2006年11月16日
日本労働組合総連合会北海道連合会
会長 渡部 俊弘
連合北海道地方財政問題対策委員会
「夕張市財政再建の基本的枠組み(案)」に対する連合北海道の談話
11月14日、夕張市は、「夕張市財政再建の基本的枠組み(案)」を夕張市議会財政再建調査特別委員会に報告した。また、職員の労働条件に係わる事項についても、自治労夕張市職労に提案した。
その内容は、約360億円の赤字を「約20年程度」で返還していくために、市の施設の統廃合と大半の休止、小・中学校の統廃合を進め、各1校にする。そして、歳入増のために市税やゴミ有料化、下水道使用料などを全国最高水準に引き上げ、市民の負担増を求めるとともに、一方で職員給与を約3割削減、退職金も4分の1程度まで段階的に減らし、現在約270人(公営企業は除く)の職員数を3年
間で半減する、などの極めて厳しい内容となっている。
こうした背景には、再建にあたっては「全国最低の行政水準」を強いる総務省の指導があり、同時に「20年程度」とした再建期間については、総人件費抑制などでさらに短縮するように夕張市に求めるという意向が既に示されている。
各報道機関は、この「枠組み(案)」に対して、「市職員を希望退職に誘導する意図の内容」(道新)、「やめたいが働く場ない」(毎日)、「事実上、解雇を迫る内容」(読売)、「学校がなくなり、病院もどうなるか分からない。これじゃ、街からどんどん人が離れる」(朝日)、「これで夕張は本当に再生できるのか」(道新)といった市職員や市民の懸念や不安の声を紹介している。
連合北海道は、夕張市の自力だけでは再建は不可能であり、国や道のしっかりとした支援策がなければ難しいと認識している。確かに、夕張市の財政破綻の直接的な要因は観光事業等に過大投資を重ねた結果ではあるが、道及び国は、「炭鉱閉山にあたって、北炭が残した住宅改良や病院の引き受けなど、事務処理にかかった費用は総額580億円にものぼり、このうち330億円を地方債として市が負担した」という夕張市の炭鉱閉山後の地域再建・振興をめぐる困難な経緯についてしっかりと認識すべきである。
さらに、この「枠組み(案)」は、大幅な人件費・職員削減による行政機能の維持と行政サービスの低下が心配され、そして各事業の全面廃止等による市民生活への大きな悪影響が懸念される。最悪の場合は、産業の衰退や人口流失により再建自体が不可能になることも否定できないのである。夕張市は、今後、この枠組み案を市職員や市民に示し、再建計画の素案を12月までにまとめる予定である。
連合北海道は、夕張市が住民説明会において市民の意見・要望等をしっかりと集約し、そして自治労市職労とも協議を深め、国や道への支援策の提示、市職員・市民とともに一緒になつて再建への一歩を踏み出せるような再建計画を確立することを期待する。同時に、道に対しては、リーダーシップを発揮して「赤字地方債の発行を認める」等々の国の支援策を求める取り組みを強化し、夕張市との協議により市民自治が後退することのないよう、自らの支援策を早期に具体化するように強く求めるものである。
連合北海道は、今後とも夕張市再建にむけて国や道への必要な「要求と提言」活動を継続して強めていく決意である。
以 上