自民党・北海道道州制特区推進法案(試案)に対する要請議事録
(日時/2006年3月6日(月)13:30〜 場所/道庁3階知事会議室)
 
【佐藤事務局長】−要請書手交−
 現在第1回定例会開催中の多忙な中、今日の要請に応えて頂き敬意を表したい。連合北海道事務局長佐藤です。これから趣旨説明を若干いたしますが、現在進行中であります自民党の試案というものが出ており、北海道道州制特区推進法案の法案に向けた作業が進められていると言うことでありますが、連合北海道としてはこの法案の重要性に鑑みまして連合北海道として緊急対策委員会を設置しております。従って、今日交渉の場に来ている皆さんはその役員も兼ねて参加しておりますので併せて冒頭紹介しておきます。
 この推進法案なるものについて最近、昨日、一昨日とタウンミーティングが道内の主要都市で行われ、それから先月末には地制調(地方制度調査会)が政府に対して区割り法案を中心として答申が出されると言うことでありますが、この地制調の答申については、少し中の文言を見ますと国民的議論を踏まえて導入への機運が高まれば、理念やプロセス等を規定する推進法制も、ということで道筋が明確になっていません、区割り案は提示されてますが。そういう状況ですし各都道府県知事の評価もある意味ではバラバラ、積極的に評価する人は半数にもなっているか、ということも含めて考えますと、全国的な国の形をめざす道州制というのは、まだ議論する機運にもなっていないのではないかといえるのではないか。
 タウンミーティングも道内4カ所で開催されておりますが、それぞれ推進法案が議論されていくにしても、これまで示されている中身についての色々な議論がありました。説明者と質問者の議論がなかなか咬み合わないとか、これまでの北海道における特例措置などを含めたものがどうなるのか、道民生活への影響はどうなるのか、こういうことが私の見る限りは説明責任が果たされていない、議論も咬み合わない。従って慎重に扱ってはどうかという意見が多く各地で出されているととらえている。私どもとしては、そもそもの話になるが、自民党による道州制調査会などで進めているものが、文字通り「特区」となってますが、道州制そのものに結びついていくものなのかどうかという点については、連合北海道としては、それ自体非常に疑問視をしている。従って一方、道も権限移譲を国に求めておりますが、私は道自体も道州制については、きちっとした出口論が明示をされていないと、それから道民論議というものも不充分であると、それから国に対する権限移譲なども、例えば市町村も含めて十分道内における合意形成が行われているのかどうかという点では、不充分性があるということで、この問題二つが整合性を持って論議できるかというところも解明されていかなければならないと思っている。この要請書の中段以降にこれまで出された試案について@からCに私どもの考え方を触れている。中身は省略するが、今回これらが法案化されていくということには、私たちは反対であるという意思を表明せざるを得ない。従って、今国会で法案化することも当然のこととして、私たちは賛同できないという立場であり、前もって要請書の中身は事務レベルで申し上げているので、これらの点を踏まえて道としての考え方について、副知事の方からご回答いただきたい。
【山本副知事】
 自民党道州制議員連盟から試案が示され、内閣府の桜田副大臣から自民党の推進議員連盟が作成した試案について知事が意見を聴かれたわけでありまして、2月5日東京で内閣府の桜田副大臣とお会いして、以下のことを知事は申しております。
 大きく4点ほど述べていますがまず第一点目は、推進法案の試案について目的のところが地方分権の推進であるという部分が欠けているというか明記されていない。あくまでも道州制特区の推進というのは、私どもは地方分権の推進を図ることを目的に取り組んでおり、ご指摘にありますけれども国の行政リストラと言うか行政体制の合理化が目的というのはおかしいのではないかということで、地方分権の推進を法案の目的に明記すべきというのが一点。
 二点目は財源措置です。これは何よりも大事な部分ですが、これまで事務権限を移譲されるにあたっては国が、それまでに事務事業に要していた経費をきちっと措置していただきたい。その措置の方法としては、道州制特区推進交付金という形で一括して北海道に交付していただきたい、これは明確に申し上げています。
 それから三点目は、推進法案の中には盛られていない項目として法令面での地域主権と申し上げていますけれども、法律や政令で色々なことが決められておりますが、それを条例で決めさせていただきたい。条例範囲の拡大ということについても是非推進法案の中で明記していただきたい。それとともに市町村への権限移譲も必要になってくるが、権限移譲のための法的な制約が色々あるので、市町村への権限移譲を行うための法的制約を取り除くこともここで明確にしていただきたい。
