連携がすすんでいる地域もあり、検討会議の設置に疑問を呈している地域もある」との指摘に答えたもの。さらに、国の財政措置を希望する自治体については、再編・ネットワーク化のプランを添付しなければならないことから、検討会議の設置が必要であるとの考えもあわせて明かにした。

◆検討論議の周知・公開を通じて地域住民の参画を
 連合北海道は従前から、地域医療の再編・ネットワーク化は、住民の意見を反映することが必要とし、広く住民への情報公開や検討論議への参加が欠かせないと訴えてきた。そのことについて道は「住民が知らないうちに決まってしまうことがないよう、少なくてもたたき台、素案の段階など構想が確定する前に意見をいただくことを何回か繰り返し、まとめることが必要」と答え、検討会議を構成する自治体に対し働きかけるとした。

◆公立病院改革と広域化・連携の論議をどうすすめるのか
 総務省から公立病院改革ガイドラインが示されたことにより、各自治体の改革プランづくりが急がれている。そのため、各公立病院の役割と位置付けに関し、地域において必要な医療提供体制の構築に向けた検討がおろそかになるのではとの指摘に対して、道は「経営の効率化のために地域医療がどうなってもいいなどということがあってはならない。医療の確保と病院経営の効率は両立させてやっていく」と答えた。また、改革プランの内容が広域化・連携の検討によって変更されることもあり得るとし、「プランの変更も可能だ」との考えも明らかにした。

◆広域化・連携にともなう自治体の負担増に対し財政支援を
 地域の医療機関の広域化・連携に伴い、中核的病院と位置付けられた医療機関を運営する自治体や病院を持たない自治体が、住民の足の確保をはじめとして新たな財政負担が生じることも想定される。そこで、北海道独自の財政支援について質したのに対し、高橋医療局長は道の厳しい財政から「頑張るとしか言いようがないが、医師の確保や少しでも財政支援していきたい」と答えた。


 以 上