2004年2月10日
日本労働組合総連合会北海道連合会
会長 渡部 俊弘
政府の年金改正法案に対する談話
〜「抜本改革なき給付削減・保険料アップ」の撤回を求める〜
1.本日、政府は、年金制度改正関連法案を閣議決定し、国会に提出した。政府案は、「空洞化」が進行する基礎年金の抜本改革を先送りし、「給付削減と負担増」のみを先行させる「単なるつじつま合わせ」にすぎない。これでは、国民の年金不信は高まるばかりであり、断じて容認できない。連合は、「抜本改革なき給付削減と保険料アップ」の撤回を強く求める。
2.今回の政府案は、年金不信の最大の課題である、国民年金の「空洞化」対策に何ら触れられていない。さらに、国庫負担割合の1/2への引き上げや、パート労働者への厚生年金の適用拡大、第3号被保険者制度の改革・縮小なども、先送りされている。
とくに、国庫負担の引き上げは、2009年まで先送りされており、国民に対する約束違反である。しかも、その財源対策として、所得税の定率減税の廃止が検討課題とされ、これが実施されれば、保険料アップに加え、大幅な税負担増となり、景気への悪影響は必至である。この定率減税廃止には、強く反対する。
3.また、政府案は、負担と給付について、「保険料水準固定方式」と「マクロ経済スライド」を導入するとしているが、単なる数字合わせにすぎない。厚生年金の保険料率は、毎年0.354%づつ引き上げ、現行13.58%を18.3%にし、逆に、給付水準は、所得代替率で現行59.4%を
50.2%まで、大幅に切り下げる(15%の水準カット)という内容である。しかし、抜本改革先送りのもとでは、空洞化と少子化の一層の進行や、資産運用の結果によっては、さらなる「負担増と給付削減」が避けられない。「保険料固定、給付50%維持」といっても、全く信頼を得られるものにはなっていない。
4.連合は、かねてから安心と信頼の年金制度確立に向け、基礎年金の税方式化などの抜本改革を提起してきた。それにより、厚生年金の保険料率は15%程度でも、現行の給付水準を十分維持できると主張してきた。政府は、「抜本改革なき給付削減・負担増」を撤回し、抜本改革に向けた国民的論議をつくすべきである。
われわれは、年金制度の抜本改革に向けて総力を結集し、社会的使命感をもって、幅広い国民的運動を展開する決意である。
5.連合北海道は、安心と信頼の年金制度の確立を求める100万人署名運動を全道展開するとともに、今後、「年金制度改革Q&A」を活用した職場・地域における学習・宣伝活動、3月1日から全道一斉に展開する「キャラバン行動」、市町村議会における意見書採択に総力をあげて取り組む。また、4月以降の法案審議のヤマ場には「総行動」等を配置し、民主党をはじめ野党との連携を強め、政府・与党と対決していく決意である。
以上