 四点目。北海道道州制特区推進本部を国の方で設置していただいて、北海道知事もそのメンバーとさせていただきたい。
 大きく四点にわたって知事は担当の桜田副大臣に意見として申し上げた経緯がございます。申し上げましたように、道は道州制特区の推進というのはあくまで地方分権を推進するためでなければならないと考えております、これは明確に申し上げておきたいと思います。それで知事が申し上げた北海道の意見というのは、これまでの議会議論、あるいは道民の方々、市町村、経済団体の方々と幅広く意見交換をさせていただいて、そこでの色々な意見を集約して、こういった意見を知事として申し上げたということでございます。従って、これからも道州制特区の推進というのは、道民の皆様方との議論をさらに行って進めていかなければならないと思っております。
 それから、市町村の合併の問題が推進法案の中で一項目盛り込まれております。市町村合併を推進するための必要な措置を講じて、「進捗に応じて行政体制の合理化を進めるように努める」とありますが、私どもは基本的にこの規定そのものも強権的に市町村合併を推進させることを強いるものではないと理解しております。あくまでも市町村合併というものは、市町村が住民の意向を十分踏まえて、自主的に判断されるべきものであると考えておりまして、その姿勢はこれまでもこれからも一貫して持ち続けていく考えでございます。ですから市町村合併は自主的な合併の推進ということをこれからも進めて参りたいと思います。ちなみに試案では行政体制の合理化を進めるようにという言い方になっておりますけれども、ここも書くのであれば行政体制の効率化を進めるべきではないか、合理化ということはおかしいのではないかという意見を知事も申し上げております。
 議連の試案に対する基本的な考え方はいま申し上げた通りですが、道州制特区推進法案については、現在、政府内で検討が行われておりまして、私どもが受けた情報によると、今日午後の副大臣会議で法案の叩き台が示されるのではないかと聞いております。ですからどういう形になっているか、今まで知事を中心に私ども道の考え方を申し上げて参りましたので、そういったものが反映された政府案になっていることを期待しておりますし、また、政府案が多分午後から示されるとなれば、その内容をよく見て私どももきちっと言うべきことは言っていかなければならない、と考えております。
 三点について要請されておりますので、できるだけ早い段階で道の考え方をまとめて文書でご回答したいと思っております。
 基本的な考え方は以上でございますが、昨日、一昨日とタウンミーティングがありまして、私も4会場に参加して感じたことですが、やはり一様に道民議論不在ではないのかとか情報が十分ではないといったような指摘がありました。道州制特区というのは道民生活を向上させるためのものである、北海道経済を活性化するというのが目的でありますから、道民の方々のきちっとした合意というのか道民議論が深まった中でこの法案が成立されることが一番望ましいと考えておりますので、ご指摘にもありますけれどこれからも道民議論が深まるよう心がけて参りたいと思います。
【佐藤事務局長】
 正式に申し入れ事項に対する回答は文書でいただくと言うことですが、今日はそれぞれ代表の方も参加しておりますので、幾つか意見があれば出していただいてコメントできるものはコメントしていただくという扱いにさせていただきます。
【星連合北海道副会長】
 連合北海道の副会長で全開発委員長の星です。もろに該当する立場ですから、言葉を選んでと思っていますが…。
 非常に政府内部でも激しいスピードで進んでおりまして、いま副知事がおっしゃった状況にあります。それで、知事が申し上げたという4点の中で、ひとつは地方分権が明確ではないと、これは私ども労働組合とくに全開発の場合も地方分権だとか道州制、これについては否定するものではないし、グローバルな国際化の中で47都道府県がチマチマやっているわけにはいかないという立場でも大変な国の形を決めるものなんだろうと。そういう中で北海道が手を挙げたから、「お前のところは一道一県だからやり易いだろうと、先行してトライアルしてみろ」と、こういうものでもないのではないか。そこのところが整理をされないまま、知事が心配している通りだと思うんです、国の出先のリストラだけが目に付く状況で進んでいく。これは私どもも知事の考えはそうだと思う。それから財源移譲の措置だとか交付金で一括というところ、関係する5省庁、どこもおしなべて現状の中ではしんどいよということで、ゼロ回答に近いものが殆ど出されていると押さえています。それから特区の推進委員会の設置と知事のメンバー入り。これも桜田副大臣は設置は前向きにということなんですけれど、知事の委員へのメンバー入りというのはいかがなものかと、意見を聴く程度にと出回っているものですけど、これも流れが分からないものですから、もし分かっていたら聞かせていただければと思います。
