連合北海道は、10月31日、夕張市の財政再建に伴う各種事業の見直し・削減により、市民生活や地域の産業・雇用への影響が懸念される課題について、道の支援を求める要請を行った。連合北海道の要請団は、佐藤事務局長を筆頭に地方財政問題対策委員会のメンバー、道側は嵐田副知事と荒川地域振興・計画局長が対応した。
要請内容は、@道がどのような姿勢で夕張市再建に向けて国との対応や支援策を提示するのか明確にすること A社会的弱者等の生活に必要な医療・福祉・保健等の事業の確保について B各種施設の閉館や委託業務の廃止等により発生する雇用(解雇・失業)問題の解決策について C将来を展望した夕張市の基幹的産業を維持していく事業の継続について、の大きく4項目。Aに関する具体的課題としては、重度身障者や老人・乳児医療にかかわる北海道医療給付事業、民営浴場や生活バス路線の補助、高齢者住宅除雪奉仕員派遣、さらに夕張市総合病院の地域医療における位置づけについてで、いずれも縮小・廃止による市民生活への影響が避けられない問題である。また、Bに関してはすでに第三セクターの施設で解雇通知を受ける従業員もおり、雇用問題は待ったなしの状況になっている。Cは夕張市の文化に関わる課題や地元商工業やメロンをはじめとした農業など産業振興についてで、いずれも市の補助事業の廃止が予定されている。
要請に対して嵐田副知事は、「道としては、9月に設置した庁内組織の夕張市財政再建対策会議の中の、『保健医療福祉』『経済雇用』『地域づくり』の専門ワーキンググループにおいて、各テーマに沿って影響や対応策等の検討を行っているところ」であり、「道としての支援策については、市が策定する財政再建計画の内容を踏まえ、道民の理解を得ながら、厳しい財政事情の中で、効果的な対策を検討したい」とし、個々の要請課題について、現時点では道による支援を明確にすることはなかった。
道の回答を受け佐藤事務局長からは、夕張市の財政再建にとって道のおかれているポジションは極めて重要であると指摘し、その責任と具体的支援についての認識を質したのに対し嵐田副知事は、道としても夕張市からの相談に乗りながらやれることはないか、一緒に考えていきたいと述べたにとどまった。
最後に佐藤事務局長から、道は夕張市が財政破綻に陥った直接的な要因を指摘するだけでなく、夕張から炭鉱がなくなっていく過程のなかで、街を存続するために大きな犠牲を強いられてきた歴史的経過と事実について、併せて道民に説明していくことが必要だと強調し意見交換を終えた。
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