2005年9月21日
日本労働組合総連合会北海道連合会
会 長 渡 部 俊 弘
米国海軍イージスシステム搭載駆逐艦「ラッセン」の
室蘭港入港に関するコメント
9月13日、米国海軍からイージスシステム搭載駆逐艦「ラッセン」が、10月12日に室蘭港へ入港すると室蘭市に打診があった。
ラッセンは本年9月に横須賀に配備され、米国の弾道ミサイル防衛(MD)を担う最新鋭の防衛システムをも備えたイージス艦である。
しかし米国海軍のイージス艦は、湾岸戦争やイラク戦争で先制攻撃のために核弾頭搭載可能の巡航ミサイル「トマホーク」によりイラク国民を爆撃・殺戮しており、高性能レーダーとミサイル制御システムにより戦争の中心的役割を担う「イージス艦」の性能を考えれば、最新鋭のイージス艦ラッセンが防御的な側面だけを担う戦艦ではない。
このような軍艦が商業港である室蘭港に入港することは、北海道の平和の確立と軍縮の推進を求める多くの道民世論に反する行為であり、断じて認められない。連合北海道は断固反対する。
港湾管理者である室蘭市は、次の観点からも入港を拒否するべきである。
第1に、米国海軍・ラッセンに対し、文章により非核の証明を明確にするよう求め、米国海軍・ラッセンからの明確な回答が無い場合は入港を拒否すべきである。
非核三原則は我が国の国是であり、室蘭市は「核兵器廃絶と恒久平和実現」を84年9月に宣言している。米艦船の核搭載については多くの道民が疑義を抱いており、非核の証明を明確に出来ないならば入港は認められない。
ラッセンの核搭載の有無について、港湾管理者である室蘭市が文書により米軍の明確な回答を求めることは、市民の不安を解消し安全を守る上で当然である。
第2に、寄港目的が「親善・友好」とされているが、商業港である室蘭港に巨大戦艦を乗り付け、繋留経費さえ支払わず「日米地位協定」により日本国の・我々国民の税金で負担させてまで「親善・友好」を強いられる理由はない。
また、度重なる米軍艦の室蘭港入港は、民間・商業港を準軍港として固定化し、「日米新ガイドライン」による自治体協力をなし崩しに進めるものであり、自治体に軍事的役割を求めるものである。
第3に巨大軍艦の寄港は、商業港の経済活動に大きな支障を発生させ、港湾労働者をはじめ、関係者に不利益が生ずるおそれがある。一部には経済効果を期待する声もあるが、多くの道民は「殺戮」の兵器で利益を得ることを望んではいない。
連合北海道は、北海道の平和と軍縮の拡大をめざす立場から、いかなる国のものであろうと、軍艦の道内商業港入港は歓迎しない。
核保有国の核兵器搭載可能な戦艦の入港はことさらであり、米国イージス駆逐艦ラッセンの入港は、北海道の平和の確立と軍縮の推進を求める道民世論に反する行為であり、強く抗議するものである。
以上