 それで本題の方ですが、二つほどありましてひとつは当初、道が国に求めていた13項目の中では、国道、河川は入ってなかったような気がするのですが、突如、年が明けてどんどん進む中で、国道、一級河川についても道が移譲を受けると、知事もそれに賛意を示したわけでありまして、これがいつの段階でそういう具合に整理をされていったのか。また、国道ひとつ取ってみても、これは副知事もご存じだと思うんですけれども、内地の方と私ども北海道開発局におけるかさ上げの問題ですね、北海道特例といいますが、これによっての除雪だとか維持問題も補助国道といえどもそれなりの金を国で出しているという状況がありまして、ここら辺の整理を本当にしっかりされてから移譲を受けるということ。単に金だけはくれよとはいかないわけでありまして、そのあたりがしっかり出来ていたのかどうなのか。
 もう一点は、私ども国土交通省だけではなく関連する各省の中で、とくに厚生労働省。雇用保険の切り離しの関係が同じ国公の仲間として承っています。その議論の中では、いま保険料の収入と支出のバランス、全国的には72%北海道では150%と約倍になっている。北海道の人が払う金よりも給付で支払う金の方が多い。当たり前だと思うんですけれども、そうゆうような北海道の状況において、果たしてそれでいいんですかと。現在北海道では収入で650億、支出で975億。差し引き350億国の方で持ち出すという。言い方は変ですけれども雇用保険会計においてはそうゆうような収支もあって、本当に道でこうゆう問題を受けれるのですかということについて道に回答が来ているはずなんですけども、そのあたりも大丈夫なんでしょうかということも含めて、もっとたくさんあるんですけれども我々道民の立場で考えると、そのへんが問題になっていると思うのですけど是非見解をお聞かせ願いたい。
【山本副知事】
 まず、この道州制の目的は行政リストラや合理化のためのものではないということは、ぜひ私どもこれから主張していきたいと思っておりますし、分権のためであるという基本スタンスでこれからもやっていきたいと思っています。各省庁も色々抵抗しておりますが、内閣府もなんとか私どもの主張を実現させたいと言うことで努力していただいていますので、見守っていきたいと思います。それから、推進本部は桜田副大臣は前向きにお考えのようでありますが、知事が参画できるかどうかまだ見えておりません。なんとか私どもは北海道知事、それから出来るなら知事会の代表も入っていただくような、そうゆう推進本部にしていただきたいということをこれからも申し上げていきたいと思っています。
 それから私ども今まで2回提案したわけですけが、その中で13項目提案しました。この試案では道路、河川が入っております。北海道の提案と言う形でこれがなっておるようですけども、私どもが提案したのはあくまで13項目でありまして、道路、河川というのは将来的な姿として、道路法、河川法に基づく権限移譲は受けることは想定していましたが、当面の形で道路、河川を受ける考えはございませんでした。ただ、今まで国へ提案していた中には、将来的な姿の中で道路、河川も含めていたものですから、あえて今回、試案の意見を求められた時に、そこは削除まで求めなかったわけであります。私どもの基本的な考え方は、まずは13項目をやらせていただきたいということで、申し上げてきてございます。それから国道と河川を仮に受けるとなれば、おっしゃったように特例問題はきちっと整理されて、その扱いが明確にした段階でなければ、これは軽々に受けられるものではないと思っています。基本的に北海道特例は維持すべきであると、これは一貫して申し上げております。今の北海道の開発体制も維持すべきであると、それから予算の一括計上のあり方も維持すべきであると知事も申し上げてきておりますので、これからもその考え方で国の方に主張して参りたいと思っております。
【出光地域主権推進室参事】
 雇用保険関係ですね、一昨年の8月に提案した13項目の権限移譲の中に雇用創出関係助成に関する権限移譲というのを入れております。私どもが提案した趣旨は、例えば雇用創出関係の助成事業のなかでも色々な種類の事業に分かれておりまして、自立就業支援ですとか地域雇用受け皿事業の奨励金ですとか雇用開発促進の助成金ですとか。目的、対象者によって分かれているわけでございます。これを道において一本化して移譲していただいて、一本化、一元的に事業を実施することで、より効果的・効率的に雇用の創出が出来るのではないか。そういう趣旨で提案をしています。それに対する国からの回答としては、いわば、それであれば道の方から入ってくるお金と出ていくお金がアンバランスではないのかということで回答が来るわけでございます。
