2008年7月14日
連合北海道 事務局長 村田 仁
北海道開発局の廃止論議に関する事務局長談話
1.去る5月13日、開発局幹部職員が競売入札妨害容疑(談合容疑)で札幌地検に逮捕されたのに続き、最高責任者である北海道局長の逮捕・起訴という不祥事が起きたことは、開発行政に対する国民・道民の信頼を根底から損なう許されざる行為である。
連合北海道は、事件の真相解明と再発防止に向けて、開発局自らが組織一丸となって改革していくことを強く要請する。
2.これら一連の不祥事を受けて7月2日、福田首相は北海道開発局の存廃について、「できるなら(廃止)したほうがいい」とコメントした。
並行して政府の地方分権改革推進委員会(委員長・丹羽宇一郎 伊藤忠商事会長)は7月10日、国の出先機関見直しについて、国土交通省地方整備局(8局)、農林水産省地方農政局(7局)など一部を除き原則廃止を勧告する方向で検討に入り、分権委・出先機関改革作業部会が8月1日にも公表する中間報告にその方向を明記すべく調整が進められている。
3.連合北海道はかねてから、北海道が日本における「食料、環境、資源の要」、「極東アジアの玄関」という側面を持ち、農林水産業を中心としてその将来に限りない可能性を有する「大地」であると考えている。
広大な面積と冬期間の厳しい自然環境を克服し、生活や文化、産業活動に関わる社会基盤を整備するため、道民や各事業者・自治体のたゆまぬ営為はもとより、国による総合的な開発政策が展開され現在の水準に至っている。
我々は次の世代のためにも、北海道の持つポテンシャルを高める取り組みと体制を継続していく必要がある。
4.事件を契機として「開発局廃止論」が勢いを増している。
しかしながら、開発局のあり方に関する本質的な論議は、地方分権改革の中で論じられるべきであって、連合北海道は、官製談合の発覚に絡めて国の出先機関をリストラしようとする「廃止論」にはくみしない。
道民生活や地域社会を守る立場からも、組織の統廃合と財政問題だけが追求されるような論議は主客転倒と言わざるを得ない。
5.これまで政府は、地方分権の推進をうたいながら、国の財政難を理由として一方的に地方への行政サービスの縮小と地方交付税の大幅削減を進めてきた。その結果、地域社会の疲弊は極限状態に追い込まれている。「開発局廃止論」や先の道議会で可決された「支庁再編条例」が、地方や地域の切り捨てに拍車をかけるものであってはならない。
地方分権のためには、国や道・市町村のそれぞれの役割と連携、税財源や権限の移譲のあり方など、分権に向けた全体の制度設計を描く必要がある。
連合北海道は、真の地域主権型社会を実現する地方分権をめざし、引き続き各市町村や地域住民の声が反映される改革論議を求めていくものであり、その過程において、将来に禍根を残さない開発行政のあり方が検討されることを切望する。
以 上
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