日本労働組合総連合会北海道連合会
会長 渡部 俊弘
 

国民年金保険料未納・未加入問題についての見解
(2004.5.13)

1.続々と明らかになる国会議員の国民年金未納・未加入問題は、年金制度に対する不信を増幅するばかりである。昨日、公明党は神崎代表など13人の国会議員に保険料の未納・未加入があったことを発表した。この問題では、民主党は他党に先駆け所属する全国会議員の未納等の問題を明らかにすることを表明し、調査のうえ近く公表することになっているが、本道選出の衆参民主党国会議員の14人中8人に未納があることが新聞で報じられた。そして、民主党北海道は道民に謝罪するコメントを発表した。その一方、自民党は、今なお、公表することは明らかにしていない。

2.連合北海道は民主党とともに、抜本改革によって「安心と信頼の年金制度」を実現するため、これまで全力を傾注してきたが、これまで支持してきた民主党国会議員の未納・未加入問題については、誠に遺憾であり、理由の如何を問わず不見識極まりなく猛省を促すものである。
 同時に、年金法案は与党の数の力と党利・党略で衆議院を通過した後で、新たな保険料の未納問題が次々と明らかにされ、政府の年金法案に対する信頼性は一層損なわれた。国民の不信感は高まり、ふりだしに戻して再度議論せよという怒りの声が聞こえてくる。連合北海道は、政治に対する信頼が危機的な事態に発展しているものと認識している。

3.こうした認識にたち信頼回復の措置として、第一に、自民党も含めた各政党はその責任において国会議員の年金加入状況を早急に公表すること。第二に、この際、国会議員に国民年金加入が義務付けられた、1986年以降の年金の未払保険料を全額納付できるようにする特別立法の制定を求める。

4. 安心と信頼の年金制度を確立するためには、国民の信頼回復のもとで年金問題が議論されなければならない。特に、民主党に対しては、連合北海道として、こうした問題に率先して取り組むことを求めたい。未納保険料は過去の2年分については納付できるが、それでは不十分である。国会議員はペナルティ(保険料割り増しや遡及分の年金受給権放棄を盛り込むなど)を付し、未納保険料全額を納付すべきであり、国会議員に限定した特別立法の制定を自らが行うよう求めたい。
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5. 最後に、社会保障制度の根幹である年金制度については、真に国民のためのものとなるよう、本来、国会で徹底した審議が成されるべきだが、未納・未加入問題の発生により、全く不十分な議論のままひたすら法案成立を優先する政府与党に抗議する。なお、国会議員の未納・未加入問題は、国会議員自らの年金管理責任であることは云うまでもない。しかし、我が国の年金制度の欠陥にも要因がある。あらためて政府案撤回と抜本改革を実現するため、参議院に於ける徹底審議と参議院選挙の重要政策課題として国民的な論議を求め闘っていく。

以上
政府年金法案衆議院通過に対する見解と今後の対応について
(2004.5.11)
 
(1) 連合北海道は、年金制度が安心して暮らしを営む根幹の制度であることから、安心・信頼の制度となるよう、抜本改革の実現をめざし、職場・地域から道民運動に全力で取り組んできた。具体的には、全道年金キャラバン行動、市町村議会等に於ける意見書採択、年金なんでも相談、100万人道民署名、国会動向を踏まえた街頭宣伝など、組合員・退職者の皆さんの協力のもと全道くまなく運動を展開してきた。こうした取り組みを通じて、道民の年金に対する関心は高く、最重点の政治課題であることを実感したところである。
 
(2) もとより連合本部は、「抜本改革なき負担増・給付削減」の政府案を撤回させることを基本スタンスに闘ってきた。民主党も法案成立阻止で体を張って闘いを展開してきた。しかしながら、政府・与党は、4月28日、野党が欠席する中、衆議院厚生労働委員会で採決を強行し、本日(11日)午後、衆議院本会議において一部修正のうえ与党の賛成多数で可決・決定し、法案は参議院へと送られた。連合北海道は、政府・与党の数の力と党利党略に基づく法案審議のあり方に対し深い憤りと抗議の意志を明確にするものである。
 
(3) ここに至る経緯の中で、政府案が無傷で通れば、向こう14年間、自動的に負担増・給付削減が行われていく事態になることを危惧した民主党は、政府法案に対する、何らかの歯止め・見直しの措置が必要であるとの判断に基づき、5月6日夜、自民党・公明党の与党と三党協議を行い、@年金一元化問題を含む社会保障制度全般のあり方に関する小委員会を設置し、2007年(平成19年)3月を目途に結論を得る、A上記の課題について与野党による協議会を設置する、B年金保険料については、社会保障全体の検討状況や経済社会情勢を勘案して必要な検討を加えるなどについて合意した。しかし、3党合意に対する民主党内の批判は強く、菅代表の辞任問題もからみ混乱・紛糾したが、執行部一任で昨日承認された。
 なお、民主党は国民年金法案に反対したものの、附則には3党合意が生かされたとして修正案には賛成した。
 
(4)今回の3党合意は、4月26日に笹森連合会長が小泉総理に、「年金・医療・介護等社会保障全体について、税・保険料などの負担と給付のあり方を含めた見直し」を求めたのに対し、小泉総理が「一考に値する」と答え、協議機関の設置など前向きに動いたことも影響している。民主党も連合も年金が国民生活に重要な社会保障の根幹をなす制度であり、「国民のために何らかの改革の道筋をつける」のが政治の責任との判断から3党合意に至ったと思われる。だが、そうした主体的な判断とは裏腹に、「年金改悪」法案は通り、附則に盛り込まれた内容の実効性については、「一元化は困難」との閣僚発言がすでに出されるなど何らの担保もないというのが冷厳な事実である。国民にはわかりにくく、玉虫色の決着との批判は免れず、三党合意を評価することは困難である。国民の反対を押し切り、負担増と給付削減の年金法案が衆議院を通過したことから、国民の不安と不信は増幅し、国民の批判は政府に止まらず、民主党に対しても強まっている。こうした結果を深刻に受け止めなければならない。
 
(5)民主党は年金一元化など抜本改革の対案を提示し政府与党と対峙してきた。3党合意では、一元化を含む抜本改革を3年かけて議論することが確認されたが、このことは政府の年金法案では、安心の抜本改革ができないことの裏返しである。したがって真に国民のための年金改革に繋げるためには、民主党は早急に参議院選挙のマニフエスト(政権公約)に、具体方針を補強し、国民に明らかにすべきである。そして、年金制度を7月の参議院選挙の最大の争点の一つ据えて、政府法案との違いを堂々と国民に訴え、問題点を徹底的に明らかにし闘うべきである。政府法案が欠陥である以上、「抜本改革なき負担増・給付削減」の法案を既成事実化させてはならない。
 
(6) 連合北海道は、衆議院本会議で年金法案を通過させた自民・公明の与党に対し強く抗議する。民主党所属議員は、国民年金加入状況を公表することをすでに明らかにしているが、各党は全国会議員の保険料納付状況の公表を早急に行い、国民への説明責任を果たすよう強く求める。さらに、民主党には新しい代表のもと挙党態勢を早急に確立するとともに参議院に於ける徹底審議を求める。
 連合北海道は、国民不在と党利・党略の政治に終止符を打つため参議院選挙に総力を挙げて闘うことを組合員の皆さんに訴える。選挙区・峰崎直樹、各産別が擁立する比例候補者、北海道重点比例候補者・信田邦雄の必勝のため全力をあげよう。
以上