 私どもとしては、基本的に他の事業の考え方でもそうですけども、いま道に来ているお金、金額の総額を維持した上でより自由度が高い方法を採らせて欲しい、というのが他の権限移譲に関してもすべて一貫した考えでございますので、決して独立採算的に北海道の中であがるお金のなかだけで独立採算でやりなさいというのは、むしろ国側のタメにする議論といいましょうか、否定するための理屈立てではないかと思います。それから議員連盟の試案で出てきている分については、他の項目もそうですけれども、移譲項目としてだけあがってきているものですから、その具体的な中身が議員連盟としてどうお考えなのか、詳細は私どもはよく分からない。むしろ議員連盟の詳細な考え方をお聞きしたいものだと思っていましたところ、今日、政府としての法案の叩き台が出てくるのではないかという情報が入ってますので、そこはまた政府としてお示しになるのであれば議員連盟と同じ案になるかどうか全く分からないけれど、政府としての案が出てきた段階でその詳細を質して参りたいと思っております。
【山本副知事】
 私どもの提案では個別の具体の項目を提案したわけですが、今回のこの試案では法律案だけなので、何を狙っているのか実はよく分からない。ここは具体的に何を国の方は北海道に権限移譲する項目になっているのか逆にお伺いしている状況。それから昨日の例のタウンミーティングで出された資料の中でも、北海道からは従来の13項目に加えて19項目の権限移譲が提案されているところと書いているのですけど、私どもは13項目はもちろん提案しているのですけど、19項目まで提案した認識でなかったものですからちょっと戸惑いを感じています。
【星副会長】
 道の戸惑いというのはよく分かるのですが、結局、私どもも東京へ行きまして霞ヶ関だとか永田町の先生方と色々要請したりお話しすると、やはりいま北海道も開発も進んだし整備も進んだからいいんじゃないかと、これが出てくるわけですね。だから道がとにかく金の部分だけは今まで通りくれやというのはわがままだと明確にいわれます。それとどうしてもそこら辺が分かれ目になるんです。これから観光だとか色々な部分、桜田副大臣は北海道はカジノで生きたらどうだとそこまで言うわけですよ。その時に北海道がまだまだ内地の方と比べて基盤整備等含めて大事なんだと、もっと押し通せるか。その時に広い面積、国土の22%だとか色々な問題を我々も出すんだけれど、そこら辺の主張を弱くしていくと本当に一気にやられるのではないかと心配している。雪の問題、半年間我々は悩まされるわけで、そのことを言うと何を言われるかというと、さっぽろ雪まつりロマンチックですよね、そこから来るわけですね。そうじゃないんだと、本当にそういう中で生活している我々は大変だし、また北海道これはだけではなく日本のためにも北海道の開発は必要なんだと我々は主張してくるのですが、その面がだんだん衰退していくというか、そのことを感じるものですから、余程道もしっかりしてもらわないと困るというのが我々の立場です。
【山本副知事】
 主な論点を見ても、他府県とのバランスを考慮するということです。これはいまおっしゃったように、昨日桜田副大臣も財政力指数からみても北海道はだいたい中位県だというようなことをおっしゃってましたけど、だからといって今の北海道特例の意義が失われていないと私どもは思っています。昨日、小磯先生はこれは優遇措置ではなくて特例措置だとおっしゃっています。やはり歴史的な経緯、北海道のおかれている特性それから北海道がわが国に果たしている役割、こういったことからの特別措置だと私どもも思っております。ですから他府県においては、北海道はこれだけ財政も中位なんだからこうゆう特例はいらないんじゃないかという意見は確かに出ているようであります。今回の検討小委員会でも他府県の国会議員の先生からそういう意見が出ているようでありますが、ここは北海道特例というのはまだまだ私どもにとって意義がある制度であるということは、きちっと主張したいと思います。
【藤井副会長】
 副会長をやってます電力総連の藤井です。中身には入らないんですけども、先ほどから道民合意だとか道民論議だとかという言葉がありますけど、私は一般論として考えなければならないことは、先ほど副知事がいわれた道が考えているその視点があるとするならば、道州制そもそもが私は道民の方に広く理解をされていないと思います。
 そもそも先ほど事務局長からありました通り、日本の国家の姿を描く時に道州制を大括りにした時の役割分担というのは何か、素直に絵をきちっとしないと北海道特区として北海道としても色々な課題に取り組みましょうと描くのか、どこか何か良く分からないですけども北海道が北海道のために望む姿として積極的に取り組んでいくのであれば、もうちょっと北海道としてのスタンスをきちっとしなければならんし、何かどっちがどっちだかよく分からないというのが一般論として大きく存在するのではないかと。新聞しか見てないが、タウンミーティングの状況も出てますけど、根っこがまだまだそこのレベルを超えてないんじゃないかと、ひょっとしたら政争の具になってしまう可能性がありますよと。ここをもう少しきちっとしないと先ほどいった通り論議にはならないんじゃないかと、何かよく分からないうちに進んじゃうところが払拭し切れないのかなという感じがしています。
