2007.06.14
WTO及び日豪EPAなど重要農産物の貿易交渉に関する中央行動


 連合北海道・「食・みどり・水を守る道民の会」・北海道農民連盟は、WTOや日豪EPA農業交渉の結果が、食料基地北海道における経済・雇用、関連産業等に重大な影響を及ぼすものと受け止め、「自治体決議」「多様な農業が共存できる貿易ルールの確立を求める署名」活動などを展開してきた。この運動の成果をもとに、16名の上京団を構成し、6月6日〜7日にかけて衆・参議長、国会議員や農水省・外務省に対する要請行動をおこなった。(団長 白川道農連書記長、副団長 高瀬連合北海道道民運動局長)

◆10万1千筆の署名を衆・参議長へ提出
 「民主党北海道国会議員団」への要請は、代表して佐々木衆議院議員、小川参議院議員が出席、要請書を手交したのに対し、「要請の趣旨を踏まえ、国会対策に全力をあげたい」旨の回答が行われた。
 続いて、衆議院議長(対応:横路副議長)・参議院議長(対応:今泉副議長)に対し、「日豪EPA交渉における農業分野での適切な国際規律の確立を求める」10万1千筆(道地本、約1万400筆)を超える署名と要請書を提出した。
 その後、3班に分かれ北海道選出の国会議員に対する要請書の提出と一層の努力を要請し、初日を終了した。

◆農水・外務省への要請
 2日目は、農林水産省・外務省への要請を実施。農林水産省への要請では、「重要品目を関税撤廃の対象から除外し、国内農業を守ること」などを申し入れたのに対し、大臣官房国際部からは、「6月〜7月が大変重要な時期を迎える。要請の趣旨は理解しており、食料・農業・農村基本法の精神に則って、国内農業の維持や自給率の向上などに努力したい。関係する外務省や経産省としっかりと連携し、対応したい」との見解がしめされた。
 その後の外務省要請で上京団は、「経済財政諮問会議は、経済効率性のみを主張しているが、将来の食料・環境などに配慮することが真の国益に繋がるとの認識で外交を進めるべき」との要請を行った。これに対して、外務省側は要請の趣旨は理解するとした上で「農業の多面的な機能などについては理解しており、非貿易的関心事項に配慮されるようもとめたい。日本だけが譲るということではなく、各国のバランスの確保されたものとなるよう交渉に臨みたい」と関係各省との連携を強めていくとの回答が行われた。

◆情勢と今後の取り組み
 昨年から中断されていたWTO交渉は、本年2月に再開され4月13日のG6閣僚会合(米国、EU、インド、ブラジル、オーストラリア、日本)で年内合意をめざす閣僚声明が採択された。年内合意のためには、6月中にはモダリティ(関税引下げ方式や引下げ率、保護率削減など各国共通に摘要される基準)のたたき台が提示され、7月末には合意される必要がある。そのため、交渉は6〜7月に山場を迎えることが想定されている。
日豪EPA交渉は4月23〜24日、オーストラリアのキャンベラで第1回交渉が開催され、今後2〜3ヶ月の頻度で会合を開催することなどの交渉スケジュールが協議された。品目の論議など具体的な協議には入らず、次回の東京開催を7月末におこなうこととされている。
 これらの課題は、農業者やその関係者だけのものではない。全国に比して遅れているとされている北海道地域経済や雇用情勢に甚大な影響を及ぼし、食の安全・安心や安定供給、水資源、環境問題など、広く消費者などにも影響は及ぶものである。交渉の推移を注視するとともに、国民・道民に広範にアピールし、理解と協力をもとめることが重要である。
 また、政府に対しては、衆参の農林水産委員会での「米、小麦、牛肉、乳製品、砂糖などの農林水産物の重要品目が除外又は再協議の対象となるよう政府一体となって全力を挙げて交渉する」などの決議を踏まえ、毅然たる態度で交渉に臨むことをもとめる取り組みをすすめることとする。

衆・参議長、議員、農水・外務省への要請内容、前文を除く

T.WTO農業交渉について
(1) WTO農業交渉においては、農業・農村が果たす多面的機能の発揮や食料主権の確保を図るため、各国が多様な農業の共生・共存できる農業モダリティを実現するよう確固たる交渉姿勢で臨むこと。
(2)上限関税の設定には断固反対するとともに、重要品目については各国の裁量が発揮できるよう十分な数を確保し、本道の重要品目である米や小麦、でん粉、雑豆、砂糖、乳製品などに係わる適切な国境措置を堅持すること。
(3) 国内農業の維持を可能とする関税率水準の設定や関税割当、国家貿易体制の堅持、特別セーフガードの維持などの国境措置を確保すること。
また、「緑の政策」の用件緩和など国内支持政策に関する適切な規律を確保すること。

U.日豪EPA交渉について
 日豪EPA交渉においては、米や麦、牛肉、乳製品、砂糖など本道の重要農畜産物を関税撤廃の対象から除外すること。
 なお、衆・参農林水産委員会の決議を踏まえ「交渉中断」を含めた毅然たる態度で臨むこと。

以 上