2006年11月28日

日本労働組合総連合会北海道連合会
会  長 渡 部  俊 弘
連合北海道道州制特区問題対策委員会

道州制特区推進法案の衆議院での強行可決に抗議する談話

1.「道州制特区推進法案」(以下、「推進法案」)は、11月28日の衆議院本会議において、与党である自民・公明党の賛成により強行可決された。
北海道を道州制の先行モデルとする道州制特区構想は、小泉首相が2003年秋の総選挙公約において「思い付き」「場当たり的」に打ち出されたものである。それを受けて、道は、2004年4月と8月の二度にわたって「道州制特区に向けた提案」を国に行ったが、1年以上も棚晒しにされ、2005年7月と10月にそれぞれ示された回答は、「各省庁は権限移譲を全く考えていない」というものであった。
そして、今年1月31日に突然、自民党から北海道道州制特区推進法案のイメージ(試案)が出された。このイメージ(試案)は、小泉首相の思惑通り、「財政赤字対策として地方支分局の廃止」「北海道特例の廃止」等の行政リストラを特区を通じて断行しょうというものであった。
2.法案の策定に向けて政府・自民党内の調整が本格化していったが、道への権限移譲については、各省庁から強い抵抗がくり返された。一方、行政リストラや北海道特例の廃止等については道内の各界から強い懸念が表明されたのである。
高橋知事は、あまりにもひどい自民党案に対して全面的な修正意見、さらに、試案よりもさらに問題の多い内閣府の法案骨子(3月6日)に対しては「受け入れられないので再考を求める」という考え方を提出するなど、道と自民党、内閣府との調整は迷走したと言わざるを得ない。調整のなかで道の基本的な主張はや立場はどんどん後退し、その結果まとめられた「推進法案」は、知事選挙での「知事のてがら」を意識した「道と自民党、内閣府との妥協の産物」であると言える。地方分権の推進のために国と道の役割分担を明確にし、事務権限・財源の地方移譲を進める道州制をめざす法案とは程遠い内容である。
3.高橋知事は、「推進法案」について「地方分権改革の先駆的な仕組みが出来た」と高く評価している。しかし、この「推進法案」は、道に移譲される事務はごく一部であり、道州制の先駆けとなるような権限や税財源の移譲はなく、さらに、知事が評価している「仕組み」についても、権限は内閣にあり、各省庁が権限を簡単に手放すわけもなく、「推進方策の実効性」は何も担保されていないのである。
道内の市町村や道民は、「道州制特区によって北海道どうなるのか分からない」という声が非常に強い。道州制特区は国から道だけでなく、道から市町村への権限移譲も一緒に考えなければならない。さらに、支庁制度改革、基礎自治体の充実強化のための合併や広域連合など北海道全体の自治のあり方も含めて議論されるべきである。
連合北海道は、この「推進法案」が、北海道の分権・自立につながるとは到底言えないものであり、廃案にして再度、基本に立ち返って議論をやり直すことを政府そして高橋知事及び道に強く求めるものである。
以  上