2004年4月9日
日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長 渡部 俊弘 
 
イラクでの日本人の身柄拘束に関する見解
 
 カタールのアラビア語衛星テレビ「アルジャジーラ」は8日、イラク国内で日本人3人が人質として身柄を拘束されたと放送した。拘束した勢力はサラヤ・ムジャヒディーン(イスラムの戦士)と名乗り、3日以内に自衛隊が撤退しないと3人を殺害すると予告している。
 拘束されたのは郡山総一郎さん、高遠菜穂子さん、今井紀明さんであり、今井さんと高遠さんは北海道出身である。高遠さんは千歳市の出身で、昨年4月からはイラクでストリート・チルドレンに対する緊急支援活動を始め、治安の悪化するバグダッドで単独で活動を続けていた。今井さんは札幌市在住で、NGO「NO!小型核兵器(DU)サッポロ・プロジェクト」の代表を務め、劣化ウラン弾による被害調査のためイラク入りした。
 
 私たちは、第一に身柄を拘束された3人の安全と、一刻も早い解放を心から願う。このよう民間人を人質にするという犯行グループの行為は決して許されるものではない。
 
 身柄を拘束したグループは「日本の国民のみなさん。我々はあなた方に友情と尊敬、親愛を抱いてきたが、残念なことに、あなた方はそれにそむき、あしき米軍を支援した。米軍は我々の土地に入り、聖地を侵し、我々の子供たちを殺した。我々は、同じことをあなた方にしなければならない。3人の日本人はいま、我々の手にある。あなた方が撤退するか、我々が3人を生きたまま焼き殺すかだ。期限はテープの放送から3日間だ」と声明を発表し、「自衛隊の撤退」を要求している。
 それに対し日本政府は、福田官房長官が「自衛隊は人道復興支援を行っており、撤退する理由が無い」と述べた。
 しかし、国内を二分する自衛隊派遣の論議の中でも懸念されたとおり、自衛隊の派遣そのものが、現地で中立・公平に人道復興支援活動を行うNGOなどの日本人を危険に巻き込んだ。
 また、犯行グループの要求にもあるように、イラク現地の人々は自衛隊が「人道復興支援」を行うものではなく、占領軍の一翼を担う軍隊として見なしていることが明らかとなった。
 
 イラク南部サマワの陸自宿営地で日本時間8日午前4時13分に宿営地の北側約300メートルの地点で砲弾が着弾したとみられる跡が2カ所見つかった。
 また、今日9日でフセイン政権が崩壊して1年となるが、5日に駐留米軍がファルージャで反米武装勢力への攻撃を始めて以来、イラク人の死傷者が約700名にも達し、イラク各地での衝突は沈静化の兆しを見せておらず、本格的な戦争状態に逆戻りしている。
 
 私たちは、身柄を拘束された3人の一刻も早い解放と安全確保を心から願い、自衛隊の即時撤退を強く求める。もはやイラクに非戦闘地域は無く、イラク国民は自衛隊を占領軍の一翼を担う軍隊としてみなしている。
 現地で活動する日本のNGOなどが、自衛隊の派遣によって危険にさらされながらも活動を行っていることへの安全確保も不可欠である。
 連合北海道は民主党北海道などと連携し、職場・地域、現在開会中の国会論議の中でも自衛隊のイラクからの即時撤退を求める取り組みを緊急に取り組むものである。    以 上