　米国発の金融危機による世界的不況は、我が国においても企業経営の急激な悪化をもたらし、派遣労働者等の解雇・雇い止め、採用内定の取り消しなど深刻な雇用問題が発生しています。本道においても年度末を控えて一段と雇用不安が高まっており、雇用対策の強化が急がれています。

　連合は雇用に関するワークルールの遵守、すべての労働者がセーフティネットの適用対象となるよう制度を改善し給付を拡充するなど、失業しても求職期間中は安心して暮らせる社会基盤の整備を求めています。雇用の維持・安定は、経済社会の健全な発展に不可欠であり、直面する緊急事態に対応するため、労使および行政の一層の連携が必要です。

　北海道におかれましても、平成20年度を始期とし４年間で10万人の目標を掲げた「雇用創出基本計画（H20～23年度）」の前倒し実施や道債の削減計画の一時凍結を含めて政策資源を総動員し、本道の完全失業率を３％以内に抑制することを長期目標とし当面、2010年まで４％以下に抑制するよう雇用の維持・創出に全力をあげられますよう要請します。

（１）道内の企業においても企業経営の取り巻く環境の大幅な変動を背景に、非正規労働者を中心とした雇止め、解雇が続出している。また、景気や業績の悪化を口実とし、あるいはそれに便乗した安易な解雇や採用内定取消が発生している。整理解雇に係わるワークルールを遵守するとともに、解雇による人員整理は最後の手段であり、労働時間の短縮、配置転換、一時帰休などの他の雇用調整の手段によって雇止めや解雇を回避するよう指導すること。

（２）整理解雇の４要件を満たし、非正規労働者を止むなく雇止め、解雇する場合においては、正規労働者に準じた退職諸条件を適用するよう徹底させること。

（３）労働者派遣法は、労働者の雇用の安定と権利保護、ならびに派遣先・派遣元の責任を明確にする次の視点で改正するよう、国に働きかけること。

　　①　登録型派遣は原則として禁止し、抜本的に見直すこととし、当面は専門26業務に絞り、非26業務は禁止する。また、日雇い派遣は禁止する。

　　②　無許可・無届事業者や許可基準を満たしていない事業者から受け入れた場合、派遣先が特定行為を行い、当該派遣労働者を受け入れた場合、偽装請負や禁止業務への派遣の場合は、派遣先での期間の定めのない直接雇用とみなす制度を設ける。

　　③　社会・労働保険の加入は派遣元・派遣先の連帯責任とする。また、時間外労働、労働安全衛生、労災補償責任等について派遣元・派遣先の重複規定とする。

（１）雇用情勢の悪化に対応する緊急雇用対策を総合的に実施するため、北海道は緊急的な雇用創出事業の推進、離職者の生活や再就職支援、セーフティネットの拡充等に関して、関係機関・団体との連携を密にし必要な迅速かつ施策を強力に推進すること。

（２）国の２次補正や2009年度予算で措置される交付金により、雇用機会の創出を目的とする基金が造成される予定であることから、その活用方法については幅広く道民や労働関係団体・市町村の意見を反映し、北海道雇用創出推進会議や地方雇用創出推進会議において早急に実効ある施策を確立すること。併せて、基金の活用にあたっては、直接雇用も含めて雇用効果の高い事業の実施が可能となるよう、国に働きかけること。

（４）解雇や雇い止めなどにより移転就職を余儀なくされた者やフリーター・派遣労働者等の住宅困窮者に対する住宅支援策として、公営住宅や道職員住宅のほか廃止決定され入居を停止している雇用促進住宅も含めて活用をはかること。また、入居してすぐに給湯や暖房が利用できるよう、住宅設備の点検・整備を実施すること。

（５）離転職者のための職業教育・能力開発の機会を拡充するため、雇用能力開発機構、道立高等技術専門学院、認定職業訓練校、専修学校や各種学校などとの連携を強め、全道的に一体感のある職業訓練・能力開発体制を構築すること。

