連合北海道と連合本部は27日、夕張市内のホテルで格差社会を考えるシンポジウムを開催した。夕張市民を含めた連合組合員・市民ら300人以上が参加。北海道新聞の山崎隆志論説委員のコーディネートで進められたパネルディスカッションでは、連合本部の高木会長や逢坂衆議院議員などが、「格差とは」「その解決策・方向性」などについて意見を交わしたが、シンポジウム全体を通じて、これ以上の格差の拡大を否定し、最低限の国民生活を保障した上で、公平な競争が健全であるという思いは一致した。
高木会長は冒頭、「格差社会の到来、二極化が進んでいる。将来不安、不信があふれている」と指摘、その最大の要因は「働き方の違いが所得格差につながっている」と述べるとともに、「地方にまで、行き過ぎた市場万能主義が広まっている。効率よりも公平や公正を考えるべきだ」と問題提起した。
パネルディスカッションでは民主党の逢坂衆議院議員は「一生懸命働けば幸せになれると働いてきたが、今は違う。貧困型社会に日本は進んでいる。短期的な経済合理性だけに目を向けてはだめだ」と強調、「市場は大事だが、最低限のセイフティーネットのために、行政・地域を組み合わせて論議する必要がある」と提起した。
また、市民代表で建設会社経営の柳沼伸幸さんは「町の活力は人だが、人が流出することは活力の低下につながる。再建期間の18年後の夕張が心配だ」と延べ、季節労働者の生活の困窮状況を説明した上で、「地方が税金を無駄遣いしていると言われるが、中央だけが一人勝ちでいいのか。地方も中央も平等なのがベストだ」述べた。
北海道労働委員会労働者委員の小倉佳南子さんは、労働者の格差にふれ、「パート収入に頼らざるを得ない労働者は、かけもちして働いても月10万にしかならない。同一価値労働・同一賃金を一刻も早く実現させるべきだ」、また「稼ぐことだけを基準に経営者が評価される社会はおかしい」と指摘した。
これらのパネラーの話しを聞いた参加者からは「頑張るしかないが、何を希望に歩んでいけばいいのか不安だ」との感想の声が聞かれたが、逢坂議員は「今だからこそ普段ではできない新しいことができる」と激励した。
このシンポジウムでは、連合北海道が26日に明らかにした「北海道夕張市の再建を応援するための基本構想案」も説明した。この基本構想案はNPO法人を設立し、「もう一つの市役所・夕張自立応援総合センター」を開設し、市役所の行政サービス機能の低下に対応しようというもの。活動資金は「幸福の黄色いハンカチ募金(仮称)」とし、連合組合員や賛同者からの募金とする予定。
以 上
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