2004年12月13日
各 産別・地協 代表者様
日本労働組合総連合会北海道連合会
会長 渡部 俊弘
北海道議会における教育基本法の改正を求める意見書採択に関する見解
1.12月10日に閉会した第4定例北海道議会において、自民党の発議により「教育基 本法の改正を求める意見書」が提案され、自民党とフロンティア議員会の一部の賛成に より採択された。(フロンティア議員会の連合推薦議員の4人の内、1人は民主党案に 賛成、3人は退席)
2.自民党案に対し、民主党は教育基本法の見直しは、国民的議論を経てより慎重に結論 を出すべきだとの立場から、「教育基本法見直しの慎重な対応を求める意見書」を提案 した。民主党案にはフロンティア議員会の一部と共産党が賛成したが、自民党と公明党 の反対で否決となった。公明党は自民党案、民主党案のいずれにも反対した。
3.自民党が教育基本法改正に関わる意見書を道議会に急きょ提案したのは、全国の30 を超える都道府県議会で意見書が採択され、その促進を求める党本部や推進団体の要請 といった政治的な背景がある。道政与党の公明党の賛成を得るため、意見書には「愛国 心教育」を別な言葉に置き換えるなど配慮した文言となっていたが、公明党は採決では 自民党案に反対し、フロンティア議員会は対応が分かれた。教育基本法見直し問題でこ れだけ議会の各会派が複雑に対応が分かれたことは、より慎重に十分な議論を求める世 論の反映とも言える。拙速かつ数の力で事を決する道議会・自民党の政治姿勢に抗議す るものである。
4.教育基本法の見直しの論点の一つに「愛国心教育」がある。連合の教育基本法問題検 討委員会の答申においては、この問題は両論併記となっている。また、教育基本法はわ が国の教育の基本原則として大きな役割を果たしてきたし、今後も尊重すべきとの意見
も多い。それだけに、教育基本法見直し議論はより慎重でなければならない。
学級崩壊、いじめ、不登校、学力低下など学校教育の今日的な様々な課題を解決して いくことは重要であると考えるが、連合北海道は、「こうした問題のすべてを教育基本 法に原因があるとする考え方は誤りであり、今日的改正の必然性はないものと考えてお ります。」(第17回年次大会での事務局長答弁)という立場である。自民党の意見書 は、それらは「教育基本法」に問題があるかのような認識となっており、あまりにも恣 意的であり、短絡的すぎる論理である。
5.連合は21世紀のめざすべき社会として「労働を中心とした福祉型社会」を目標に掲 げている。こうした社会を構築するためには、社会・経済・文化などの教育、社会を担 う人材を育成する教育が重要である。連合北海道は、先の大会で決定した「教育を考え る対策委員会」(仮称)を早急に設置し、様々な教育課題について検討を深めていく。
以上