【山本副知事】
 昨日、一昨日のタウンミーティングでも、非常に情報不足だと言われています。私どもは道州制および道州制特区に関してみれば、色々な機会を使ってきているんです。だから受け止める側、道民の方々がどれだけ関心を持っていただけるかによっては、色々ホームページなどで情報を入れているんですけれども、これはどこまで浸透するかについては難しい問題があると思います。ただ、一応、道州制および道州制特区に関してみれば、色々私どもなりにやってきたつもりです。ただ推進法案となりますと、これは実は逆に私どもも国の方からなかなか情報が貰えないということがありましたから、多分道民の皆さんもですね、殆ど情報がない中で何を我々は考えればいいんだということで、だから昨日のパネリストの方達も情報のない中でなにをしゃべればいいんだというお話しもありました。この論点整理というのが初めて示されました。逆に私どもの方も情報が欲しい立場です。ただ少なくとも前段の道州制それから道州制特区という北海道が考えていることについては、それなりに努力して結構情報提供してきたつもりなんですが、まだまだ足りないというお叱りの話もありましたので、ここはきちっとやっていかなければダメかなと思っています。
 それからこの法案についても、これは多分内閣府の方でも情報提供のご努力いただいているんだと思うんですけど、我々も我々なりの立場で国は何を考えているかということを道民の皆さんに明らかにしていかなければならないと思っています。
【藤井副会長】
 道だけでやっていくというのは難しいですよね。巻き込んでいかないと全体の論議にならない。
【山本副知事】
 道庁だけでやってもだめなので、もちろん議会の先生方も、やはり背景には道民の方々の後押しがないとやれません。
【佐藤事務局長】
 今日の副大臣会議でどのようなものが示されるのかということなので、課題はたくさんあるからそんなに時間はかけられないということですけれども、ひとつ整理しておきたいのは推進法案なるものについての、私どもは先ほど明確に主張しておりますが、これは相手があってのことですから、道がこれに対して受け入れないと明確な意思表示がない場合は、この推進法案そのものは成立しない性格のものであると理解してよろしいか。
【山本副知事】
 北海道知事の意見は重要視されると思いますので、北海道知事のこれに対する意見の重みはあると思います。
【佐藤事務局長】
 私どももそうでなければならないと思っているわけです。今までは試案ということのやりとりですから、さらにどうだといわれても説明できないと、しかし今後、内閣府含めてあるいは政府内部の議論がどうなっていくのかという問題、あるいは省庁との関係でどういうものがどれだけ具体的になるのかと。しかし私は現時点ではこれまでの特例措置の問題だとか道が堅持するといったいくつかの視点がありますよね。こうしたものがきちんと担保できるとは実は思っておりません。思っておりませんが、例えば地方分権という文字が一部はいったからそれで道州制を展望した地方分権という位置づけがされているんだとは絶対思えません。それから合理化という言葉が効率化に変わったというだけで修正になったとして、それが受け入れられたという評価にならないのではないかと。むしろ北海道にとっての道州制にとってそれがどの様につながるのか、それから特例措置というものがどのように守られて将来どうしていくのか、こうしたものを含むいわゆる修正要求だと思っていますが、これが全面的に受け入られないという場合は、北海道としては反対の意思を明確にするという性格のものであると理解しておりますが、いま問い質しても仮定の話になりますが、仮にこれから法案の具体的な中身が、私たちはそうしないように申し入れして下さいという趣旨ですけれども、そうなった場合については当然のこととして道の姿勢としてはこれは受け入れられるものではないとすべきだと思うし、当然だと思いますが、その点についてはどのようにお考えですか。
【山本副知事】