（７）季節労働者の通年雇用化の促進と冬期間の就労・生活支援策の拡充のため、次の課題を国に求めること。

　②　通年雇用促進支援事業について、実施主体である「地域協議会」が主体的な事業を無条件に実施できるよう委託条件の大幅な見直しを行うこと。

　③　自治体における季節労働者対策の冬期事業拡充のために、特別交付税など財政措置を講ずること。

（８）非自発的理由による離職者からの生活保護の申請受付に際しては、柔軟に対処すること。

（９）雇用保険の受給要件を満たさない労働者についても一定水準の生活を保障し、職業訓練を受講できるよう生活保障給付制度を創設すること。

（１）労働力不足分野への労働移動を促進し、雇用機会の増大をはかるため、教育訓練の機会を拡大して資格や技能取得を支援すること。併せて、訓練期間中の生活保障制度を創設すること。

（２）団塊世代の定年退職を迎えて、ものづくり産業における技能継承をはかるため、国と道は連携して職業能力開発・職業訓練機関を有効に活用し、企業の教育訓練に対して支援すること。

（３）北海道および市町村が指定・監督を行う介護サービス事業者に対して、働きやすく長期勤務が可能な職場環境と適正な労務管理をはかるよう、賃金体系・退職金制度の整備、法に基づく健康診断の実施、社会･労働保険への加入を促進するよう支援策を講ずること。

（４）福祉職場の人材確保や処遇改善のため、地域政策総合補助金のうち「福祉振興・介護基盤整備事業」の対象事業を拡大するとともに、従事者の福利厚生の向上・賃金や就業条件の改善のための補助も対象経費とすること。また、道は各市町村に対して、道の補助制度に対応するための市町村の助成制度創設を促すこと。

（５）道は第６次看護職員需給見通し（平成18～22年）において、平成18年時点で4,254人の不足（充足率94.6%）が見込まれていたとし、平成22年までに供給数が需要数へ徐々に近づいていくとの見通しを示しているが、地方病院で不足している看護師の確保や「７：１」看護の導入に対応した看護職員の需給見通しを明らかにするとともに、引き続き看護師の養成・確保、就業定着・促進に向けた施策を推進すること。

（６）道立衛生学院・高等看護学院のあり方の見直しは、地域や道民・関係団体などの意見を尊重するとともに、看護職員の需給動向などを考慮し、さらに充実させる方向で改めて検討すること。

　地域の森林・林業を活性化して地域経済の振興と環境対策を推進するとともに、雇用創出につなげていくため、以下の課題に取り組むこと。

（１）北海道森林づくり基本計画に基づく施策の展開にあたっては、森林整備や担い手対策推進費を確保すること。とくに森林整備にあたっては、初回間伐等について全額公費負担による特別間伐事業を行うこと。

（２）林業に新規参入する若年者が増加傾向を示していることから、長期安定的雇用と地域で生活できる収入が確保されるよう、「緑の雇用担い手対策事業」においては次の課題を推進すること。

①　造林から製材加工、特用林産物の活用など、林業・林産業・木材産業を複合的に組み合わせた就労による通年雇用の促進。

③　就労環境の改善やコスト削減のため、高性能機械の導入など効率的な施業方法の開発および技能訓練の促進。

④　伐期を迎えている道産材の加工販売を促進するため、流通販路拡大に対する支援、公共施設や一般住宅建築への利用を促進する税の減免措置や補助金制度等の支援策の拡充。

（３）林地残材や未利用間伐材など木質バイオマスエネルギーの活用を促進するため、技術開発を支援するとともに、事業化を積極支援し地域資源の有効活用と雇用の創出をはかること。

（１）安心・安全な食料の生産・供給を通じて、北海道の農業・水産業と食品関連産業を振興し、地域経済の活性化と雇用の拡大をはかること。

（２）道立試験研究機関や普及改良事業を効果的に活用し、農業や水産業における生産基盤の強化や新たな生産技術の導入促進はかるとともに、円滑な新規就業が可能となるよう技術指導や経営支援を行うこと。

（３）雪氷やヒートポンプなどの未利用自然エネルギー、未利用資源の飼料や肥料への活用をすすめ、省資源・省エネルギー・低コストを実現する自然循環型農業をいっそう推進すること。

（４）「緑の雇用創出（グリーンニューディール）」を各自治体における雇用政策に位置づけ、積極的に展開すること。

３．信金、信組など地域金融機関の経営基盤強化による円滑な資金調達・仲介機能の確保、地域経済への役割発揮

６．休日、及び時間外労働の規制強化と割増率の引き上げ、及び有給休暇完全取得による雇用の分かちあい。