2024年度北海道地方最低賃金改定に関する談話

2024年8月5日
日本労働組合総連合会北海道連合会
事務局長 和田 英浩

2024年度北海道地方最低賃金審議会は8月5日、2024年度北海道の最低賃金を50円引き上げ1,010円に改訂し、10月1日から発効することで結審した。
本年度の改定審議は、2024春季生活闘争で33年ぶりの高い水準となる賃上げだったことや消費者物価指数が3%台半ばで推移していること、さらにはいまだに物価上昇率に賃金の引き上げ率が追いついていない現状などをしっかりと踏まえた公労使が、真摯に議論をした結果と受け止める。また、10月1日の発効に向けて審議が行われたことについては率直に評価したい。

本年度、中央最低賃金審議会では、地域別最低賃金の改定目安額についてA・ B Cランク同一の50円を示し、北海道でも本格的な金額審議が行われた。
北海道地方最低賃金審議会で労働者側委員は、労働市場の募集平均時給が1,000円を上回っていることや、物価高における実質賃金の実態、賃上げ原資確保のための企業間での価格交渉の状況、地域間額差の早期是正などを主張し、目安額以上での改定を求めてきた。
過去最高となる引き上げ額での結審は、影響率が全国平均より高い傾向にあり、最低賃金改定による底上げが何より重要である北海道において、全労働者の約3割が改善されることは評価できる。
一方で、1日8時間、月に20日働いたとしても、給与は約16万円、年間でも約194万円にしかならない。最低賃金が労働者のセーフティネットとしての役割を果たしているとは言い難く、目安額より低い金額での結審を求めた使用者側、さらには目安額で採決に至った公益側の姿勢は、労働者の生活の安定や地域間格差の是正といった課題に対して真摯に向き合っているのか疑問が残る。

連合北海道は、労働者が安心して生活ができる社会の実現、とりわけ労働組合に加盟していない労働者を含めた社会全体の賃金の引き上げに向けて、今後もあらゆる機会を通じて企業間取引における価格転嫁の重要性を訴え続けるとともに、企業における各種助成制度の活用が拡大するためのさらなる情報発信や制度の見直しなども求め続け、9月から始まる特定(産業別)最低賃金の引き上げについても全力を挙げて取り組んでいく。

以上

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