 これは知事も明確に申し上げております。いまおっしゃった目的に分権という言葉が入り、合理化が効率化になっただけではだめだと思いまして、やはりそれは当然法律の理念としては大事なところですけれども、法律の中核となる部分として、やはり財源の担保だろうと思います。北海道特例制度を含めた財源の担保がここでされていなければ私どもとしては受け入れられない。知事も2月21日に検討小委員会がありましたけれども、ここで明確に北海道特例も実質的にきちっと維持していただきたい、推進法の制定にあたってですね。失礼ではあるけれども、私としては特例も含めてこうした財源措置が法律で担保されなければ事務事業の移譲は受け入れられないと述べさせていただきます、という風におっしゃっております。ですからあくまでもきちっとした財源措置の担保をしていただくということで、私ども権限移譲させて頂きたい。権限移譲させていただくにあたっては、財源措置の担保がこの法律できちっと明記されない限りは、権限移譲をうけられないということは、これまでも知事は明確にしておりますし、今後もそういうスタンスでいくということでございます。
【佐藤事務局長】
 それともうひとつあるんですけど、そもそも論の話から含めて道州制という問題についての道民合意以前の論議自体が起きているのかと。先ほど副知事は、議会の論議もそのひとつなんでしょうけれども、パブリックコメントだとか多分そんなことを言っているだと思うんですよね。そういうことを踏まえてやってきたんだという意味と、実際、自分たちの北海道が10年後15年後にどうなるんだというものがどれだけイメージ化されて、あるいは道民一人ひとりに関心を呼んでるかということになりますと、これは殆ど皆無状態と言わざるを私は得ない。従ってこの問題については、特区自身が本当に値するかどうかという議論はありますよ私たちは、少なくともこの問題が一歩踏み出すという前提ではこの道民合意というものが踏まえなければならない。踏まえられなければ道の意思決定に私はならないと、知事が表明したとかしないとかという問題ではないと、そうすると自ずと道民の手続きというものはそう簡単なものではないと私は思う。従っていま直近にこの法案が提出されるかされないかということ自体がなじまない問題であるというぐらいの気持ちでいるんですけれども、いずれにしてもいま道が考えている道州制問題、私は行財政改革の範囲では役割の明示はあるかも知れませんが、しかし先ほど言ったように出口論は明示されていませんね。
 それから基礎自治体のあり方についても必ずしも私たちは了としておりません、今の道の姿勢について。ですから将来的に北海道がやはり依存から自立という方向に向かわざるを得ないう認識は共通していると思いますけど、この道州制というのはその過程が地方分権であって、その完成した姿が道州制であるとなれば、出口論というのは明日か明後日の話ではなくて、10年15年先のビジョンをまず示して、そのためにそれぞれがどうしていくかということをこれから議論しても遅いくらいだと、というぐらい気持ちでいる。ですから今回の問題、道民合意というのはどんな手続き上必要なのかということは、我々も明確になっていませんから、現時点で道がどのように考えているか、それからそういう道民合意を経なければ道の意思決定とはいえないんだ、ということについてどの様な考えでいるか。
【山本副知事】
 いまちょうど議会中ですので、まず議会できちっと議論して頂きたいと思っています。これはまず最低、やらなければならない。多分、議会の方も当然問題提起されてくると思いますから、まず議会の質疑をみたいと思います。それから今日、仮に午後から推進法案なるものがもし示されたとすれば、そういうものをまず私どもの段階でも道民の方々にお知らせするように色々なことを考えなければならないと思っています。
 北海道にとって極めて重要な法律がいま議論されているわけなので、北海道民こぞって応援をするというか、同意をいただくというものでなければ、この推進法案、せっかく作っていただいても歓迎されないものであれば何の意味もありませんし、逆に意味がないだけではなくて禍根を残すことになりますから。だから、まずは議会できちっと議論するということを私どもは留意していきたいと思っております。また、こうした機会も貴重な機会でもありますし、市町村などの首長とは連携することは努力していきたいと思います。
【佐藤事務局長】
 それでは、今日は要請ということでしたので、改めて文書で回答をいただくということは確認させて頂きます。それからやりとりの中で幾つか道側の姿勢について私ども申し上げておりますので、今日以降の動きについて改めて道側としての検討がされる場合もありますので、一定の時期に改めてこういう機会で考え方を求めたいと思いますし、それに対する我々の考え方もぜひ聞いてもらうと、次回そういう場も設定していただくということでよろしいですね。
 それでは、参加している人もたくさん言いたいことはあるんですけれども、一部は仮説の話になったりしますので、とりあえず文書で後ほど回答いただきますが、次回の段階でさらに具体的な論議と我々の要請に対する検討経過について明らかにして頂きたいということを申し上げて今日の交渉を終わりたいと思います。
以 上(文責:総合政策局)