2005年12月9日

日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長  渡 部 俊 弘  

 〜国民世論無視の自衛隊派遣延長決定に抗議する〜
自衛隊のイラク派遣延長の閣議決定にあたっての見解

 小泉首相は8日、臨時閣議を開催し、イラクへの自衛隊派遣をさらに1年間延長することを決定した。国民世論を無視した自衛隊の派遣延長の決定に強く抗議する。
 国民の反対を押し切り、憲法を踏み外して、2004年1月16日にイラクへ自衛隊が出発して1年10ヶ月余りが経過した。ブッシュ政権がイラクへの先制攻撃を正当化する根拠としたイラクの大量破壊兵器の保有という主張は、「イラクにはいかなる大量破壊兵器も存在しなかった」とする米国調査団の最終報告により、その根拠は根底から否定され、今や、イラク戦争の大義は完全に崩壊している。

 イラクでは、12月15日に国民議会選挙が予定され、年内にも正式な政府が発足する見通しとなっているものの、今もなお、戦闘状態が続きテロも頻発し、多くの市民と兵士の命が失なわれている。
 サマワ周辺も自衛隊宿営地にロケット弾が打ち込まれるなど、イラク国内に「非戦闘地域」は存在せず、自衛隊派遣の前提条件は完全に崩れ去っている。12月4日には、サマワ近郊のルメイサで、陸上自衛隊が改修した施設の完成式典中、イスラム教シーア派反米指導者サドル師派のデモ隊が施設を取り囲み「日本人はルメイサに来るな」と要求するとともに、付近に止まっていた陸自の車両に投石し、車両のミラーが割れるなどの事態が発生している。

 それでも、小泉首相は「自衛隊が活動している地域は非戦闘地域だ」などと無責任な発言を繰り返している。また、額賀防衛庁長官は、わずかな現地視察のみで、サマワが安全な地域であるとする派遣延長ありきのアリバイ工作的な視察報告を行うなど、国民を愚弄している。

 一昨年7月、政府与党が、イラク復興支援特別措置法を強引に成立させて以降、イラク戦争の開戦の経緯や憲法上の疑義から、連合北海道は自衛隊のイラク派遣に一貫して反対する立場からの運動を続けてきた。圧倒的多数の国民も自衛隊員の安全に危惧を抱いており、自衛隊の即時撤退を求めている。

 私たちは、イラク特別措置法が期限切れとなる12月14日以降も、引き続き派遣を延長することは断じて容認できない。派遣延長に抗議し、抗議の打電行動、抗議集会に取り組む。国連憲章や日本国憲法の精神に立脚して、引き続き、イラクから自衛隊の即時撤退を求める。
 
以  上