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2008.02.21 |
北海道の地域医療を考えるシンポジウムを開催
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2月16日、札幌市内で「北海道の地域医療を考えるシンポジウム」(主催 実行委員会/連合北海道・民主党北海道・自治労・全道庁・退職者連合)が開かれ、道内各地から医療関係者、各級議員をはじめとして350名が参加した。
T部 基調講演 桜井 充・参議院議員−「地域医療にかかわる国の政策と民主党の考え方」
河合裕秋・北海道保健医療局長−「北海道のすすめる地域医療政策」
T部の基調講演では自ら医師でもある民主党の桜井充参議院議員(宮城県選挙区)が、「日本の医療費は世界で22位で、先進国では最低のランク」、「公共事業費が社会保障費を上回っているのは日本だけ」、「医師の絶対数が少ない。あと10万人は必要」などと、日本の医療政策について「制度は世界一だが質はお寒い」と指摘。また、医師の労働環境についても改善を急がなければならないが、医師だけでなく看護師などの医療スタッフの充実も必要だと述べた。最後に、「医療費・医師数抑制の改善と民主党が検討している医療事故に対する無過失補償制度を実現させ、産婦人科や小児科などリスクの大きい科への対応を強めていきたい」と語った。
一方、道の河合保健医療局長からは「北海道がすすめる医療政策」について、地域医療の現状と道の対応が報告され、臨床研修医制度により大学が地域に医師を派遣することが難しくなった現状や、それに対する道の医師確保対策について説明するとともに、「制度設計は国。改善策を強く要請していきたい」と述べた。
U部 パネルディスカッション −各パネラーから地域実態や提言−
U部のパネルディスカッションでは紋別市の宮川市長、本別町の高橋町長、北海道新聞社羽幌支局の城居支局長、基調講演に引き続いて桜井参議、河合保健医療局長が参加し、逢坂誠二衆議院議員がコーディネーターを努めた。
このパネルディスカッションでは宮川市長や高橋町長からは「医療崩壊は地域崩壊にも及んでいる」、特に高橋町長からは「自治体財政をなんとかして病院経営をしてきたが、交付税の削減でもう限界に来ている」といった地域実態が報告され、また城居支局長は「病院と住民とが本当に向き合っているのか疑問」と指摘するとともに、今までの枠組みでは地域医療は守られないと、テレビ電話やITを用いた助産師の活用について、桜井参議は勤務医の劣悪な労働環境の実態についてふれ、医師がやらなくてもいい仕事は他の医療スタッフに任せることや開業医には開業に際して当直をしてもらうことを条件に付す、といった具体的な提言が述べられた。河合保健医療局長は「このままでいくと病院、診療所が持たない。医療機関を持っている自治体と持っていない自治体が経費を含めてどう医療を支えていくのか仕組みづくりが必要」と広域化・連携構想について理解を求めた。
パネラーの提言や意見を受けて、最後にコーディネーターの逢坂衆議が、医療スタッフの増員、労働環境の改善と教育プログラムの充実、予算を含めた資源配分の変更による医療の充実が必要、そして自治体病院が赤字だから切り捨てるというだけでは問題は解決しない、とまとめた。
連合北海道では地域医療を守るために、各地協に「地域医療を守る対策委員会」を立ち上げ、実態把握や学習会の開催、更には今後地域で検討される予定の道が成案した「広域化・連携構想」について、地域実態をふまえて対応するなど、民主党北海道などと連携し取り組みを強化することとしている。
以 上 |
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