2005年4月6日
日本労働組合総連合会北海道連合会
会  長  渡 部 俊 弘
 
     
支庁制度改革プログラムと事務・権限移譲方針決定に関する見解

1.道は、「支庁制度改革プログラム」と「道から市町村への権限移譲方針」を正式決定した。その内容は、@現行の14支庁を6支庁とする。支庁が廃止される地域には経過措置として「地方行政センター」を設置する。支庁制度の条例改正は07年度に行い、08年度から施行する。A道の事務約2千5百のうち191件、権限4千条項のうち2千48条項について今年度から市町村に照会し、合意を得たものは、06年度から順次市町村に移譲するというものである。
 これらの方針案は2月に示され、北海道町村会は「道の一方的なスケジュールで行われている」「拙速な進め方」であると批判し、連合北海道は道内分権を円滑に進めるためには、市町村の理解と協力が不可欠との判断から、「事務・権限移譲方針」の凍結と「支庁制度改革プログラム」の再検討を道に求めてきたが、3月31日、道は既定方針通り年度内に決定したことは、拙速であると批判せざるを得ない。
 連合北海道は、事務・権限移譲の今後の具体的な進め方においては、市町村の実情に配慮し、押しつけ移譲となることがないよう道側の適切な対応を求めたい。また、今年度4月から新合併法が施行されているが、全国一広大な北海道では画一的な市町村合併の方針だけではなく、市町村が地域で広域に連携する広域連合など、北海道らしい分権・自治のシステムを構築すべきである。

2.権限移譲問題や支庁制度改革が道州制に向けて不可避な課題であるとの認識で道がこれまでその具体化に向けて検討してきたこと自体は評価するものである。しかし、連合北海道が道に対してこれらの方針案の「凍結」や「再検討」を求めたのは、道州制に向けた取り組みに反対する立場からではなく、中央集権体制から地域主権型社会を構築して道州制を実現するためには、地方の行政主体となる市町村の充実・強化がまず優先されなければならないとの立場からである。

3.道と連合北海道の実務者レベル交渉で、町村会や連合北海道が求める「広域連合など多様な広域行政の在り方」について、道は、空知中部広域連合などで実践されている、消防や介護保険の事例をあげ、「地域の実情に応じ、そうした取り組みが行われることが考えられる」との見通しを示し、否定しないと述べたものの、「合併は市町村の行政体制を充実する取り組みとして、積極的に検討していただきたい」と合併を基本に市町村再編に取り組む考えを重ねて明らかにした。また、「合併協議会の設置を勧告することを含めて、道の役割を果たす」ことも回答しており、市町村には強制合併に繋がるとの懸念が強まっている。道は、道内の合併協議が多く破談となつている事実を受け止め、総括すべきである。連合北海道としては、あくまで、合併は市町村の自主的判断に委ね、合併協議会の知事による勧告権を発動しないよう引き続き求めていくものである。

4.また、交渉の場で道は、事務・権限移譲に関わり支庁単位に「何らかの協議の場」を検討していることを明らかにした。現時点で道の考える協議会の中身は明らかではないが、連合北海道が求めている検討組織の基本的な考え方は、「一方通行的な事務・権限移譲」となることを避け、広大な北海道では市町村の広域な連携で事務・権限の受け皿を確立するのが現実的との判断から、支庁単位に検討協議会(道・支庁・市町村)の設置を求めたものである。単に、事務権限の押しつけのための協議会とならないよう、今後も、意見反映していく。

5.支庁制度改革プログラムは、最も基本となる基礎自治体(市町村)の充実・強化の方向として、合併が大きく進むのか、町村会が求めている広域連合が広がるのか、事務・権限の移譲の進展がどうなるのかなど、これらの動向により必要な見直しが求められるのは当然である。今後は、地域実情にあった見直しを求めていく。
 
6.高橋はるみ知事が自らの著書の中で、現行の北海道の208市町村を20程度に再編するという「北海道コンパクトシティ」論を展開している。この考えは、4月施行の合併新法に対応する知事による「合併協議会設置勧告」(強制合併に繋がる)との関連については不明であり、真意をはかりかねるものである。
 しかし、知事の道州制に向けた事務・権限移譲などこれまでの手法は、従来の中央集権型国家の上から下へのタテ型であり、首長と市町村不在の官治型発想ではないか。連合北海道は、地域主権型社会を実現するためには、市町村と道は対等の立場で、地域が連携・協力しあう改革過程そのものが道州制へのプロセスとして重視されなければならないと考えるものである。

                                  
以上