2007.05.21
「WTO・EPA交渉は全道民の課題―道内経済・雇用に重大な影響も!―」


 連合北海道、食・みどり・水を守る道民の会(以下、「道民の会」)は5月17日、北海道自治労会館において「WTO・FTA交渉学習会」を開催し、全道から約100名が参加した。
 冒頭、道民の会を代表して挨拶した西原淳一会長代行は、「2006年7月から中断していたWTO農業交渉は、2007年2月に再開され4月13日のG6閣僚会議(米国、EU、インド、ブラジル、オーストラリア、日本)において、『年内合意』を目指す閣僚声明が採択された。そのためには、6〜7月にはモダリティ(保護率削減の基準)を合意する必要があり、交渉は山場を迎える。今後の交渉推移を十分注視しながら機敏な対応が必要である。一方、日豪EPA(経済連携協定)は、本道の重要農畜産物である、米や麦、乳製品、牛肉、砂糖等が交渉の対象とされている。これらの関税撤廃がおこなわれれば、北海道に与える影響は甚大であり、地域経済の崩壊まで引き起こす可能性がある。北海道庁では、影響額を約1兆4000億円に達するとしており、関連産業やその雇用問題などに大きく関わることから、道民が一丸となって運動を展開させる必要がある」と強く訴えた。
 続いて、北海道地域農業研究所の黒澤不二男常務理事から、「WTO・FTAをめぐる情勢と課題」について講演を受けた。その中で「オーストラリアからの圧力だけではなく、国内でも経済財政諮問会議が『日豪EPA交渉を促進するべき、食料の自給よりも安定的な確保ができればよい』などとしているが、オーストラリアは平均経営面積が1戸あたり日本の1900倍である。それを市場開放して競争させ、日本農業の体質強化をはかるというのはナンセンス」と切り捨てた。さらに、「『農業が損害を被っても利益を享受する分野からの所得移転により国内的にはカバーされる』との論理は、公的資金投入により窮地を脱し、空前の業績を挙げている金融業界が中小企業にどのような手を差し伸べたのかをみても空論にすぎないことは明白である。地球温暖化や人口膨張、水資源の枯渇など、世界的に食料不安の兆しが高まる中、日本の食料自給率40%は異常であり、それが30%になっても他国とのパイプがあればよいとするのはノーマルとは考えられない」とし、可能な限り生命線である国内農業を国民全体で死守していかなければならないと強く主張した。
 最後に、重要品目を関税撤廃から除外することをもとめる集会アピールを全体で確認し集会を終えた。

以 上