自衛隊のイラク派兵に反対するビラ配布に対する
不当逮捕へ抗議する声明
2月27日、東京都立川市の市民グループの3人が、自衛隊のイラク派兵に反対するビラを配布するために自衛隊員の住む官舎へ立ち入ったとの容疑で、住居不法侵入罪で逮捕され、さらに事務所とメンバーの自宅が家宅捜索を受け、団体に関する書類やパソコンなどが押収された。
これは異常な事態である。しかも、「現行犯」逮捕ではなく、裁判所が警察の令状請求を受け入れ容認した「令状逮捕」であることに戦慄を感じる。
断固抗議し、逮捕・拘留されている3名の人びとの即時釈放を求める。
3月5日の朝日新聞の社説には「自衛隊派遣に反対する内容のビラだったからこそ、逮捕に踏み切ったのだろう。自分と違った価値観を認め合い、自由に意見を交わすことができる。それが民主主義の社会であるための前提だ。とりわけ、イラクへの自衛隊派遣は憲法の平和主義に触れかねない問題をはらみ、日本の針路を左右する重大な問題である。政治家や官僚にまかせておけばいいという話ではない。人々が自由に意見を述べ、異なる主張にも耳を傾けることが大切だ。国際社会がイラクの国づくりに求めているのも、こうした言論の自由がある民主的な社会ではないか」と取り上げられた。
確かに「勝手に敷地内に入った」のは事実である。「自衛隊員や家族の複雑な気持ちへの配慮が足りない」との意見もある。
しかし、ビラという通常の配付物を、郵便受けという外に開かれた空間に投函したということ。また、ビラの内容も、自衛隊員とその家族に対して「共に考え、反対しよう」と呼びかけた穏健なものであり、自衛隊員とその家族は、市民としてこのような情報を受けとり、その内容について自分で判断する権利もある。
この逮捕・家宅捜索は、イラク派兵に反対する私たちの言論・表現の自由の侵害に直結する。チラシ配布が違法行為とされ、逮捕されるのであれば、集会や街頭宣伝、デモ行進への制限へとエスカレートしていく危険を感じる。
「さっぽろ雪まつり準備」に関する陸上自衛隊師団長発言、石破防衛庁長官の取材・報道自粛要請、自衛隊派遣を賛美する黄色いハンカチ運動の強制、そして今回のこの不当逮捕と、この国は大きな岐路にある。
私たちは、今後も当然の権利である表現の自由の権利を行使し、自衛隊のイラク派遣に断固反対し、イラク国民自身による民主的で開かれた政府の確立と、国連と多国間による国際協力・援助に支えられた復興が一日も早く実現することを強く求めていく。
改めて、私たちは何よりも今回の不当逮捕と不当な家宅捜索に抗議し、逮捕・拘留されている3名の即時釈放を求めるものである。
2004年3月9日
イラクへの自衛隊派遣中止を求める共闘会議 (民主党北海道・社民党北海道・道農民連盟・道平和運動フォーラム
DPI北海道ブロック会議・連合北海道・道高齢退職者連合)