2008.02.20
2008年度(平成20年度)道政の最重点課題に関する要求と提言

                       要請趣旨

 連合北海道は現在、2008春季生活闘争の取り組みを通じて、格差社会の是正に向けた政策提言や地域運動を展開しています。この格差は、巨額な財政赤字問題を抱える政府が、市場原理主義に依拠して自己責任・自助努力を強調し、国民生活や地域での困難に対して有効な手だてを講じてこなかったことが背景にあります。国民生活を軽視し、財政再建を第一とする政策では社会格差は広がりこそすれ、是正されることはあり得ません。
 北海道も深刻な財政問題に直面し、行財政改革が喫緊の課題になっています。しかし、道民生活の安定・安心を確保し、活力ある地域社会の構築につながる方向や将来が見えなければ、道民や地域の共感を呼ぶ行財政改革は実現できません。そのためには地域で定住できる経済・社会環境が必要であり、第一に雇用の場の確保や職業能力開発、第二に地域の資源を活かした産業振興と企業立地、第三に医療・福祉・教育といった社会的サービスの提供体制の整備が求められます。
 連合北海道はそのような視点から昨年12月に「要求と提言」を提出し、2008年度道予算の編成に反映されることを求めてきました。この度、来年度予算の確定時期を控えて、最も重要と考える課題に絞って要請いたします。

                      要請項目

1.道行財政改革
(1)将来展望を示し道民に希望を与える行財政改革
  @ 行財政改革の推進にあたっては、その方向・目的が、道民生活の安定を確保し安心して暮らせる地域社会の構築であるとのメッセージを発信し、道民や各自治体に対して何を変えようとし何が変わらないのかを納得のゆくよう説明して、将来の見通しと展望を明確に示すこと。
  A 行財政改革を着実に実行するためには、各自治体との連携や道民との協働が不可欠であるとの認識に立ち、国に対し自治体財政や地域の状況悪化に歯止めをかける行動をオール北海道で展開すること。
(2)メリハリの効いた行財政改革の推進と課題
  @ 道財政を硬直化させている公債償還費は、90年代に国の要請によって実施された景気対策の「ツケ」であり、国の責任による支援措置とともに、減額された地方交付税の増額を強く求めること。
  A 自立型の経済構造への転換をめざし、北海道の優位性が高い農林水産業を基盤として、食品加工やバイオテクノロジーなどの技術開発を積極的に進めることにより、新事業の拡大と地場産業の振興、雇用の創出・拡大をはかるよう、充分な予算措置を行うこと。
  B 地域社会を維持するための医療や福祉、教育にかかわる社会的サービスは、必要な予算を措置すること。

2.雇用・労働政策
(1)季節労働者対策の強化
  @ 季節相談員配置を継続すること。
  A 市町村の短期就労事業に「特別交付税措置」を求めること。
(2)道立高等技術専門学院の拡充と廃止計画の見直し
  @ 網走・滝川を廃止しないこと。
  A ビジネス系科目を廃止せず、地域のニーズに沿った科目設定をめざすこと。
  B 能力開発サービスセンターを機能強化すること。
(3)実効性のある「北海道雇用創出推進計画」の策定と推進
  @ 道庁内の各部局が立案する雇用創出策を統合し、国の機関や制度・施策の活用も含めて職業能力開発や職業紹介事業などの雇用政策が地域レベルで総合的に展開されるよう、市町村との連携を強めるための具体的内容を盛り込むこと。
  A 日本の食糧基地である北海道の強みを生かし、一次産業に由来する食品加工やバイオテクノロジーなど関連産業における雇用の拡大をはかるため、必要な職業訓練の機会を拡充すること。
  B 非正規雇用への対応の具体策として、行政のスリム化を目的とした「民間委託」が不安定雇用の拡大やワークルールの軽視、道民所得の低下をもたらすことのないよう、委託先決定の際(入札)、人件費額の公開と雇用継続を条件とすること。

3.地域医療の確保
(1)地域医療の確保に向けた施策の充実・強化
@ 地域医療の中心を担う公立病院は、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにあり、財政効率化ありきの経営改革のみを重視した市場原理を追求すれば地域医療の崩壊を招くこととなる。
 道は道民が「誰もが、いつでもどこでも安心して医療を受けられる」よう、自治体等公立病院の医師不足、診療報酬マイナス改定、医療の不採算部門を担うことによる財政収支の悪化を打開するために、必要な予算措置をすること。
A 道立病院は圏域における中核医療機関としての役割を担い、地域に無くてはならない医療機関として位置づけられている。
 道が現在とりまとめている「北海道病院事業改革プラン」は道立病院の経営形態の変更も含まれているが、今後も引き続き地域医療の中核を担う使命を果たすべく地域の議論を十分にふまえとりまとめること。
(2)地域医療の広域化・連携構想について
    道は広域化・連携構想にともなう30地域に設置が想定される「検討会議」のあり方について、「医療機関を利用する住民の様々なニーズやご意見を把握し、検討会議での議論に反映させていただきたい」としている。検討会議の設置・構成にあたっては、より幅広い地域住民の意見を反映させるため、各層・各団体の検討会議への参画を求めるよう各関係機関(各保健所・地推協)に道の考えを示すこと。

4.原油高対策
(1)原油高騰に対応する道民生活への支援
  @ 石油等の消費を抑制するため、環境に配慮したリサイクル・リユースをあらゆる面で徹底するとともに、省エネ・省資源型施設・設備の普及促進やバイオマス利用など非化石エネルギーへのシフトを推進すること。
  A 石油製品等の価格高騰により経営が圧迫されている中小企業や農林水産業者に対する国や道の支援策の利用状況や効果を検証し、必要により制度の改善や拡充をはかること。
(2)自動車関係諸税の暫定税率の廃止
    燃料費を引き下げ消費者・事業者の負担を軽減するため、国に対して自動車関係諸税の暫定税率の廃止を求めるとともに、併せて国の「直轄事業負担金」廃止や補助金・地方交付税の調整等により、これまでの地方財源の水準が確保される税制度とするよう国に申し入れること。

以  上